むつぬま雑学研究室新館

交通関連の考察記事を中心にいろいろ書いていきます。鉄道時々航空(予定)、2019年9月5日よりYahoo!ブログから移転。

33. 【中距離LCC立ち上げも】ANA、B777型22機を早期退役しコスト構造見直しへ

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本日10月27日、ANA HDは感染症の影響で航空需要の「量」と「質」の変化が予想されることから、ANAグループのビジネス・モデルを変革させることを発表しました。発表された事業構造改革案は

  1. エアージャパンを母体に第3ブランドを立ち上げ、中距離LCCに進出
  2. プラットフォーム・ビジネスの具現化などにより非航空収益を拡大
  3. エアライン事業規模を一時的に縮小し、固定費を削減

の3項目を軸としており、本記事ではエアライン事業に関係する1と3を中心に詳しく見ていきましょう。

ANA HDの公式発表はこちら

1. 2022年度を目途にB787型機を活用した中距離LCCを運航開始

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近年のANAの成長を支えたのは紛れもなくB787型機である。

ANAグループには本体の全日本空輸ANA/NH)以外にもいくつか航空会社が存在し、その中の一つにエアージャパン(AJX/NQ)があります。エアージャパンは外国人パイロットを採用し本体から近~中距離国際線や貨物便の運航を受託していますが、今回の事業構造改革案ではこれを母体に第3ブランドを立ち上げることが発表されました。

新たに立ち上げられる第3ブランドは、300席級のANAで使用されているボーイング787型機を活用した中距離LCCとなる予定で、東南アジアや豪州のレジャー需要獲得を担うエアラインとして2022年度を目途に運航開始とされています。ANAグループのLCCとしては既にPeach Aviation(APJ/MM)がありますが、Peachが短距離路線中心にモノクラスの短通路機で運航するのに対し、第3ブランドは2クラスで運航するとされています。立ち位置的にはJALグループのZIPAIR Tokyo(TZP/ZG)に近いものとなり、FSC、短距離LCC、中距離LCCの3部門でANAグループとJALグループが競合することになりそうです(ただし、ZIPAIRは欧米などの長距離路線にも参入する意向なのでANAの第3ブランドとはあまり路線がかぶらない可能性もありますが)。

2. 顧客データなどを活用し非航空事業を強化

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飛行機に搭乗するのにマイレージを登録しないのはもったいないものである。

 ANAを含め世界各国の大手の航空会社ではマイレージプログラムを実施していて、飛行機に搭乗すると距離や支払った金額(チケットの種別)などに応じてポイントがもらえるようになっています。ANAマイレージクラブはグループ会社のANA Xによって運営され、マイレージプログラムなどを通じて集まった顧客データを活用した事業も行われています。今回の事業構造改革案では、旅行事業をANA Xと統合させてプラットフォーム事業会社へと再編することなどが発表され、エアライン事業、旅行事業、ANAカード事業を中核にプラットフォーム・ビジネスを具現化するとされています。

3. 機材数を削減し一時的にエアライン事業規模を縮小

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グループ全体で300機ほど保有するが、1割程度削減される。

現在は各国における出入国規制の影響もあり国際線は多くが運休しており、国内線についても利用客は例年に比べて少ない状況が続いています。今年度(2021年3月期)はグループ全体で5100億円の赤字となる見込みであることも発表され、この危機を乗り切るためにはコスト削減は避けられない状況となっています。その一方で飛行機は飛ばないからといって何もせずほったらかしにしていいものではなく、いつでも飛べるように定期的に整備をする必要があります。そのため、収入は激減しているが支出は相変わらずであるのが現状であり、固定費を削減するためには飛行機の数を減らして路線の見直しをせざるを得なくなっています。今回の発表では、

  • A380型3号機の受領延期などにより、新規導入機材を16機→13機に削減
  • B777型機などを追加で早期退役させ、退役機材を7機→35機に追加
  • Peachでも機材計画を見直し、グループ全体で当初計画から33機削減

とされています。これに合わせ、ANAの国際線は羽田便を優先して運航を再開し、国内線では機材の小型化やPeachとの路線分担を進める計画となっています。

ANAでは4月時点では以下のように機材を導入・退役させる計画となっていました(参考)。

導入機材(13機)
  • A380型×1機
  • B787-9型×5機→順次導入中
  • A321neo型×7機→順次導入中
退役機材(9機)
  • B777-200型×1機→JA706Aが退役済み
  • B767-300型×1機→JA8342が退役済み
  • B767-300BCF型×1機
  • B737-700型×3機
  • B737-500型×3機→JA305K、JA306K、JA307Kが退役済み

この計画が後に16機導入、7機退役に変更され今回改めて13機導入、35機退役に変更されたものと考えられます。今回受領延期となった3機の中にはA380型1機とともにB777型1機も含まれており、これは今後のフラッグシップ機となるB777-9X型機であると考えられます。また、今回早期退役が決まった28機のうち、22機は大型機であるB777型機とされています。ニュース記事には内訳も記載されており、以下のようになっています。

www.aviationwire.jp

  • B777-300ER型×13機
  • B777-300型×2機
  • B777-200/-200ER型×8機(1機退役済み)
  • B767-300/-300ER型×6機(1機退役済み)
  • B737-700型×4機
  • B737-500型×2機(退役済み、JA305Kは昨年度分としてカウント?)
  • B767-300BCF型機は退役なし?)

ANAB777は-200、-200ER、-300の3タイプが国内幹線で、-300ERがフラッグシップ機として長距離国際線で使用されています。現在は国内線用のB777-200型機(以降-200ERを含む)と国際線用のB777-300ERの一部で新シートの導入が進む一方、今後後継機として国内線用B787-10型機を11機、国際線用B777-9X型機を20機導入する計画となっています。そのため、後継機が来るまで需要が戻らないと判断して置き換え予定分を先行して退役させることが考えられます。ここからは、各タイプごとに現状を見ていきましょう。

B777-300ER型機(28機在籍→12機新シート導入、13機退役予定)

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初号機のJA731Aはスターアライアンス塗装で異彩を放つ。

B777-300ER型機は羽田・成田~欧米主要都市といった長距離国際線で使用される現在のフラッグシップ機です。現時点でJA731A~JA736A、JA777A~JA798Aの28機が在籍しています。いずれの機材もファーストクラスを8席、プレミアムエコノミーを24席有しますが、ビジネスクラスやエコノミークラスの割り当ては機材によって異なり、264席、250席、212席、新212席の4種類が存在します。政府専用機の整備も考慮して2019年に追加導入されたJA793A~JA798Aの6機は最初から新212席仕様で、個室タイプのビジネスクラス座席「THE Room」を備えています。

www.ana.co.jp現在は在来機の改修も進められ、最終的に12機が新212席仕様とされる計画です。改修状況を考慮すると2010年に導入され比較的新しいJA784A~JA789Aが該当すると考えられます(JA790A~JA792Aはリース導入のため対象外?)。それより古いJA783Aまでの機数が今回発表された退役予定と同じ13機であり、そのためJA783Aまでが退役の可能性が高いと考えられます。ANAでは今後後継機のB777-9X型が20機導入される予定があり、置き換えられる分を前倒しで退役させ、需要の戻りに合わせてB777-9X型機を入れていくことが予想されます。

