むつぬま雑学研究室新館

交通関連の考察記事を中心にいろいろ書いていきます。鉄道時々航空(予定)、2019年9月5日よりYahoo!ブログから移転。

39. 【今年度は大幅縮小?】2021年大晦日~2022年元日の首都圏終夜運転まとめ

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しばらくの間諸事情により更新が全くと言ってよいほどできませんでしたが、久々に投稿させていただきます。

2021年も12月となり、年末年始が近づきつつあります。そんな中で鉄道において気になることと言えば、大晦日~元日の終夜運転です。昨年度は感染症の影響で元々実施予定だった事業者を含めた首都圏の全事業者で中止となりましたが、今年度も首都圏や関西圏を中心に計画を発表している事業者が出始めています。その一方で直前まで状況を見つつ検討している事業者もあり、一通り出そろうまでには時間がかかりそうです。そこで今回は現時点で発表されている計画と比較用として2019年度までの例年の実施内容をまとめてみようと思います(各事業者から発表され次第随時更新します)。大晦日のイベントや初詣、初日の出でお出かけを考えている方の参考になれば幸いです。

※12月10日追記1:東急電鉄横浜高速鉄道みなとみらい線で実施なしが発表されました。東横線田園都市線では終電後に臨時列車が運転される予定です。
※12月10日追記2:上記の発表から少し遅れて京王電鉄で実施予定、相模鉄道で実施なしが発表されました。
※12月10日追記3:高尾山ケーブルカーで実施予定、大山ケーブルカー埼玉新都市交通ニューシャトル・東京臨海高速鉄道りんかい線横浜シーサイドラインで実施なしが発表されました。
※12月13日追記:JR東日本の9路線で実施予定が発表されました。
※12月15日追記:東京メトロで大幅に縮小した上で実施予定が発表されました。新交通ゆりかもめでは実施なしが発表されました。
※12月17日追記:都営地下鉄で大幅に縮小した上で実施予定が発表されたほか、多摩都市モノレールでも実施予定が発表されました。埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線湘南モノレールでは実施なしが発表されました。
※12月18日追記:伊豆箱根鉄道大雄山線で実施予定が発表されました。

1. JR線・地下鉄

1-1. JR東日本実施予定(一部縮小)

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2019年度まで例年13路線で行われた他、初日の出列車の運転もある。

12月13日に今年度は9路線で終夜運転を実施することが発表されました。実施区間は山手線、京浜東北根岸線桜木町〜大宮)、埼京線(新宿〜大宮、一部大崎発着)、湘南新宿ライン(逗子〜大宮、北行の一部は宇都宮行き)、高崎線(上野→籠原、下りのみ)、中央線快速(三鷹〜高尾、一部新宿発着)、中央・総武線三鷹~千葉)、青梅線(立川〜御嶽)、総武・成田線(千葉〜成田)とされています。
https://www.jreast.co.jp/press/2021/tokyo/20211213_to01.pdf

また、千葉支社管内では以下の初日の出列車の運転が予定されています。

  • 特急「外房初日の出」:両国0:50発→千倉3:30着(E257系5両)
  • 特急「犬吠初日の出」:両国1:30発→銚子3:39着(E257系5両)

2019年度は山手線、京浜東北根岸線埼京線りんかい線新木場~大崎~大宮)、湘南新宿ライン(逗子~大宮~宇都宮)、横須賀線(品川~逗子)、高崎線(上野~籠原)、中央線各駅停車(東京~高尾)、中央・総武線(中野~千葉)、青梅線(立川~御嶽)、京葉線(東京~蘇我西船橋)、常磐線各駅停車(千代田線代々木上原~綾瀬~我孫子)、成田線我孫子~成田)、総武・成田線(千葉~成田)の13系統で終夜運転が行われました。そのため、今年度は例年に比べると横須賀線(品川発着)、京葉線常磐線各駅停車成田線我孫子〜成田)での実施がなくなり、京浜東北根岸線埼京線では実施区間が短縮、宇都宮線高崎線では下りのみの運転とされるなど縮小が目立ちます。また、中央線では快速と各駅停車が完全に分離されたため三鷹で乗り換えとなっています(快速の一部は新宿まで運転)。この他に山手線などにおいても運転本数が例年より少なくなっています。なお、中止となった2020年度は当初の計画ではイベントの開催状況から京葉線が対象から外れ、中央線については新宿折り返しの快速運転とされる予定でした。

1-2. 東京メトロ実施予定(大幅縮小)

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銀座線の特に上野~浅草では他線より高頻度で運転されることが多い。

12月15日に今年度は銀座線の浅草〜上野に限り終夜運転を実施することが発表されました。この他に銀座線の上野〜渋谷では渋谷方面1:30頃、上野方面2:00頃、丸ノ内線の池袋〜銀座では2:30頃までの終電延長がいずれも15〜30分間隔で予定されていますが、その他の区間では通常ダイヤでの運転となります。
https://www.tokyometro.jp/news/images_h/metroNews211215_69.pdf

