むつぬま雑学研究室新館

交通関連の考察記事を中心にいろいろ書いていきます。鉄道時々航空(予定)、2019年9月5日よりYahoo!ブログから移転。

40. 【「相鉄線の大進撃」はどこ方面?】2022年3月相鉄・東急ダイヤ改正を考察してみる

少し前の話になりますが、開業に向けて試運転が行われている相鉄・東急直通線(相鉄新横浜線・東急新横浜線)について11月24日に相模鉄道東急電鉄の2社内の運行計画の概要が発表され、さらに12月16日には渋谷駅・目黒駅から先を含めた運行計画についても発表されています。また、12月16日の発表において開業日が2023(令和5)年3月18日であることも発表されています。相鉄・東急直通線については以前から準備が進められてきたものの、これまでどこに乗り入れるのかなどについては不明な点が多くあったため、今回の記事ではこの点について見ていきましょう。

11月24日発表分

12月16日発表分

1. 本線~目黒線いずみ野線東横線を基本に平日100往復が直通運転

今後10両編成の20000系が本線に行くことは少なくなる?

11月24日に相鉄から新横浜駅をまたいで相鉄線東急線を直通する列車の本数が平日1日あたり100往復であることと、直通線に入る列車の種別について相鉄線内は特急(朝時間帯の一部は通勤特急)または各停、東急線内は急行(目黒線直通の一部は各停)であることが発表され、東急からはこれに加えて新横浜駅東急線方面に折り返す列車もあることが発表されました。これまで、多くの方が利用客数の関係で10両編成の東急東横線相鉄本線と、8両編成の東急目黒線相鉄いずみ野線と直通すると予想されていたと思われますが、実際には逆の組み合わせが基本となり、予想を裏切る形となりました。これは相鉄本線には既にJR線への直通列車があり、東横線直通だと行き先が重なってしまうことを考慮したのかもしれません(JR線直通は今後も46往復全てが相鉄本線に乗り入れます)。また、片道の運転本数については平日朝の最も多い時間帯で相鉄線内11本/時(本線4本+いずみ野線7本)、東急線内16本/時(東横線4本+目黒線12本)、日中時間帯は相鉄線内4本/時(本線2本+いずみ野線2本)、東急線内6本/時(東横線2本+目黒線4本)とされています。

12月16日には渋谷駅・目黒駅より先も含めた行先や本数が各社局から発表され、主に相鉄線から乗り入れる列車について新たに以下のことが分かっています。

構造上目黒駅より先まで乗り入れざるを得ない目黒線方面はともかく、東横線方面でどこまで乗り入れるかについては意見が分かれていましたが、こちらも予想を裏切り東武東上線まで乗り入れる列車がそこそこ設定される結果となりました。東急では現在大井町線で平日の夕方以降に実施している有料座席指定サービス「Qシート」を来年度中に東横線でも実施する予定となっており、その関係で横浜方面からの列車を一定数渋谷駅で折り返しとする必要があるのかもしれません。また、多くの列車が相鉄線内で各駅に停車することになりましたが、こちらについては新宿・池袋方面や大手町方面まで利用すると3事業者にまたがることから主要駅から小田急線などと競合するよりも相鉄線内の多くの駅から利用しやすいようにしたものと考えられます。この他、直通線の開業により横浜駅を発着する相鉄線内の列車の一部が東急線直通に変更されることで西谷駅横浜駅間の本数が減少しますが、これを補う形で同区間の折り返し列車が上下合わせて100本程度運行されます。

2. 新横浜駅東急線内視点だとどう変わる?

羽沢横浜国大駅から脇にそれるとJR線へ、地下に入ると東急線に直通する。

今回の直通運転開始に伴い相鉄線区間4.8km、東急線区間5.2kmが新規開業し、羽沢横浜国大駅と日吉駅の間に新横浜駅と新綱島駅が開業します。いずれにおいても全種別が停車しますが、相鉄線東急線の分かれ目となる新横浜駅は両側にホームがある中線を備えた島式ホーム2面3線となっています。相鉄側と東急側の双方に渡り線があり、さらに相鉄側からの折り返しが可能な線路については車両幅の広い相鉄規格で作られている(相鉄従来車やJR車の入線も可能)ため、ダイヤ乱れ時には新横浜駅で双方に折り返し運転を行うことも考えられます。改札口は2か所あり、相鉄(南側)と東急(北側)で片方ずつ受け持つ形となります。また、今回の開業に合わせて東海道新幹線では新横浜駅6時03分発の臨時「のぞみ」が土・月曜日を中心に運転される計画となっています。