B777-300型機(7機在籍→2機退役予定)

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圧巻の514席で羽田~那覇線が主な活躍の場だった。

B777-300型機は国内線の主要路線で使用される機材です。座席数は圧巻の514席(プレミアムクラス21席、普通席493席)を誇り、特に羽田~那覇線では修学旅行など団体利用が入った際に威力を発揮します。ですがここ最近は稼働率が非常に低くなり、完全に持て余してしまっている感があります。7機中5機が導入から20年を超え、B777-200型機とは異なり新シート導入の予定もないことから7機全ての退役もあり得ると考えていましたが、意外にも退役予定は2機のみとなりました。2022年度からは後継機の国内線仕様B787-10型機が入る予定であり、残存しても見られる機会は意外と少ないかもしれません。

B777-200型機(19機在籍→8機新シート導入、7機退役予定)

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羽田~主要都市の主力機材だったB777-200型機。

B777-200型機は国内主要路線で用いられる機材であり、少し前までは羽田空港に行けばたくさん見られる機材でしたが、ここ最近は小型化で仕事が減っているように感じます。厳密には航続距離を延長した-200ERもいますが、現在は-200ERも国内線仕様となっているため、まとめて扱います。今年度に入ってJA706Aが退役し、現時点でJA702A、JA704A、JA705A、JA707A~JA717A、JA741A~JA745Aの19機が在籍しています(うちJA707A~JA710AとJA715A以降は-200ER)。これまでプレミアムクラス21席、普通席384席の合計405席となっていましたが、現在新シート導入が進められ、導入された機材ではプレミアムクラス28席、普通席364席の合計392席となっています。導入対象は8機とされており、現在の導入状況から考えると比較的新しいJA715A以降に導入されることが見込まれます。となればJA714Aまでの11機はそう遠くないうちに置き換えが予定されていることが考えられ、早期退役の対象は7機なのでJA710Aまでが含まれていると見て良いでしょう。

www.aviationwire.jp

B767-300/-300ER型機(23機在籍→5機退役予定)

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JA8971はANAの全旅客機で最古参かつ最後のJA8000番台である。

B767-300/-300ER型機はANAの国内線ではプレミアムクラス10席、普通席260席の合計270席となっており、B777型機が主力の主要路線では小さめの機材として、単通路機が主力の地方路線では大きめの機材としてといったように幅広い路線で使用されています。今年度に入って最後の非ER型のJA8342が退役し、現時点でJA8971、JA604A~JA611A、JA614A~JA627Aの23機が在籍しています(JA601A、JA602A、JA612A、JA613Aはエア・ドゥに移籍、JA603Aは貨物機に改修)。このうちJA619A以降の9機はウィングレット付きの国際線仕様(ビジネスクラス35席、エコノミークラス167席の合計202席)となっています(導入経緯から一部では「詫び767」と呼ばれることもあるとか)。今回は5機が退役対象となりましたが、最古参のJA8971(1997年導入)は別としてJA604A~JA611Aはいずれも2002~2003年導入と年の差がほとんどなく、どの機体が退役するかは予想が難しいところです。過去に退役したER型には貨物機に改修された機体もありますが、まさかの改修再開とかもあるのでしょうか...?

B737-700型機(8機在籍→4機退役予定)

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初号機のJA01ANはモノクラスでエア・ドゥからの出戻り機である。

B737-700型機は現在ANAに在籍するジェット旅客機では最も座席数が少ない機材となります。基本的にプレミアムクラス8席、普通席112席の合計120席ですが、エア・ドゥに移籍した後ANAに出戻りしたJA01ANのみ普通席のみ144席となっています。2005年から導入され、当時は国内線から近距離国際線までANAの小型機をこれで統一することも考えられていたようです。しかし小さすぎと判断されたのか導入は16機で打ち切られ残りはB737-800型機に変更、さらに9機がエア・ドゥへ移籍(前述の通り後に1機出戻り)、近年はA320neo型機の導入で国際線運用から完全に外されるなど少数派ゆえに安定した活躍の場が見つからない状況が続いています。国内線専属になっても機内Wi-Fiが搭載されなかったため、近々何らかの動きがあるのではと見られていましたが、最近はA320neo型機が国内線の応援に入っていることもありいよいよそのときが来たと見て良いでしょう。導入年が近い機体が多く、別仕様のJA01ANを除けばどの機体が退役対象になるかは予想が難しいところです。

今回はここまでです。本ブログ初めての航空関連記事でしたが、いかがでしたか?

32. 【詳しく考察】JR東日本、首都圏17線区で終電を最大37分繰り上げへ

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一昨日10月21日、JR東日本が9月に発表していた終電繰り上げ計画について、各線区での下り方面についての繰り上げ幅が発表されました。対象線区は以下の17線区となっていて、繰り上げ幅は最大37分程度となっています(私鉄各社などとの調整で、今後繰り上げ幅は若干変動することがあります)。また、5線区の一部区間では初電の繰り下げを実施することも発表されています。今回は発表された内容から来年春以降のダイヤについて考えていきましょう。

JR東日本の公式発表はこちら

終電繰り上げ実施線区

1. 山手線は15~20分程度繰り上げへ

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山手線はおおむね25時頃で運行を終えるダイヤとなる。

山手線においては、現行でもやや早めに運行が終了する品川→池袋の内回りを除いた全ての区間で15~20分程度の繰り上げがされる予定となっています。現行の時刻と比較すると運転区間を延長する電車もあると思われるので一概には言えませんが、現行より数本早い電車で終了すると考えるとよいでしょうか。山手線は車庫の関係で行き先がほぼ大崎、品川、池袋の3種類となりますが、従来より全体的にバランスが取れているように感じます。

主要駅の繰り上げ幅と繰り上げ後の発車時刻見込みは下図のようになります。

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2. 都心→神奈川方面はどうなる?