2019年度までの例年は支線を含めた全区間終夜運転を行っており、おおむね30分間隔で運転し銀座線などではさらに本数が増える形となっていましたが、今回は大幅な縮小となっています。一部路線では直通先の実施状況に合わせて直通運転も行われており、2019年度は千代田線とJR常磐線半蔵門線東急田園都市線南北線埼玉高速鉄道線副都心線東急東横線で実施されていましたが、こちらについても今回は対象路線が終夜運転を行わないため実施なしとなります。

1-3. 都営地下鉄実施予定(大幅縮小)

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ヘッドマーク掲示した2014年の浅草線5300形

12月17日に今年度は浅草線の浅草橋〜押上に限り終夜運転を実施することが発表されました。この他に三田線の日比谷〜西高島平と大江戸線の都庁前〜春日~清澄白河では2:00頃までの終電延長が予定されていますが、その他の区間では通常ダイヤでの運転となります。

www.kotsu.metro.tokyo.jp2019年度までの例年は全区間終夜運転を行っており、運転間隔は2019年度で浅草線が30分間隔、他3路線は時間帯によりもう少し開く場合もありました。また、浅草線京成押上線新宿線京王新線の間で直通運転も行われていました。2020年度は実施を予定していた他事業者が相次いで中止を発表した後に実施なしと発表していました。

1-4. 横浜市営地下鉄実施なし

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例年はブルーライングリーンラインとも実施されていた。

12月6日に今年度は終夜運転等を行わず、通常の土休日ダイヤで運転することが発表されました。

www.city.yokohama.lg.jp2019年度までの近年はブルーライングリーンラインとも実施していましたが、2020年度は最初から実施なしとしていました。

2. 大手私鉄

2-1. 東武鉄道実施なし

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例年でも東上線などは一部増発にとどまっていた。

12月3日に今年度は終夜運転等を行わず、通常の土休日ダイヤで運転することが発表されました。なお、正月三が日日中時間帯の大師線増発については実施されます。
https://www.tobu.co.jp/cms-pdf/news/20211202164814o0JTiDHgQ2r7TwM6RKW39Q.pdf

2019年度は伊勢崎線の浅草~竹ノ塚と大師線終夜運転を行い、伊勢崎線の浅草~北春日部と東上線の池袋~川越市では通常の終電後と初電前に臨時列車が運転されました。2020年度は最初から実施なしとしていました。

2-2. 西武鉄道実施なし

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以前から終電延長はしても終夜運転はしない傾向にある。

12月3日に今年度は終夜運転等を行わず、通常の土休日ダイヤで運転することが発表されました。
https://www.seiburailway.jp/news/information/20211203_information.pdf

西武鉄道においては2019年度以前についても長らく終夜運転を行っておらず、終電延長のみとする年度が多くを占めています。2020年度は終電延長についても最初から実施なしとしていました。

2-3. 京成電鉄実施予定

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今年度は他事業者に先行してほぼ例年通りでの実施が発表された。

12月3日に今年度はほぼ例年通りの内容で終夜運転を実施することが発表されました。実施区間は本線の上野~成田、押上線、金町線ですが、例年との違いとしてこれまで都営浅草線からの乗り入れで8両編成だった押上線が金町線直通の4両編成に変更されています。これは都営地下鉄が実施しない場合を考慮しているのかもしれませんが、高砂駅が高架ホームに移転してから線内折り返しのみとなっていた金町線においては大きな出来事になるとも言えます。また、普通列車の他にシティライナーも以下のように1往復が運転されます(下り225号:上野22:40発→成田23:34着、上り226号:成田3:10発→上野4:08着)。年が明けてからの日中時間帯の増発も行われ、正月三が日は金町線の増発と本線臼井発着普通列車の成田発着への延長がなされます。また、正月三が日を含めた1月中の土休日にはシティライナーが1往復運転されます(下り91号:上野9:07発→成田10:04着、上り92号:成田15:14発→上野16:15着)。
https://www.keisei.co.jp/information/files/info/20211203_125623667370.pdf

2-4. 京王電鉄実施予定

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京王線では終夜運転でも例年複数種別が運転されるが、縮小の傾向も見られる。

12月10日に今年度は例年と内容に変更はあるものの終夜運転を実施することが発表されました。実施区間京王線の新宿〜高尾山口(今年度は京王八王子発着の設定はなし)と京王新線となり、約60分間隔で各駅停車が運転される他に高尾山口行きの京王ライナーが4本運転される計画となっています。その一方で急行など京王ライナー以外の優等種別の設定はなく、都営新宿線の計画が出ていないこともあり直通運転についても触れられていません。
https://www.keio.co.jp/news/update/news_release/news_release2021/nr20211210_syuuya.pdf

京王線終夜運転においては、高尾山での初日の出を意識して各駅停車だけでなく優等種別も運転されることが特徴となっています。年度によって内容は異なりますが特急や都営新宿線からの直通を含む急行などが運転され、2018年度からは京王ライナーも運転されています。その一方で京王線の本線以外においては縮小傾向であり、2019年度からは相模原線で取りやめ、中止となった2020年度は井の頭線についても当初から実施しない計画でした。今年度も昨年度に続いて大晦日夕方から初日の出まで高尾山の山頂周辺が閉鎖されますが、薬王院までは行けることもあり初詣需要へ対応するため終夜運転が行われます。

2-5. 東急電鉄実施なし(終電後に臨時列車を運転予定)

