むつぬま雑学研究室新館

交通関連の考察記事を中心にいろいろ書いていきます。鉄道時々航空(予定)、2019年9月5日よりYahoo!ブログから移転。

17. 「ホリデー快速富士山」の混雑について考える

気が付いたら8か月振りで、しかもようやく今年初の投稿です。
ずっと放置していたダイヤ改正関連については、(できれば)これから振り返りという形で書こうと思いますが、それにも関連する内容として、今回はこれについて考えてみます。
イメージ 2
 
イメージ 1
臨時列車扱いながら毎週末、新宿~河口湖で運転している「ホリデー快速富士山」です。朝に河口湖行きの1号、夕方に新宿行きの2号が運転されています。

1. 2018年3月改正における「ホリデー快速富士山」の変化

前回の記事で、
  • E351系189系の置き換えとして活用できないのだろうか?
的なことを書きましたが、実際にはE351系ではなくE257系、それも前から持て余し気味だった房総特急用の500番台が3月改正からこの「ホリデー快速富士山」などの中央線臨時列車に入り、豊田車両センター所属の189系はそれと入れ替わりに引退という形になりました。それにより、以下のような変化が起こりました。
  • 1編成の両数が6両から5両に減った
  • これにより、「ホリデー快速富士山」の自由席は4両から3両に減った
  • E257系は1両あたりデッキ1か所が基本なので、編成中のデッキの数が12か所から6か所に減った
以上を踏まえると、189系だったこれまでよりかなり混雑が増しているものと考えられます。この他、停車駅の面でも変化があり、これまで止まっていた三鷹は通過となり、新宿の次の停車駅は立川となりました。
上の動画は2018/06/17夕方の「ホリデー快速富士山2号」の車窓を撮影した動画ですが、冒頭部分に河口湖発車前の車内の様子を入れています。この日は河口湖発車時点で座席がすべて埋まり、さらに富士急ハイランドでのイベントの影響もあり、新宿まで非常に混雑していました(動画内のアナウンスからも聞き取れます)。また、189系による最後の運転日(2018/03/11)の1号にも大月まで乗りましたが、その際も高尾まではかなり混雑し(あまりの混雑のためか、高尾からは高尾始発の普通列車に乗り換えた人もいた模様)、その後も大月まで座れることはありませんでした。

2. なぜ「ホリデー快速富士山」は混むのか?

考えられる理由としては、
  • いわゆる「乗り得列車」であるから
  • 10両編成が当たり前の路線に5両編成を走らせているから
  • 単純に停車駅が少なく、速いから
などがあります。ですが、一番上については座れればの話ですし、残り2つについて考えてみます。
まず、下り「ホリデー快速富士山1号」など、中央線沿線各地へ向かう列車が発車する新宿駅7~9時台の時刻を見てみると、次のようになります。
イメージ 3
黒は快速電車、青は中央特快、緑は青梅特快(「ホリデー快速おくたま・あきがわ」を含む)、橙は臨時快速、赤は特急を示し、特急や全車指定席の臨時快速といった料金が必要な列車については、地色のほうを色付けし、特急も含めた臨時列車は斜体としています。なお、今回問題の列車である「ホリデー快速富士山1号」は、8:14発の臨時快速となります。
次に、この時刻表から乗車券のみで利用可能な立川または八王子までの先着列車のみを抜粋したものが、以下のようになります。なお、八王子先着列車には青梅特快に乗り、立川で快速乗り換えになるパターンも含めています。
イメージ 4

イメージ 5
青梅特快がある立川はともかく、八王子では「ホリデー快速富士山1号」とその前の先着列車との間隔が20分も空いていることがわかります。この間の快速電車は新宿8:00発の特急「スーパーあずさ5号」や8:02発の臨時特急「(スーパー)あずさ53号」に抜かれ、あるいはその時間帯を避けて設定され、時間がかかって8:09発の青梅特快や8:14発の「ホリデー快速富士山1号」にも追いついてしまうのです。一方、もう一つの乗車券のみで利用可能な臨時快速である9:02発の「ホリデー快速ビューやまなし」については、前の先着列車との間隔が八王子でも8分あり、車両も215系10両編成であることから、「ホリデー快速富士山」ほどは混まないものと考えられます。なお、上りについても、八王子から新宿への1つ前の先着列車との間隔は、「ホリデー快速富士山2号」が15分、「ホリデー快速ビューやまなし」が11分であり、「ホリデー快速富士山」のほうが輸送力が小さいのにも関わらず、多数の乗客を引き受けざるを得ない状況となっている。

3. どのようにしたら混雑は緩和するのか?

混雑の緩和の方法としては、特急や特快と列車順序を入れ替える、E257系500番台の特性を活かして新宿~大月を10両編成にするなどが考えられるが、例えばの話、「ホリデー快速富士山1号」が新宿8:00発で、特急「スーパーあずさ5号」が8:14発となるのはずいぶん不自然だし、E257系500番台の10両編成は5両+5両であり、1両あたりの長さも他の車両よりやや長いため、E233系と同様に増解結できるかは不透明である。極端な話、特急格上げなどで立川・八王子までの乗客を極力乗せないか、逆にE233系で運転することも考えられるが、その場合も他の列車とのバランスをとることがやはり必要になると考えられる。武蔵野線ではこれまで185系6両編成(指定席2両、自由席4両)で運転された「ホリデー快速鎌倉」が9月からE257系500番台5両編成になり、同時に全車指定席に変更される。ただ、「ホリデー快速鎌倉」は経路などの面で特殊な列車であり、「ホリデー快速富士山」と同じようには考えられるかは疑問が残る。