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東海道線は終電が時刻はそのまま平塚止まりに変更される。

都心→神奈川方面では京浜東北根岸線東海道線横須賀線の他に川崎と武蔵小杉で接続する南武線や東神奈川で接続する横浜線でも終電が繰り上げられます。中でも京浜東北根岸線の品川→大船では全区間で終電が繰り上げられ、桜木町行きの終電は33分も早くなります。

東海道線では東京23:54発の小田原行き最終が平塚止まりになり、横須賀線では東京23:50発の逗子行き最終が大船止まり、その2本前の久里浜行き最終が逗子止まりになります。これにより東海道線平塚より先横須賀線大船より先に行く電車が現行より早く終了し、最終の東京行き東北・上越北陸新幹線からの乗り継ぎができなくなります北陸新幹線については国府津までは乗り継ぎ可能です)また、横須賀線逗子より先については最終の東京行き東海道新幹線からの乗り継ぎも不可能となります(東北・上越北陸新幹線最終からの連絡は現行でも逗子までです)

この他南武線横浜線でも行き先や間隔の見直しで一部区間を除き最大15分程度の繰り上げがあり、これにより最終の東京行き東海道新幹線から乗り継いで到達できる南武線区間稲城長沼までから登戸までに短縮されます。また、京浜東北根岸線の東神奈川→大船では初電(東神奈川4:31発)が3分程度繰り下げられる予定となっています。

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3. 都心→多摩方面はどうなる?

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中央線系統では多くの区間で大幅な繰り上げが予定されている。

今回の見直しで繰り上げ幅が最も大きいのが、中央線をはじめとする多摩方面です。中央線は三鷹行き(各駅停車)、武蔵小金井行き、豊田行き、高尾行きとも軒並み25~30分程度の繰り上げとなり、青梅線についても現行でもそこまで遅くない奥多摩行きも含めて繰り上げが予定されています。

中央線は2020年の改正でも大きな変化がありましたが、今回の見直しにより現行の高尾行き最終より改正後の武蔵小金井行き最終の方が早くなるほどの変化が見込まれます。また、この見直しにより青梅線内(青梅まで)は最終の東京行き東海道新幹線からの乗り継ぎができなくなります。中央線内は今後も最終の東京行き新幹線から高尾まで乗り継ぎが可能ですが、東京まで乗らずに品川や新横浜、大宮で新幹線を降りる必要が出てくることが予想されます。

この他、武蔵野線においては府中本町発東所沢行き最終がなくなり、その前の南越谷行き最終についても南浦和まで4分程度繰り上げられる予定となっています。なお、武蔵野線の府中本町行きについては、都心→埼玉・群馬・栃木方面の章で説明します。また、中央線各駅停車の中野→三鷹では初電(中野4:25発)が17分程度繰り下げられる予定となっています。

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4. 都心→千葉方面はどうなる?

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京葉線も終電が30分繰り上がるが、最終新幹線乗り継ぎは維持される。

千葉方面については総武線各駅停車と京葉線の本線のみが対象となり、総武線快速などについては対象外となります。繰り上げ幅は総武線各駅停車が御茶ノ水津田沼まで16分程度、千葉まで23分程度、京葉線が東京発新習志野まで11分程度、蘇我まで30分程度の予定となっています。現行では京葉線は東京24:35発の最終で蘇我まで行けますが、見直しにより新習志野までは1本前、蘇我までは2本前が最終となることが考えられます。いずれも終着駅到着時刻は25時前後となりますが、最終の新幹線からの乗り継ぎについては従来通り可能となります。この他、総武線各駅停車の津田沼→千葉では初電(津田沼4:30発)が14分程度繰り下げられる予定となっています。

5. 都心→埼玉・群馬・栃木方面はどうなる?

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埼京線の大宮までは現行の新宿24時発が維持される見込み。

この方面には全国的に見ても終着駅到着が非常に遅い高崎線宇都宮線が含まれます。現在はいずれも上野発最終で高崎と宇都宮に行けますが、今回の見直しでそれぞれ籠原止まりと小金井止まりに変更され、高崎行きは21分程度、宇都宮行きは24分程度の繰り上げが予定されています。また、高崎線新前橋行きの最終も高崎止まりに変更され、その37分前に上野を発車する前橋行きの最終が高崎より先に行く最終の列車となります(ただし、東京23:00発の上越新幹線に乗れば高崎で追いつきます)。その一方で籠原、小金井までは現行のままとされており、近くの駅と遠くの駅のバランスを取った形となっています。

京浜東北線、埼京・川越線でも終電が繰り上げられ、京浜東北線は赤羽行きが18分、大宮行きが23分の繰り上げとなりますが南浦和行きは現行のままとされています。現行では大宮行き最終の後に赤羽より先に行く電車はないので、現行の大宮行き最終が南浦和止まりになると見られます。埼京・川越線は赤羽行きは19分、川越行きは13分の繰り上げで大宮行きは現行のままとされています。現行では新宿発の最終が川越まで行き、その後は池袋~赤羽の折り返し運転が数本ある形となっていますが、こちらも川越行き最終が大宮止まりに短縮されると見てよいでしょう。京浜東北線や埼京・川越線でも行き先別に終電を細かく設定してバランスを取っているように感じます。この他に武蔵野線では府中本町行き最終が東所沢止まりになり、京浜東北線では赤羽発初電が東十条発に変更される見込みとなっています。

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6. 常磐線方面はどうなる?

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常磐線各駅停車は直通先の東京メトロ千代田線との調整も気になるところ。

茨城方面に向かう路線は事実上常磐線一本となりますが、その常磐線においても普通(中距離電車)、快速、各駅停車とも終電が繰り上げられます。普通列車では勝田行きの最終が土浦止まり、その前の土浦行きが勝田行きとなり土浦までは現行のままでその先は23分程度繰り上げとなります。ただし、上野23:00発の特急に乗れば龍崎市で追いつくことができるので、実質的な繰り上げ幅はそこまで大きくないと言えるでしょう。取手までの快速電車については松戸行き、我孫子行き、取手行きがそれぞれ20分前後の繰り上げとなり、現行より1~2本早い電車で終了することが予想されます。これにより我孫子より先の天王台と取手については、最終の東京行き東海道新幹線から到達できなくなります。各駅停車についても松戸行き、我孫子行きとも15分前後の繰り上げが予定され、快速の上下線(上野→松戸、取手→松戸)と各駅停車の下り線(松戸→我孫子)では初電の繰り下げも予定されています。f:id:su62numa381:20201023025932p:plain