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東横線は近年終夜運転されることもあるが、田園都市線は運転されない時間帯がある。

12月10日に今年度は終夜運転を行わないことが発表されました。なお、東横線田園都市線では通常の終電の後に渋谷→横浜・中央林間で臨時列車が1本運転される予定です(いずれも渋谷1:25発の各駅停車)。
https://www.tokyu.co.jp/image/information/pdf/2021_nenmatsunenshi_unten.pdf

東急電鉄は元々終夜運転にはあまり積極的ではなく、東横線では副都心線との直通運転を機に2013年度から終夜運転を行うようになったのに対し田園都市線では終電延長と初電前倒しでの対応とし、2:30頃~4:00頃の運転は行わない形としていました(この間の半蔵門線は渋谷折り返しで運転)。また、目黒線についてもかつては田園都市線と同じ対応がされていたことがありますが、現在は通常ダイヤでの運転となっています。

2-6. 京浜急行電鉄実施なし

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近年は2100形浅草線乗り入れ特急「初日号」が目玉であったが…

12月8日に今年度は終夜運転等を行わず、通常の土休日ダイヤで運転することが発表されました。また、元日恒例の臨時特急「初日号」も運転されないことが発表されています。なお、1月1日~10日の日中時間帯における大師線の増発は実施されます。

www.keikyu.co.jp京浜急行電鉄では例年は本線の泉岳寺~横浜と大師線終夜運転が行われ、それ以外の区間は一部区間を除き終電延長と初電前倒し(特急「初日号」含む)が行われていました。特急「初日号」は浅草橋4:00発の1号と品川5:00発の2号が運転され、それぞれに特色のある編成が充当されるのが通例でした。特に2018・2019年度(2019・2020年元日)の1号は2ドア車両2100形が都営浅草線に乗り入れる貴重な機会でしたが、これが見られないとなると寂しさを感じざるを得ないところはあります。

2-7. 小田急電鉄実施なし(初日の出臨時列車は運転予定)

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「ニューイヤーエクスプレス」については1本のみ運転される計画。

11月26日に今年度は終夜運転を行わないことが発表されました。なお、通常の初電の前に新宿発片瀬江ノ島行きの臨時ロマンスカー「ニューイヤーエクスプレス号」を1本運転する他(新宿4:50発→片瀬江ノ島6:05着、50000形VSEで運転)、町田発片瀬江ノ島行きの臨時各駅停車(町田4:30発→片瀬江ノ島5:19着)も運転される計画となっています。
https://www.odakyu.jp/news/o5oaa10000020uko-att/o5oaa10000020ukv.pdf

小田急電鉄では例年、各駅停車の他に「ニューイヤーエクスプレス号」を運転していますが終夜運転が行われた2019年度までは下りを中心にかなりの本数が運転されていました。また、一部は小田原行きの設定もあり、江の島だけではなく大山への輸送も担当していたことがあります。2009年度以降は千代田線発の「メトロニューイヤー号」も運転されるのが通例でしたが、今年度は千代田線が終夜運転を実施しないこともあり運転されない模様です。

2-8. 相模鉄道実施なし

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JR線との直通運転による新線区間では終夜運転が行われなかった。

12月10日に今年度は終夜運転等を行わず、通常の土休日ダイヤで運転することが発表されました。

www.sotetsu.co.jp2019年度は本線といずみ野線(線内運転)でそれぞれ1時間程度の間隔で運転されましたが、新たに開業した西谷~羽沢横浜国大での終夜運転はなく、2020年度は最初から実施なしとしていました。

3. その他の鉄道路線

以下の路線は今年度も終夜運転を実施する予定です。

以下の路線は2019年度まで終夜運転を実施していましたが今年度は実施しません。

今後も新たな情報が入り次第随時更新していきますので、よろしくお願いします。

38. 【運航停止からの突然の発表】JAL、国内線仕様B777を全機退役へ

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本日4月5日、日本航空JAL)から現在運航を停止している国内線仕様ボーイング777型機について、当初の予定より前倒しして昨年度を以て全て退役させたと発表がありました。

www.jal.co.jp

既にANAでもB777を早期退役させる方針が出ており、今回はJALもこれに続いた形となります。今回は、JAL保有する機体を中心に日本国内のB777の現状について見ていきましょう。

su62numa381.hateblo.jp

1. B777-200が9機、B777-300が4機の計13機が対象に

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500席を備えるB777-300も今回全て退役となる。

現在、JALではB777-200、B777-200ER、B777-300、B777-300ERの4種類のB777保有し、ER(航続距離延長型)ではないB777-200とB777-300が国内線仕様、B777-200ERとB777-300ERが国際線仕様とされていました。このうち国内線仕様のB777-200とB777-300については現在以下の機体を保有しています。

B777-200(3クラス375席、9機)

JA8978、JA8979、JA007D、JA008D、JA009D、JA010D、JA771J、JA772J、JA773J

B777-300(2クラス500席、4機)