10両編成化により東横線内では急行が増えて各停が減る。

また、直通運転開始により東急線内でも平日朝時間帯を中心に運行体系が大きく変更されます。東横線では現在最も本数の多い時間帯に通勤特急4本/時、急行4本/時、各停16本/時の合計24本/時が運転されていますが、各停のうち菊名駅始発の4本/時が相鉄線からの急行に変更され、通勤特急4本/時、急行8本/時、各停12本/時となります。これについては以前から予想されていましたが、既に菊名駅始発が減らされている日中時間帯については純増になるとみてよいのかという点についても気になります。目黒線においては今年完成した奥沢駅の上り通過線が本格的に活用されることとなり、平日朝時間帯の追い抜きが現在の武蔵小山駅から変更されることで急行の所要時間が日吉駅~目黒駅間で22分から20分に2分短縮されます(一部列車は両方で各停を追い越し最大5分短縮)。また、朝時間帯は12本/時、日中は4本/時が新横浜線から直通することで日吉駅始発の本数は朝時間帯は22本/時から10本/時、日中は12本/時から8本/時に減少します。

3. その他、所要時間や運賃、使用車両などについて

相鉄新横浜線・東急新横浜線とも加算運賃の設定があり、羽沢横浜国大駅~新横浜駅間で40円、新横浜駅~新綱島駅間で70円が基本運賃に加算されます。よって、西谷駅日吉駅間を含む区間を利用する場合、既に開業している西谷駅~羽沢横浜国大駅間の加算運賃30円と合わせた140円が、相鉄線東急線の乗車区間に対する運賃に上乗せされます。なお、新綱島駅日吉駅間については綱島駅と新綱島駅を同じ運賃とするため加算運賃の設定はなく、定期券の場合はどちらも利用することができます

主な区間の最速所要時間と運賃は運賃改定分を含め以下のようになる予定です。

海老名駅~目黒駅間最速53分、湘南台駅~渋谷駅間最速51分

相鉄線では新横浜駅発着の定期券で横浜駅も利用可能となる。

また、相鉄線では西谷駅~新横浜駅間を含む定期券(IC通勤定期券に限る)で相鉄線横浜駅を利用できる「YOKOHAMAどっちも定期」という新サービスを開始します。他社線にある既存の類似サービスとしては西武鉄道の「だぶるーと」(池袋線東京メトロ各線において池袋駅小竹向原駅どちらの接続でも利用可)や「Oneだぶる♪」(新宿線~JR各線において新宿駅高田馬場駅どちらの接続でも利用可)、東武鉄道の「二東流」(東上線東京メトロ各線において池袋駅和光市駅どちらの接続でも利用可)、京王電鉄の「どっちーも」(京王線新宿駅井の頭線渋谷駅のどちらも利用可)が挙げられますが、特に追加の運賃を必要としない点でいずれのサービスともやや性質が異なるといえます。その代わり横浜駅発着の定期券に同様のサービスはなく、「どっちーも」と同様に本来の区間外の途中駅は対象とならないといった制約があることに加え、東急線側にはこのようなサービスの設定自体がない点、横浜方面の区間振替輸送の対象にならない点についても注意が必要です。

どの車両がどこまで乗り入れるかについては流動的な部分もある。

編成については、東横線直通は全て10両、目黒線直通は原則8両だが新横浜駅で折り返す列車は6両の場合もあるとされています。また、相鉄車は東横線直通用の20000系が東京メトロ副都心線和光市駅まで、目黒線直通用の21000系が入りうる区間区間への直通に対応しているのに対し、相鉄線への直通に対応しているのは現時点で東急車(東横線5050系4000番台、目黒線3000系・5080系・3020系)のみのため、東京メトロ副都心線内および目黒駅より先の各線区においては相鉄の片乗り入れ、東武東上線内は東急車のみの担当となる見込みです。新横浜方面への乗り入れを通常行わない西武車も含め、東急新横浜線内での試運転をまだ行っていない形式がいくつかあることから、今後が気になるところです。

また、相鉄・JR線直通開始時に本ブログでは弱冷房車や女性専用車(現時点で目黒線にはなし)の位置が一致しない問題点を指摘しましたが、弱冷房車については目黒線直通においては位置を合わせず、現状のまま(相鉄車のみ7号車、それ以外は6両・8両とも4号車)で直通することが決まっています。その一方で女性専用車については11月24日の発表では未定であるとされ、12月16日の発表においても一切触れられていません。相鉄線東横線で真逆の位置にある上にどちらに合わせてもいろいろと問題がある点、各事業者ごとに時間帯などが異なる点などもあり決着が困難であることが予想されますが、今後相鉄線内のダイヤなどについて具体的な発表があると思われるので、そのあたりで何らかの発表があるのではないでしょうか?

su62numa381.hateblo.jpかなり久々の更新となりましたが、今回はここまでです。