7. おわりに

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南武線などでの繰り上げは正直予想外だった。

本ブログでは以前の記事でどのように見直しがされるかを考察してみましたが、初電の繰り下げがかなり限定的であった点や、都心を通らない路線や現状でも余裕がある路線でも繰り上げられたところは予想が外れた感じです。

su62numa381.hateblo.jpまたこの記事中では私鉄との逆転の可能性についても示唆しましたが、現在では私鉄でも繰り上げを表明、あるいは検討しているところが出ています。中でも西武鉄道は「池袋線新宿線において20~30分程度」と具体的な繰り上げ幅についても明らかにしています。

news.tv-asahi.co.jpこの他に大手私鉄では小田急京急、東急、西鉄が終電の繰り上げを検討している他、現時点で検討していないとしている東京メトロや関西大手5社、大阪メトロなどについても他社線の様子を見るなどとしています。その一方で繰り上げにかなり慎重なJR東海は東西JRの繰り上げに対し新幹線乗り継ぎの利便性悪化を懸念していましたが、結果としては一部の区間を除きある程度利便性は維持されていると言えるでしょう。今回発表されなかった都心方面行きを含め具体的なダイヤは12月に発表されるので、その際には記事についても改めて書く予定です。かなり長くなりましたが、今回の記事はここまでとさせていただきます。

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横浜線用のE233系だけ未登場だったので最後に載せました。はいそれだけです。

 

31. 本日ではてなブログ移転1周年、ブログをリニューアルしました

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2019年9月5日、それまで自分がブログを書いていたYahoo!ブログが同年12月に終了するためはてなブログを開設し、その日から本日でちょうど1年となりました。今後もよろしくお願いします。

下にある記事がはてなブログに移転して最初に書いた記事です。当初は「2号館」としましたが、Yahoo!ブログ終了後に「新館」に改めています。

su62numa381.hateblo.jp

1. ブログ移転からの1年間を振り返る

ブログ移転を知らせる記事がYahoo!ブログからの通算で21番目の記事、今回の記事が31番目の記事となるので、この1年間で書いた記事の数は11となります。平均すると1ヶ月に1記事弱ということになりますね(今後はもう少し改善しなければ)...

この間に書いた記事は全て鉄道ニュース考察で、具体的には

となっています。自分が首都圏に住んでいるのもありますが、かなりJR東日本の話に偏ってしまっている感があります。JR西日本の記事を書く際には関西の電車の写真をあまり持っていなくて作成には苦労しましたし、熊本市電の記事に関しては一度だけ熊本に行った際にたまたま使える写真があったから記事を出せたと言っても過言ではありません。やはり写真がなければ記事の見栄えは良くなりませんし、そのあたりの資料集めも今後更新頻度を上げるための課題かもしれません。また、1年前の記事では航空関連のことも書く予定としていましたが、未だに書けていません。今年に入って飛行機に乗る機会があったため、何かしらは書く方向で考えています。もうしばらくお待ちください。

2. ブログのリニューアルについて

今回の移転1周年に合わせて、ブログのデザイン等をリニューアルしました。具体的な内容は以下のようになります。

  • ブログ全体のデザインを変更し、記事のスペースを拡大
  • Yahoo!ブログから引き継いだ記事の文字サイズを現行に合わせて修正
  • Twitterタイムラインにスクロールバーを追加
  • 最新記事にサムネイルを追加
  • ブログ表題の下にカテゴリーやリンクを追加

今後も見やすく読み甲斐のある記事を目指しますので、よろしくお願いします。

30. 【私鉄と逆転?】JR東日本、首都圏の終電を30分程度繰り上げへ

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昨日9月3日、JR東日本は深夜時間帯の利用客減少や線路保守作業員の減少に伴う作業の機械化に対応することを目的として、2021年春から首都圏各線において終電を30分程度繰り上げることを発表しました。終電の繰り上げは昨年にJR西日本の関西圏各線でも発表されており、今回はどのような変化が考えられるか見ていきましょう。

JR東日本の公式発表はこちら

1. 2021年春に東京・大阪のJR線で同時に終電を繰り上げへ

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JR西日本でも10~30分程度の終電繰り上げが予定されている。

昨年からJR西日本が線路保守作業員の「働き方改革」を目的として関西圏各線の終電繰り上げを検討し、つい先日に繰り上げ幅は10~30分程度とすること、東京発最終の新幹線との接続は可能な限り考慮することを軸に2021年春のダイヤ改正での実施が発表されました。その一方でJR東日本は今年に入っても終電の繰り上げには慎重でしたが、社会情勢の変化により特に深夜時間帯において大幅に利用客が減ったこともあり終電の繰り上げを検討、そして今回2021年春のダイヤ改正での繰り上げが正式に決定し、10月には具体的な実施線区や内容が発表される予定となっています。

su62numa381.hateblo.jp

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小田急電鉄で使用されているマルチプルタイタンパー

JR東日本では終電繰り上げに至った理由として、保守作業に大型機械を導入するに当たって準備や後片付けにかかる時間が従来より長く必要になることを挙げています。現在の25時台前半に終電到着、翌朝4時台後半に初電出発というスケジュールでは200分ほどの間合いとなります。しかし、保守作業が大型機械に移行することで従来は各10分ほどだった前後の準備と後片付けにかかる時間が機械を保守基地から移動させたり踏切から搬入したりで30分ほどかかるとされています。そのため、従来と同様の作業時間を確保するためには終電を繰り上げて間合いを240分程度にする必要があると判断され、今回の終電繰り上げが決まりました。作業時間に余裕ができることで、作業員にとっては1日の作業量が増える代わりに休日が増え、「働き方改革」につながります。また、現在はホームドアやバリアフリー設備の設置などで全体の作業量が増えていますが、作業時間を長くすることで作業にかかる時間を短縮することができます。今回の終電繰り上げにより、終着駅到着時刻は25時頃となり、一部の線区では初電の繰り下げも行われる予定となっています。

2. 終電繰り上げで並走私鉄との比較はどうなる?

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京急線JR東日本の路線と様々な区間で競合する。

首都圏では一般的に、JR線は私鉄各線より終電が遅いと思われがちです。JR東日本においては特に電車特定区間内を走る近郊路線において遅くまで運行され、主要路線の駅では25時を過ぎてもまだ電車があることも珍しくありません。とはいえ首都圏では私鉄も終電はそこそこ遅い路線が多く、近年は沿線の魅力を高めるために終電をJR線並みに繰り下げるところも少なくありません。また、私鉄の方が運賃の安さや運転本数などの利便性で勝る区間も多く、競合が発生している区間もあります。そんなJR東日本と私鉄の競合をいくつかの区間において終電の遅さという指標で見てみると、以下のようになります。

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ここ最近の変化としては、2019年11月のダイヤ改正埼京線の終電が5分繰り下げられて24:00となったことと、2020年3月のダイヤ改正で中央線の終電が11分繰り上げられて24:30となったことが挙げられます。上段の2例はJR東日本の方が遅い区間ですが、やはり京浜東北線はかなり遅くまで運行していることがわかります。中段の2例は少し前まではJR東日本の方が遅かったが現在は私鉄の方が遅くなった区間です。新宿→小田原については小田急線の繰り下げ、新宿→八王子については京王線の繰り下げに加えて中央線の繰り上げも重なり終電の遅さが逆転しています。下段の2例は私鉄の方が圧倒的に優位区間で、いずれも経路が遠回りであることもあってJR東日本が需要に応えることが難しい区間であると言えます。ここからさらにJR東日本が終電を繰り上げた場合、さらに多くの区間で私鉄に逆転されて終電が遅いJR東日本というのは完全に過去のものになる可能性もあります。もちろん私鉄も山手線などのJR線との接続の関係で繰り上げになることも考えられますが、JR線だけではなく地下鉄との接続もありますし、特に近年終電を繰り下げた路線で繰り上げるというのはどうなのかという感があります。

3. 具体的にどこの路線が対象になる?