JA8944、JA8945、JA751J、JA752J

当初の計画では以上の計13機のうち、6機をA350-900などと入れ替える形で昨年度内に退役させ、残る7機は今年度中(2022年春まで)に退役させるとされていました。しかし、JALの国内線仕様B777はいずれもプラット&ホイットニー(PW)製のエンジンを搭載しており、同エンジンを搭載する他社機材におけるトラブルを受けて現在は運航停止を余儀なくされています。さらに、現在は国際線の減便に伴い国際線仕様機材に余裕があることもあり、現在運航停止中で再開時期も未定である国内線仕様B777は整備費の観点からいずれもこのまま退役させる方針に変更されることとなりました。

2. 国際線仕様のB777-200ER、B777-300ERはもうしばらく活躍

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JALB777-200ERは国際線仕様のまま国内線に転用された。

国内線仕様の機材が運航停止となる一方で、国際線仕様の機材はGE製のエンジンを搭載していることから、運航停止の対象外とされています。しかしながら国際線においてはB787-9の導入が進んでおり、同程度の大きさのB777-200ERについては一部退役し、残りはA350-900が出そろうまでのつなぎとして国内線で運航されています。A350-900は2023年春に確定発注分18機が出そろう計画であることから、順調にA350-900の導入が進めばB777-200ERの活躍はあと2年程度と考えられますが、それまでの間はビジネスクラスのフルフラットシートが普通席に1,000円追加で利用出来るクラスJとして使用されます。

www.aviationwire.jp

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JALB777-300ERについては早期退役の計画は特にない。

長距離国際線で使用されるB777-300ERについては、JALではANAの同型機とは異なり早期退役の計画は一切示されていません。後継機としてA350-1000がB777-300ERと同数の13機導入されることが決まってはいますが、A350-1000の導入はA350-900が出そろってから(2023年度以降)とされていることから、しばらくはJALのフラッグシップとしての活躍を続けるものと思われます。

3. 今後しばらくは通常とは異なる機材運用が増える?

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今後JALの国内幹線はA350-900が主力となりそうだ。

今回の件を含めた機材計画変更に伴い、新規導入や退役の対象に含まれていない機材についても機材の運用が変更されています。既に国内線仕様B777が抜けた穴を埋めるために、B777-200ERだけではなくB777-300ERも国内線で使用する状況となっていますが、一部のメディアではさらに国際線仕様のB767-300ERも国内線で使用する、羽田~伊丹線や羽田~福岡線で使用されている国内線仕様のB787-8を羽田~新千歳線でも使用するなどの計画が言及されています。JALと同様に国内線仕様のB777が全て運航停止になっているANAでも似たようなことは行われており、国際線仕様のB767-300ERやB787-8が国内線で使用されることが増えています。なお、機材変更に伴い座席が変更されることがある点については押さえておく必要があります。

今回は以上です。ありがとうございました。

37. 【東海道線は新時代へ】2021年3月JRダイヤ改正をたっぷり考察(その2・首都圏編)

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3月12日の深夜となり、いよいよ翌日3月13日のJR東日本ダイヤ改正が目前となりました。しかし、どう変わるかいまいち理解できていない方も多いはずです。そこで今回は首都圏の変更内容についていろいろと見ていきましょう。

JR東日本のプレスリリースはこちら

1. 特急「踊り子」をE257系に統一、新料金で特急「湘南」運転開始

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E261系「サフィール踊り子」については変更無く運転され、E257系と2枚看板となる。

今回の改正に合わせてE257系2000番台がさらに追加投入され、従来の185系からの置き換えが完了し全ての定期「踊り子」がE257系での運転となります。また、5両編成の2500番台が新たに営業運転を開始し、修善寺に乗り入れる運用で使用されます。さらに、「踊り子」のE257系統一に伴い「湘南ライナー」等のライナー列車が特急「湘南」に変更されてこちらもE257系で運転されます。

今回の改正で車両の変更以外に以下の変更が行われます。

  • 停車駅の見直し(「踊り子」では川崎、大船、小田原、湯河原停車が増加し網代停車が減少)
  • 上り「湘南」は従来のライナー列車から早朝の平塚→東京で1本増発
  • 下り「湘南」は東京発18時~21時まで30分おきと22時・23時に変更

また、常磐線や中央線の特急と同様の新料金が導入され、普通車の全座席が指定可能となるが座席未指定でも利用できる方式となります。これにより東京からの普通車指定席特急料金は以下のように変化します(改正後は車内購入の場合+260円となります)。

  • 湯河原まで  :改正前1,480円改正後1,020円
  • 伊東まで   :改正前1,890円改正後1,580円
  • 伊豆急行線まで:改正前2,410円改正後2,100円
  • 三島まで   :改正前1,970円改正後1,580円
  • 駿豆線まで  :改正前1,970円改正後1,780円