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現時点で25時台まで運行される電車が1本もない総武快速横須賀線

一口にJR東日本の首都圏路線と言っても、路線の性格は様々でダイヤについても大きく異なります。ここでは、

このような3つのパターンに分けてそれぞれに属する路線を見ていきましょう。あくまでも個人的な予想であるため、10月にされる公式発表と大きく異なっても責任を負いかねます。

3-1. 都心を通る近距離通勤路線→行き先別に数本ずつ前倒し?

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2年連続で大幅な見直しが予想される中央線快速。

対象路線の筆頭としては、山手線をはじめとする都心部電車特定区間を中心に走行する通勤電車が挙げられます。環状運転の山手線は事情がやや特殊ですが、京浜東北線中央・総武線各駅停車、中央線快速などでは途中駅で折り返す電車も多数あり、終電についても行き先別にある状況となっています。それぞれの行き先の電車を数本ずつ前倒ししていくことで、どこの行き先に関しても大体25時頃に到着するようになるのではないでしょうか。またこの分類に属する路線の多くは初電も非常に早く、そちらについても見直しがされる可能性が高いと言えます。

3-2. 中距離電車都心部はそのままで末端部を削減?

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中距離電車の終電は都心出発が早く終着駅到着が遅い。

終着駅における終電の遅さという意味では、宇都宮線高崎線東海道線などといった中距離電車の存在も見逃せません。この分類に属する路線の多くは終電が都心部を出るのは日付が変わる前で、それ以降は停車駅の多い近距離電車で補完する形となっています。ですが終電でも行き先はかなり遠く、中でも高崎線の下り終電は高崎到着が25:37と現在全国で2番目に遅い終電となっています。その一方で多くの折り返し列車がある途中駅籠原までの列車は高崎行きの終電の後にはなく、上尾など都心に比較的近い駅ではかなり終電が早くて初電が遅くなっています。宇都宮線東海道線などについても状況は同じで、バランスの悪さが目立ちます。そのため、末端部のみ終電繰り上げや初電繰り下げの対象になり、現在の終電や初電が区間運転になることが考えられます。具体的には宇都宮線の終電は宇都宮行き→小金井止まり、高崎線の終電は高崎行き→籠原止まり、東海道線の終電は小田原行き→平塚止まりとすると終着駅到着が25時頃になります。

3-3. 東京メガループ・郊外路線→終電より初電を見直し?

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武蔵野線などは初電は早いが終電はそこまで遅くない。

この分類に属する路線は初電は他の分類と同じくらい早いですが、終電がかなり早めな路線も多く見られます。JR東日本は一時期京葉線武蔵野線横浜線南武線の4路線を「東京メガループ」と総称してダイヤ改正のたびに強化してきました。このうち東京を始発駅とする京葉線を除けば、初電は4時台からあるものの終電がやや早く、24時を過ぎて運転する電車は少なめです。このような路線で終電を大幅に繰り上げると、他の路線との接続に支障が生じることも考えられます。より本数の減る郊外路線である相模線や八高線なども状況は似ており、このような路線では初電の繰り下げはあっても終電の繰り上げがされる可能性は低いでしょう。

4. 終電の遅い終着駅ランキングはどうなる?

終電の話をすると時々話題に上がるのは、「何線のどこ行きの終電が最も遅いか」です。以下のニュース記事で2017年12月時点での25:20以降まで運行されている終電がまとめられています。当時の山手線内回りの品川行き終電が25:19着であったため(現在は大崎止まりに変更)、それより遅い終電がまとめられています。

toyokeizai.net

これにならって2020年9月現在のダイヤで「終電の遅い終着駅ランキング」を作成してみると、以下のようになります(漏れがあったらコメントでご指摘お願いします)。

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25:20以降に終着駅に到着する終電は16本ある。

25:20以降に終着駅に到着する終電のみをまとめていますが、先述した記事にある2017年12月時点でのデータと比較すると一部変化が見られます。具体的には2018年3月のダイヤ改正で深夜早朝の列車を大幅に削減したJR九州の路線が全てランキングから外れ、入れ替わりで深夜早朝の列車を強化した小田急多摩線などがランクインしています。また、16本中9本をJR東日本の路線が占め、行き先別に複数の電車がランクインする路線もあります。同時に終電の繰り上げを行うJR西日本と合わせて11本が見直しの可能性が高いと言える状況であり、来年の春にはこのランキングの並びも大幅に変わっていることが考えられます。

今回はここまでです。何故か前回の投稿から2日で投稿できましたが、今後は投稿頻度を上げられるように頑張ります。

29. 【2両編成なのに】熊本市電、女性専用車両試験導入へ...

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昨日9月1日、熊本市交通局は9月14日~12月28日の予定で平日朝時間帯に運転される路面電車の一部に「女性専用車両」を試験導入すると発表しました。路面電車における女性専用車両の導入は少なくとも国内では例を見ないものであり、筆者自身の女性専用車両に対する考えも交えながらいろいろと考えていきます。

www.kotsu-kumamoto.jp

1. 実施対象は平日朝の2両編成後方車両

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熊本市電には単行車両もあるが、今回は2両編成のみ対象となる。

熊本市電とは熊本市交通局が運営している路面電車の通称で、現在は熊本駅前に乗り入れるA系統と上熊本に乗り入れるB系統の2系統で運転され、運賃は170円均一となっています。昭和時代に製造された車両から最新型まで多彩な車両を保有し、日本初の営業用VVVFインバータ制御車両である8200形(1982年運転開始)や日本初の超低床路面電車である9700形(1997年運転開始)など、「日本初」が多いのも特徴です。そんな熊本市電においてこれまた日本初となる路面電車における女性専用車両の試験導入が今回決まったわけですが、その概要は以下の通りとなっています。

  • 2020年9月14日~12月28日の平日朝7時頃~9時頃に実施
  • 2両編成低床車両で運転される電車の進行方向後ろの車両が対象
    (上下線で別車両となるため、両方の車両に案内貼り付け?)
  • 実施本数は両系統の上下線合計で8本(詳細なダイヤはこちら
  • 小学生以下と障がい者、介助者は男女問わず乗車可
    (それ以外についても任意協力での実施)

現在実施している他の事業者の多くと同様に実施時間帯は平日朝となりますが、実施対象を限定している点と上下線で実施車両が変わることがポイントとなっています。前者は京成電鉄京急電鉄など、後者は半蔵門線や都営新宿線でも見られますが、路面電車ということもあるのかかなり特殊な内容となっています。実施されている路線の中には乗車率が非常に高い路線も多く、今回実施される熊本市電においても一部の時間帯で乗車率が120%程度まで達するなど、ある程度は混雑しています。

2. そもそも女性専用車両はいつから始まった?

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現在ある女性専用車両を初めて導入したのは京王電鉄である。

日本国内で最初に導入された女性専用車両は、明治末期に当時の東京府内の女学生向けに中央線で運行されたものとされています。その後、昭和時代にも中央線や京浜東北線で「婦人子供専用車」なる名前で導入されたことがあります。当時は現在よりも混雑が激しく、また働く女性の数自体も少なかったことも導入の背景にあると考えられます。その後、「婦人子供専用車」は「シルバーシート」と入れ替わりで運行を終了しました。

現在の形で初めて導入されたのは、2000年12月に試験導入(2001年3月に本格導入)した京王電鉄となります。当初は深夜時間帯のみで、次いで導入されたJR埼京線についても同様でしたが、首都圏で3番目に導入した横浜市営地下鉄が首都圏初の朝ラッシュ時での実施となりました。この間にも関西圏では首都圏より先行して導入が進み、阪急電鉄など終日実施する事業者も出てきています。そして首都圏でも2005年5月に大手私鉄9社で朝ラッシュ時に一斉導入され、その後JR線や地下鉄直通にも拡大しています。

2020年9月現在、国内で女性専用車両を実施しているのはJR2社(東日本・西日本)、大手私鉄15社(名鉄を除く全社)、地下鉄6都市(仙台・京都・福岡は未導入)、それらの直通運転相手を含む一部の中小私鉄となっています。首都圏・関西圏では多くの主要路線で実施されていますが、名古屋・福岡・札幌ではいずれも1事業者のみが実施しています。

3. 朝時間帯2両編成での実施はこれまでに例を見ないが...

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首都圏では6両編成が実施最短編成で、横浜市営地下鉄などが該当する。

首都圏に住んでいると女性専用車両のステッカーが貼られた電車を見かけることは日常茶飯事ですが、大体が10両編成の片側先頭車とかで一番短いところでも6両編成での実施となっています。実施時間帯は多くが平日朝のみで、一部路線で夕方や深夜も実施している状況となっています。それに対し関西圏などでは首都圏より短めの6~8両編成で実施しているところが多く、神戸電鉄神戸市営地下鉄海岸線では現時点で全国最短となる4両編成での実施となっています。また実施時間帯も関東圏より長めであり、神戸電鉄では早朝を除く平日終日、神戸市営地下鉄では毎日終日となっています。

それに対して今回の熊本市電に関しては2両編成への導入という試験導入とはいえ非常にまれなものとなっています。かつて香川県高松琴平電気鉄道では年末の深夜増発列車で2両編成への導入をしたことがありますが、ごく一時期で終了していることもありあまり知られていません。その際の状況がどうだったかについてはよく分かりませんが、それなりに混雑している朝時間帯となるとさすがに厳しいのではないでしょうか。

4. 本格導入・見直しはされるのか?

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東京メトロ東西線では導入から1週間強で実施区間が短縮された。

今回発表されたのはあくまでも年内の試験導入ですが、他社の事例を見る限り本格導入がされる可能性は非常に高いでしょう。また、本格導入される場合対象列車の拡大がされるかどうかも注目されます。仮に単行車両も含めた全ての電車に導入となると、実施時間中は大半の電車に女性しか乗車できないという不便極まりない状況になりかねません。そのため、単行車両に導入があるとしても夜行バスの女性専用便みたく続行運転になるのではないかと考えられます。

一方で利用者からの反発により実施区間や時間帯を見直した例もあります。2006年11月に女性専用車両を導入した東京メトロ東西線では、当初中野方面行きで中野までの全区間において先頭車両10号車での実施とされました。しかし、東京メトロの地下駅では両先頭車付近に階段がある駅が多く、東西線においては特に大手町から西の区間に10号車が便利な駅が非常に多かったため混雑の原因となりました。そのため導入からすぐに大手町で実施を終了することが決定し、現在に至ります。この他に当初首都圏で唯一終日実施された東急東横線女性専用車両についても、実施号車が不適切であったことや利用状況を鑑みて1年ほどで実施号車の変更と実施時間帯の短縮となっています(その後副都心線直通のため再変更)。

5. 女性専用車両に対する筆者の考え

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中央線快速はグリーン車導入で見直しもあり得るのだろうか?

最後に、筆者が女性専用車両についてどう考えているかを説明して終わりたいと思います。この記事を読んでいる皆様の参考になれば幸いです。

5-1. 女性専用車両は現代の情勢には適合しない

ここ最近、性別に縛られない生き方をする人も増え続け、男らしい・女らしいというのが何なのかの議論もされています。女性の社会進出が進むとともに、逆に従来ほとんどが女性で占められていた職業に男性が進出することも珍しくありません。そのような中で、男女を明確に区別してさらに一方だけを優遇するというのはおかしいことだと感じます。もちろん場合によっては個別の事情もありますが(例を挙げると、食べ放題のお店で平均的な食べる量を理由に女性を男性より安くするなど)、これが理由で選ばれなかったとしても自己責任ですし、まして客を選ぶのは不適切な公共交通機関でそれをやるのはどうかと思います。また、当初の目的と言われた迷惑行為対策としても、他の車両には何も起こらない以上限定的なものになると言わざるを得ません。最近は照明に防犯カメラが付いた車両が増えていますが、その方が全ての車両に等しく効果があるという点でいいと思います。

5-2. かといって男性専用車両と並立で設けるのも反対

女性専用車両関連のニュースのコメントを見ると、男性専用車両の導入を求める意見も少なくありません。ですが、自分はそれもおかしいと考えます。公共交通機関は1人で利用するとは限らず、中には女の子を連れた父親、男の子を連れた母親、お互い助け合いが必要な高齢の夫婦などもいますし、そのような人たちに別の車両に乗ることを強制するのは余りにもひどすぎると思います。所定の運賃や料金を払えばどんな人でも乗れるのが公共交通機関、特に日常生活に欠かせない通勤電車や路線バスにおいては重要です。