JR東海区間を含む場合の料金を別体系としなくなったためほぼ同じ距離の伊東と三島の特急料金が同額になっています。その一方でこれまで乗車券のみで乗れた駿豆線内でも特急料金が200円かかるようになった点は注意が必要です。また、新料金移行に合わせて「えきねっとチケットレスサービス」が開始され、これを利用すると通常料金より100円(キャンペーン期間中は300円)安く利用することができます。なお、全車グリーン車のE261系で運転する「サフィール踊り子」についてはこの料金は適用されず、従来のA特急料金が適用されます。

www.jreast.co.jp

2. 東海道線宇都宮線高崎線で運転本数や快速停車駅を見直し

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横浜通過の東海道線通勤快速も見納めとなる。

東海道線宇都宮線高崎線の列車のうち、東京や上野で折り返す列車を含めた上野東京ライン系統では普通列車の他に愛称付きの快速、そして平日の夕方以降は通勤快速が運転されています。このうち愛称付きの快速で日中にも運転されているのが東海道線の「アクティー」であり、従来のダイヤでは1時間に熱海行きが「アクティー」1本と普通2本、小田原行きが普通3本運転されていました。今回の改正では日中の「アクティー」が普通列車に変更され、小田原行き3本のうち2本が平塚止まりに短縮されます。これにより辻堂では停車本数が増加し、列車順序の入れ替えで行き先のバランスも改善されますが平塚~小田原の運転本数が減少します。また、夜間帯の下りでは平日は通勤快速、土休日は快速「アクティー」を運転していますが今回の改正で全て快速「アクティー」に統一されます。これにより、通勤快速の運転はなくなり快速「アクティー」は夜間帯の下りのみの運転となります。

快速列車の停車駅見直しは宇都宮線高崎線でも行われます。宇都宮線高崎線とも通勤快速の停車駅が快速(宇都宮線「ラビット」、高崎線「アーバン」)と揃えられ(宇都宮線は尾久を通過し蓮田に停車、高崎線は尾久を通過し上尾と桶川に全列車停車)、こちらにおいても通勤快速の種別名はなくなることとなります。この他、宇都宮線の快速については湘南新宿ライン含め新たに東大宮に停車します。東海道線の辻堂もそうですが、快速通過駅でありながら利用客の多い駅ですので停車は妥当と言えるでしょう。その一方で宇都宮線高崎線とも日中毎時1本ずつの上野折り返し列車が削減され、宇都宮線においては夕方以降にも宇都宮行きから古河止まりに短縮される列車があります。

 

3. その他線区での変更点

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山手線でも朝時間帯の本数が数本減少する。

その他の首都圏の各線でも運転本数が見直されます。山手線では両方向とも朝時間帯に運転本数が見直される他、常磐線各駅停車では朝夕のみ行われている我孫子~取手での運転が土休日は全て取りやめられます。高崎線の特急「あかぎ」(土休日)「スワローあかぎ」(平日)については一部列車が運転取りやめとなり、残る列車も高崎までの運転とされます。また、首都圏の多くの路線では終電繰り上げが行われますが、これについては他社線も合わせて今後別の記事で詳しく見ていきます。

次の朝からは新ダイヤになりますが、これからの1年が鉄道にとって良い1年になることを願って本記事を締めさせて頂きます。

36. 【日中のJR線直通は全て各停に】2021年相鉄ダイヤ改正を考察してみる

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2月2日、相模鉄道(相鉄)から令和3(2021)年3月のダイヤ改正の概要が発表されました。今回は3月13日に改正が実施されます。全時間帯においてかなり変更されますが、どこがどう変わるか見ていきましょう。

相模鉄道のプレスリリースはこちら

 

1. 平日朝時間帯は種別・行先を入れ替え利便性向上

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平日の横浜発着特急は日中中心の運転だが、朝の上りにも一部運転される。

現在の平日朝時間帯は海老名からは特急(JR線直通含む)と急行を中心に一部は各停を運行し、湘南台からは通勤特急、通勤急行(いずみ野線内は各駅に停車)、各停を運行する形となっています。今回の改正では、海老名発横浜行きの特急や急行が増発され、朝時間帯の海老名発の電車はほぼ全てが特急か急行で揃えられます。これにより、現在は海老名7時台発の運行が少ない横浜行きの特急が6時台発と同様にJR線直通特急と交互に運行されます。

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橙は特急、赤は急行、青は快速、黒は各停、斜体は通勤種別を示す(以降の時刻表も同じ)。

これに伴い、海老名7時台発などの各停は湘南台発に回され、湘南台7時台発のいずみ野線上りは通勤急行1本(二俣川でJR線直通特急に接続)と各停2本(二俣川で横浜行き特急・急行に接続)が合わせて5分間隔で運行されるダイヤとなります。また、いずみ野線内で通過運転を行う通勤特急は最混雑時間帯を避けて湘南台6・8時台発に変更し、オフピーク通勤向けの種別とされます。

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その他にも若干の変更があり、全体の本数は微増するものの種別格上げに伴い一部の駅では停車本数が減少します。また、JR線直通では新宿行き2本が池袋行きに延長される他、早朝の羽沢横浜国大→西谷の区間運転が増発されます。

2. 平日夕方時間帯は快速を増やして混雑平準化

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最近の快速は海老名行きとしても運転され、本数も増えている。

長らく20分サイクルでダイヤが組まれている平日の横浜18・19時台発下りは現在、海老名行き急行2本、湘南台行き快速1本、各停3本(海老名行き1本と湘南台行き2本)が運行されています。しかし、海老名行きが3本続いた後に湘南台行きが3本続くなど混雑のバランスが悪くなっていることから、今回の改正では湘南台行き各停1本が海老名行き快速に変更されます。また、海老名行き急行2本の内1本は湘南台行き各停、湘南台行き快速は海老名行き各停に二俣川で追いつくため、海老名まで3本、湘南台まで2本の有効本数がある程度バランスを取って確保されます。これにより本線の二俣川~海老名では停車本数が増加する一方、各停のみ停車する駅やいずみ野線内では日中と同じ毎時6本にまで減少します。