5-3. 名前を変更するなどであらゆる利用者に配慮できるのならあり

国内の通勤電車において、女性専用車両が任意協力ではなく法や規則で定められたものであるところは一つもなく、さらに多くの事業者が建前上は児童や障がい者、介助者については男女問わず乗車できることを明言しています。ですが自分が見た限りでは女性専用車両の乗車口に小学生や車いす利用者も含め男性と思しき人が並んでいるのを見かけたことは滅多にありません。また、関西圏などの事業者においては首都圏の事業者に比べて周知が遅れ、中には何かと理由を付けて未だに単独乗車を認めていない事業者も存在するのが事実です。特に車いす利用者など乗れる場所が限られる人がいますし、そのような人々が利用しやすくすることも重要だと思います。女性だから、男性だからではなく本当に配慮すべき利用者は誰なのか考え、その人たちに対する(専用ではなく)優先車両とするのであれば特に反対はしません。

5-4. 安全かつ快適に利用する方法は他にもある

数年の間に多くの事業者が導入した2000年代半ばとは異なり、ここ10年ほどは女性専用車両を新たに導入する事業者や路線はそこまで多くありません。首都圏において現時点で最後に完全新規での導入をしたのは2010年4月の京浜東北根岸線であり、その後はダイヤ改正に伴うある程度の拡大縮小はあれど実施路線自体に大きな変化はありません。最近導入が増えているのは、座席指定制のライナー列車です。2008年6月に運転を開始した東武東上線TJライナー」を皮切りに各地で新たな列車が設定され、既存の有料特急がある路線においても通勤通学での利用を取り込む方向に動いています。さらに2019年3月には編成の都合で女性専用車両の導入を見送っていたJR京都線JR神戸線の新快速に女性専用車両ではなく有料座席車両の「Aシート」が導入されました。区間や列車にもよりますが500円程度の料金を払えば確実に座れることから、混雑にもまれることなく安全かつ快適に移動することができます。さらに乗り換え不要で速達性も付属することから、ある程度の距離を移動する客の人気を集めています。このような列車を利用できる場合は利用したり、逆に少し時間がかかっても混雑率の低い路線や種別を利用する、当駅始発が多い駅なら並んで着席するなどで工夫するのも方法の一つではないでしょうか。

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平日朝の小田急ロマンスカーは沿線の通勤客から根強い人気がある。

今回は久しぶりの更新でいつもより長くなりましたが、次回もまたお願いします。

28. 【突然の新計画】2024年度、京浜東北線新型車両でワンマン化?

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昨日6月27日、JR東日本京浜東北線においてワンマン運転を検討しているとの報道が共同通信社から出されました。記事の中では2024年度をめどにワンマン運転に適合した新型車両を投入することも書かれており、これによってどのように変わるか見ていきます。

news.yahoo.co.jp

1. JR東日本が推し進めるワンマン運転の形とは

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山手線のE235系では完全自動運転の試験も行われた。

一口にワンマン運転と言ってもやり方はいろいろです。JR東日本では以前から車内で運転士に運賃を支払う形のワンマン運転がローカル線の一部列車で実施されていますが、この方法は2両編成以下に限られます。しかしながら、人口減少に伴う人手不足などに対応した合理化策として、現在のJR東日本では3両編成以上でのワンマン運転について検討が進められています。既に3~6両編成の中編成についてはワンマン化が進められ始めていて、東北本線の黒磯~白河ではE531系が5両編成でワンマン運転を実施しています。E531系のうち東北本線で運用される3000番台については車両側面にカメラが付いているため、乗り降りの確認ができるようになっていて、運賃や乗車券については駅備え付けの運賃箱に入れる形を取っています。今後は0番台にもカメラを取り付けた上でワンマン運転区間水戸線にも拡大することが検討されている他、内房線外房線鹿島線ではE131系が2021年に投入され、2両編成ながら将来の中編成への拡大も考慮してこの方法がとられる予定となっています。

今回はこれに続いて京浜東北線もワンマン化が検討されることになりましたが、京浜東北線は10両編成と長いため、自動運転装置による省力化や各駅へのホームドア設置といった安全確保も合わせての実施となります。既に一部の地下鉄路線などではホームドアを設置した上でワンマン運転が行われていますが、京浜東北線についてもこれに近い形となる模様です。また、山手線ではE235系を使用して自動運転の実験が続けられていて、完全な自動運転が実現すれば車掌のみを置くワンマン化も可能となります。産経新聞の記事ではこれについても言及があり、今回の京浜東北線ワンマン運転でも活用される可能性があります。

www.sankei.com

2. 京浜東北線には新型車両を投入へ、E233系はどうなる?

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東京総合車両センターで保存されている209系試作車。

記事中には2024年度から新型車両を投入するとあります。完全な新形式の可能性も否定できませんが、投入時期を考えるとE235系の新番台となる可能性が高いでしょう。昨年度で山手線向けの0番台が出そろい、今年度からは総武快速横須賀線向けに1000番台の製造が始まっていますが、投入両数が745両であることを考えると2023年度までかかると見込まれます(J-TREC新津事業所ではおおよそ平日1日につき1両、年間で約250両の製造が可能ですが、E131系や東急2020系なども製造していることを考えるとこれくらいになるでしょう)。京浜東北線の場合、運用数の増減がなければ820両必要となるため、2024年度から投入を始めると2027~2028年度までかかるのではないでしょうか。

そうなると現在使用されているE233系1000番台の今後が気になりますが、2007~2009年度に製造されているため、置き換えられる時点でもまだ17~18年程度しかたっていません。機器更新などをすれば京浜東北線と同じくらいの期間、別の路線で問題なく使用できると思われるので、209系と同様に短編成化こそされるものの大規模な転属が発生することが予想されます。既に転用先に関する情報がある程度あるため、それぞれについて考えてみましょう。

2-1. 幕張車両センターの209系を置き換える場合

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千葉県内には元京浜東北線の209系が大量にいる。

E233系1000番台の転用先として有力視されているのが千葉支社の房総各線です。幕張車両センターには京浜東北線で使用された209系0番台を改造した209系2000・2100番台が6両×26編成と4両×42編成、合計で68編成324両が所属しています。ただし、今年度中にE131系が2両×12編成投入されるため、必要な数は若干減る可能性もあります。

千葉支社では2024年度以降に中編成(3~6両編成)のE233系を導入し、ワンマン運転を6両編成にまで拡大する予定があるという情報があります。今更E233系を大量に製造することはないでしょうし、他からの転用でまかなうことが濃厚ですが、となればこれにつながるのではないでしょうか。転用する場合、側面のカメラ設置の他209系と同様にトイレ取り付けと一部車両のセミクロスシート化がされることが考えられます。

2-2. 高崎車両センターの211系を置き換える場合

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群馬県内の普通列車の主力は211系である。

E233系1000番台は全部で82編成あるため、1ヶ所だけで全編成を使い切るのは難しいです。もう一つの転用先として候補になっているのが、高崎支社のローカル列車です。高崎車両センターの211系は現在、E233系3000番台の投入で高崎線などからは撤退し一部は他支社の211系とともに長野支社に転属、残った車両は編成をばらして107系115系を置き換える形でローカル列車に運用されています。現在は4両×23編成と3両×14編成、合計で37編成134両が所属していますが、3両編成は単独運用がなく常時2編成連結で6両固定編成と扱われているため、実質的には30編成となります。

高崎支社転属を裏付ける根拠として、Twitter上で「高崎支社の車両取替え計画(ベストプラクティス)」なる資料が出回っていますが、これによると

  • 2026~2028年度に211系3000番台をE233系1000番台に置き換え
  • 10両から4両、6両に短編成化し、中編成ワンマン設備を搭載
  • ワンマン運転の実施については別途検討

とされています。なお、現在高崎車両センターに所属する211系は全てロングシート車なので、E233系1000番台を転用する際には千葉支社とは違う構成になる可能性もあります。また、高崎支社と千葉支社の両方に転用する場合、先頭車が若干足りなくなることが予想されます。中間車の有効活用のため先頭車化や先頭車のみ新造することがあるのか、それともE233系1000番台の転用は高崎支社を優先して足りない分は千葉支社にE131系の追加投入でまかなうのか、対応が注目されます(個人的には後者だと予想しています)。

余談ではありますが、この資料中には211系以外の車両についても計画が書かれています。

  • 八高線は2024年度に新型ハイブリッド車に置き換え
  • 特急「草津」「あかぎ」などで使用している651系E259系に置き換え
  • 事業用車両を導入し機関車を置き換え、SLについても今後の在り方を検討

となっています。具体的な時期は不明ですが、「成田エクスプレス」に新型車両が入る日も近いと見ていいのでしょうか?

27. 【どう使う?今後は?】房総の新顔、E131系について

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本日5月12日、JR東日本から千葉支社管内に投入される新型車両「E131系」についての発表がありました。現在の車両とは大きく性質が異なる車両であり、どう使うことが予想されるのか、今後はどうなるのかなど考えていきます。

https://www.jreast.co.jp/press/2020/20200512_ho01.pdf

1. 新型車両は2両編成、12編成を内房・外房・鹿島線に投入

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新潟のE129系といろいろ似ている車両だが、4ドア車になった。

E131系は2両編成12本が来年春に内房線(木更津~安房鴨川)、外房線(上総一ノ宮~安房鴨川)、鹿島線(佐原~鹿島神宮)で営業運転を開始する予定となっています。現在使用されている209系は4両編成または6両編成でしたが、E131系は現状2両編成のみが投入される予定となっています。車内はE129系同様、ロングシートセミクロスシートの組み合わせであり、窓割りから連結部よりの区画がセミクロスシートになることが予想されます。この他、液晶ディスプレイやフリースペース、大型のトイレなどE235系などに準じた設備も付き、E531系3000番台同様のワンマン運転用の乗降確認カメラも付いています。JR東日本ではワンマン運転を3両編成以上の線区への拡大を検討しており、千葉支社でも当面は2両編成ではあるものの実施される形になりそうです。

2. 現在の209系はどうなる?

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今や千葉支社の象徴となった感がある209系。

現在、千葉より先の各線は東京方面との直通列車を除きほぼ全ての普通列車が209系で運転されています。E131系投入後は日中の全列車に加え朝夕も結構な数が内房線外房線とも木更津や上総一ノ宮で乗り換えになることが見込まれ、209系は千葉近郊での運用が中心になることが考えられます。運用区間が狭まることで余剰となる編成も出てくることが考えられますが、投入両数が多くないため全体数の中では少数でしょう(現在6両×26編成+4両×42編成の324両が在籍しますが、仮にE131系と同数が置き換えられてもまだ300両残ります)。千葉近郊の増結に回る可能性もあるため細かい数まで予想するのは難しいですが、君津・上総一ノ宮までの区間に大きな変化はないでしょう。

3. E131系はどう使われる?

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211系5両編成がいた頃。館山~安房鴨川はさすがにがら空き...

E131系が入る予定の区間は現在209系が日中は4両か6両で走っていますが(鹿島線は4両のみ)、空席がかなり目立つため日中は2両でも何とかなるでしょう(何度か自分が乗って座れなかったことはないはずです)。ただ、朝夕となるとそこそこ利用客がいるため、さすがに2両で走らせるのはまずいと思われます。そのため、来年春からの内房線外房線は以下のような運転系統になることが予想できます。

  • 日中は全て木更津・上総一ノ宮乗り換えでE131系2両
  • 朝夕はE131系4~6両と千葉から直通の209系が混在

ここで気になるのは、「E131系は千葉駅に入るかどうか」です。車両基地が幕張にあるので送り込みをする必要があるのですが、毎日営業列車を設定するのか、回送として必要なときに行き来するのか、そのあたりが気になります。前者の例としては仙石東北ラインのHB-E210系があります。HB-E210系小牛田運輸区所属のため一部の仙台~小牛田の東北本線の列車でも使用されています。逆に後者の例としてはかつての651系E3系0番台があり、こちらについては検査などの関係でたまに所属する車両基地に戻るという形が取られました(現在651系は定期運用がなくなり、E3系0番台は新幹線総合車両センターに転属しました)。E131系の場合はどちらになるのか、注目されます。

 4. 将来の房総各線とE131系を予想してみる

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安房鴨川の発車案内。将来は何両のどこ行きが並ぶのだろうか?

数年程度は来年春にできる体制が続くと思いますが、209系もリニューアル済みとはいえ製造から四半世紀程度、リニューアルからも10年程度たっています。そう遠くないうちに置き換えられるとは思われますが、何に置き換えられるかも気になるところです。今回のE131系発表前はE235系上野東京ライン湘南新宿ラインに投入し、E231系1000番台を転用するというのが有力でしたが、E131系が入る以上連結などの面で不便になることが考えられます。やはりE131系を300両以上入れて全て統一するのが現実的なところでしょうか。その場合は4両編成も入ると思います。総武快速横須賀線E235系の乗り入れを増やすという説も見受けられますが、朝時間帯は現状でも直通が多いのでそれだけではまず無理でしょう。

またE131系が房総各線以外に入る可能性についてですが、4両編成を入れるのであれば十分あり得るでしょう。相模線や宇都宮線仙石線といった4両編成の205系がいる路線であれば入れることは考えられる他、3両以下になるため中古を入れるのが難しい南武支線鶴見線もあり得るでしょう。ただ宇都宮線は黒磯~新白河にいるE531系、南武支線鶴見線は開発が進められている水素燃料電池車との兼ね合いもありますが...