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3. 日中の運行パターンを見直しJR線直通といずみ野線は全て各停に

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相鉄の定番行先である急行海老名行きが日中運転されないのは2014年改正以来。

現在は平日・土休日とも日中(横浜10~16時台発)JR線直通電車が毎時2本運行され、1本は特急、もう1本は各停となっています(JR線内はいずれも各駅に停車)。しかし、特急では海老名や大和、二俣川以外の利用客には使いづらく、海老名や大和では小田急線に運賃や利便性で全く及ばない状況となっています。そのため、JR線直通特急は乗車率がかなり悪い種別となっており、今回の改正ではこれを各停に変更した上で他の系統でも本数が過剰気味な部分を見直す形となっています。この見直しにより横浜発着の電車は海老名へは特急2本と快速4本、湘南台へは各停6本となり、完全な30分サイクルとなる一方で日中は特急運転開始前の定番種別・行先であった「急行海老名行き」と「快速湘南台行き」の運行がなくなります。

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本線の二俣川~海老名では快速かJR線直通各停が合わせて10分間隔で運行されるダイヤとなり、JR線直通各停については接続する横浜発着特急もセットで運行されます。その一方でいずみ野線内は各停のみの運行となり、横浜へ急ぐ場合には二俣川での乗り換えが必須となります。

4. 土休日夕方時間帯はJR線からは特急、横浜からはその他種別に

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JR線直通特急は日中運転されなくなるが、土休日の夕方以降は逆に増える。

先ほど利用客が少ないと書いたJR線直通特急ですが、逆に増える時間帯もあります。現在JR線直通電車は夕方以降平日は特急、土休日は各停となり、その代わり平日は横浜発着特急を運行しない形となっています。今回の改正では平日と同様にJR線直通は特急、横浜発着は急行以下の種別で運行する形に変更されます。日中と同様に各停が湘南台行き、快速以上が海老名行きで運行され、二俣川で相互に接続が取られる形となります。

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5. 平日深夜時間帯は土休日並みの本数に見直し、終電繰り上げも

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終電繰り上げ後も横浜発の最終はかしわ台行きである。

感染症の影響で利用動向が大きく変化しており、特に深夜時間帯の利用客は大きく減少しています。2020年の1月と12月を比較すると、22時台の利用客は3割程度減少し23時台以降は半減とされています。これに伴い平日を中心に22時台以降の運行本数を減らし、現在の土休日ダイヤと同程度で揃えられます。また、終電後の作業時間確保を目的とするため、一部区間を除く平日の上下線と土休日の上りで終電が15~20分程度繰り上げられます。これにより、相鉄線の終電は以下のように変更されます。

  • 横浜→海老名:平日のみ24:35→24:15(△20分、土休日現行で統一)
  • 横浜→かしわ台・湘南台:平日のみ24:42→24:27(△15分、土休日現行で統一)
  • 海老名→横浜:23:55→23:38(△17分、平日・土休日共通)
  • 湘南台→横浜:23:59→23:38(△21分、二俣川乗り換え、平日・土休日共通)
  • 湘南台二俣川:24:26→24:09(△17分、平日・土休日共通)
  • 海老名→二俣川とJR線直通は繰り上げなし

今回は以上です。ありがとうございました。

www.youtube.com

35. 【田園都市線は優等中心に】2021年3月東急ダイヤ改正を考察してみる

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1月26日、東急電鉄から令和3(2021)年3月のダイヤ改正の概要が発表されました。今回は3月13日に全線一斉で改正が実施されます。また、東急電鉄相互直通運転を行う東京メトロ東武鉄道西武鉄道でも同日にダイヤ改正の概要が発表されています。今回は、東急線と直通先の各路線で大きく変化するところについて見てみましょう。

東急電鉄のプレスリリースはこちら

東京メトロのプレスリリースはこちら

 

1. こどもの国線を除く全線で15~30分程度終電繰り上げ

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地下鉄と直通する路線では合わせて深夜帯のダイヤが見直される。

ホームドアなどの設備増加に伴う保守業務量の増加などに対応するため、東急線全線で深夜帯のダイヤが見直され、こどもの国線を除く全線で終電時刻が15~30分程度繰り上げられます。また、直通運転を行う東京メトロ半蔵門線副都心線南北線などの他社線でも合わせて終電時刻の繰り上げが行われます。今回の改正により、渋谷や目黒といった都心側のターミナル駅を発車する東急線各線などの終電は以下のように変更されます。

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特に現状ではかなり遅くまで運転されている平日の東横線田園都市線の終電が大幅に繰り上がり、平日と土休日の終電がほぼ同じになっていることが分かります。また、相互直通運転を行う半蔵門線副都心線南北線をはじめとする東京メトロ各線でも東急線ほどではないものの平日を中心に終電が繰り上げられますが、都営地下鉄では微調整のみにとどまる予定とされています。

2. 田園都市線大井町線で日中の運転パターンを大幅に変更

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改正後は6000系田園都市線乗り入れがさらに増える。

今回のダイヤ改正では、深夜帯以外の時間帯でも、日中時間帯(10時台~16時台)を中心に利用動向の変化に合わせて運行ダイヤの適正化が実施されます。特に大きく変化するのが田園都市線大井町線で、以下のように1時間あたりの本数が変化します。

  • 田園都市線渋谷発:急行4本準急2本各停8本→急行3本準急3本各停6本
  • 田園都市線中央林間発:急行6本準急2本各停6本→急行6本準急3本各停6本
  • 大井町線急行4本各停10本→急行3本各停9本(青、緑の区分は不明)

これにより、以下のように変化することが読み取れます。

特に太字で示した部分についてはかなり意外でしたので、詳しく見ていきましょう。

2-1. 東急で20分サイクルは異例

田園都市線においては、2003年の東武線との直通開始で急行4本と各停8本の体制が確立され、以降も大井町線急行の乗り入れや日中時間帯の準急運行開始をはさみつつも15分や30分単位でのサイクルを基本としていました。そこから一転、今回の改正では運行本数が全て3の倍数となることから、20分サイクルに移行するものと見られます。

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近年の田園都市線日中の運行パターンを比較してみる。

東急の他の路線の1時間あたりの本数を見てみると、

となっており、こどもの国線以外は全て偶数で15分または30分サイクルで回るダイヤとなっています。その一方で中央林間で接続する小田急江ノ島線長津田で接続するJR横浜線など20分サイクルのダイヤを組む他社線とも接続しているため、そちらとの接続は改善されることも考えられます。

2-2. 優等中心ダイヤも東急では異例

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短編成・高頻度運行の支線を持つこともあり東急は「本数重視」の印象が強い。

首都圏の大手私鉄各社は主要路線で急行などの速達種別と各駅停車を組み合わせたダイヤを採用しています。速達種別と各駅停車の比率や速達種別の種類は様々ですが、その中でも東急はかつて「都心へ100本」の広告を出すなど本数を重視し、特に各駅停車に多くの本数を割り当てているように見受けられます。特に東横線では各駅停車を日中毎時10本運行しており、他社線に比べて各駅停車重視の色がとても強いです。以下、首都圏の大手私鉄の本線格となる各線についてターミナル駅を発着する日中時間帯の毎時運転本数とそのうちの各駅停車の本数をまとめると、

  • 東急東横線(渋谷):18本中10本が各駅停車
  • 西武池袋線(池袋):15本中8本が各駅停車(地下鉄直通は10本中6本)
  • 東武東上線(池袋):16本中8本が各駅停車(地下鉄直通は4本中2本)
  • 京成本線(上野):12本中6本が各駅停車(地下鉄直通は3本中0本)
  • 相鉄本線(横浜):14本中6本が各駅停車(JR線直通は2本中1本)
  • 京王線(新宿):15本中6本が各駅停車(地下鉄直通は6本中0本)
  • 京急本線(品川):18本中6本が各駅停車
  • 小田急小田原線(新宿):21本中6本が各駅停車(地下鉄直通は3本中0本)

となります。そんな中、東横線と並んで東急のもう一つの本線である田園都市線では、各駅停車の比率が14本中8本から12本中6本に引き下げられます。準急が各駅に停車する渋谷~二子玉川長津田~中央林間はまだしも大井町線急行が合流して準急が通過運転を行う二子玉川長津田では完全に速達種別メインに変わったと見て良いでしょう。東横線は渋谷~横浜を結ぶ以上沿線はずっと都市部ですが、田園都市線は郊外路線としての役割も東横線に比べると強くなりますし、他社線のようにある程度の距離を重視するといった考えでしょうか。とは言え、こどもの国線以外の全線で全駅日中毎時8本を確保していた東急なだけに、かなり意外な変更です。

3. その他の各線でも運行本数を見直し

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こどもの国線は終電繰り上げの対象外だが、本数見直しや接続改善がなされる。

ここまでに説明した田園都市線大井町線の他に池上線、東急多摩川線世田谷線でも日中時間帯の運行パターンが見直され、いずれも平日のみ6分間隔から7~8分間隔に変更されます。さらに田園都市線、池上線、東急多摩川線世田谷線こどもの国線では夕夜間の運転本数が見直され、全体的に17時台~18時台は増加、21時台以降は減少となります。また、田園都市線では平日朝の中央林間始発急行・準急が拡充されます。その一方で東横線目黒線は日中時間帯の運行パターンを変更しない計画となっています。

今回はここまでです。2021年初めての記事となりましたが、今年もよろしくお願いします。

34. 【木更津~上総一ノ宮直通へ】2021年3月JRダイヤ改正をたっぷり考察(その1・千葉編)

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12月18日、JR各社から令和3(2021)年3月のダイヤ改正の概要が発表されました。今回は3月13日に改正が実施されます。まず今回はある程度大きな変化があるJR東日本の千葉支社管内について見ていきましょう。

千葉支社のプレスリリースはこちら

 

1. E131系を内房線外房線に導入し木更津~上総一ノ宮で直通運転開始

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E131系でも一部区画にボックスシートが設置される。

2両編成の新型車両E131系が内房線木更津~安房鴨川外房線上総一ノ宮~安房川に導入され、ワンマン運転を開始します。現在は外房線については一部の列車を除き千葉~安房鴨川まで直通で運行されていますが、改正後は日中を中心に上総一ノ宮で乗り換えとなります。その一方で安房鴨川での乗り換えは一部の列車を除きなくなり、内房線外房線を直通して木更津~上総一ノ宮で直通運転となります。E131系には半自動ドア機能が付いているため、ドアはボタンを押して開け閉めする形となります。E131系は鹿島線においても同様の形で導入され、一部の列車はワンマン運転は行わないものの成田線成田~佐原でも営業運転を行う計画となっています。

2. 209系も含めた内房線外房線の運用はどうなる?

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千葉県内では元京浜東北線の209系が大量にいるが、製造から約四半世紀が経過した。

今回E131系が導入される区間では、一部の列車を除き209系が使用されています。発表されたプレスリリースの中ではE131系を使用するワンマン運転列車と209系を使用するその他の列車の運転区間も示されています。そこから分かることをまとめると、

  • 日中の君津~安房鴨川~上総一ノ宮は全てE131系で運転
  • 朝と夕方以降は内房線千倉、外房線安房鴨川まで209系も使用
  • 内房線千倉~安房鴨川は全列車E131系で運転
  • 内房線では朝に君津ではなく上総湊で乗り換えの場合あり
  • 外房線では朝と夕方以降に上総一ノ宮ではなく大原や勝浦で乗り換えの場合あり

となります。朝や夕方以降に千葉方面の列車とE131系使用列車の乗り換え駅を下り方面にずらすことが書かれているため、E131系は特に朝時間帯において房総半島の中でも先の方の区間での運行となることが考えられます。E131系は2両編成で編成数も12本と限られていて2本連結の4両編成とすると使用できる区間は短くなってしまうため、2両編成では足りない時間帯はこのような形としているのでしょう(今までに入っている情報から考えると、E131系は当面の間4両が最長編成となる可能性が高いです)。なお、夕方時間帯(16時頃~20時頃)には内房線で上総湊折り返しの列車が毎時1本増発され、君津~上総湊間の各駅では千葉~上総湊の209系使用列車と木更津~館山方面のE131系使用列車の2本立てとなります。これについては内房線は元々外房線より本数が少なめだったことと、短編成の少ない列車に一時的に多数の客が集中することを避けるために増発されたものと思われます。また、今回のE131系導入で209系がある程度余ることが予想されます。どれくらい余るかについては千葉発着の列車の両数をどうするかにもよるので現時点では予想が難しいです。千葉支社管内のNew Daysでは両数表記入りの時刻表が発売されているので、それが手に入るのを待つしかないのでしょうか?

3. その他の変更点

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総武快速線は終電繰り上げの対象外だが、運転本数が見直される。

この他にも内房線外房線では列車間の接続などが改善されます。京葉線には1日1往復勝浦まで直通する列車がありますが、朝の勝浦発については列車順序の入れ替えで上総一ノ宮での停車時間を短縮し所要時間が短縮されます。また、E257系5両編成で運転される特急「わかしお」については土休日のみ指定席3両、自由席2両に変更されます。房総方面の特急についてもいずれ常磐線や中央線の特急と同じ方式に変更されるという見方もありますが、それに向けて指定席を増やすことでネット予約をしやすくするのが目的でしょうか。

千葉支社管内では総武線各駅停車と京葉線において終電の繰り上げが行われ、改正後の終電は以下のようになります。

これに伴い接続を考慮してその他の路線でも時刻が変更される他、総武快速線内房線(千葉~木更津)で運転本数の見直しがされる計画となっています。

今回はここまでです。今後も気になるところを中心にダイヤ改正の考察記事を順次書いていく予定です。

33. 【中距離LCC立ち上げも】ANA、B777型22機を早期退役しコスト構造見直しへ

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本日10月27日、ANA HDは感染症の影響で航空需要の「量」と「質」の変化が予想されることから、ANAグループのビジネス・モデルを変革させることを発表しました。発表された事業構造改革案は

  1. エアージャパンを母体に第3ブランドを立ち上げ、中距離LCCに進出
  2. プラットフォーム・ビジネスの具現化などにより非航空収益を拡大
  3. エアライン事業規模を一時的に縮小し、固定費を削減

の3項目を軸としており、本記事ではエアライン事業に関係する1と3を中心に詳しく見ていきましょう。

ANA HDの公式発表はこちら

1. 2022年度を目途にB787型機を活用した中距離LCCを運航開始

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近年のANAの成長を支えたのは紛れもなくB787型機である。

ANAグループには本体の全日本空輸ANA/NH)以外にもいくつか航空会社が存在し、その中の一つにエアージャパン(AJX/NQ)があります。エアージャパンは外国人パイロットを採用し本体から近~中距離国際線や貨物便の運航を受託していますが、今回の事業構造改革案ではこれを母体に第3ブランドを立ち上げることが発表されました。

新たに立ち上げられる第3ブランドは、300席級のANAで使用されているボーイング787型機を活用した中距離LCCとなる予定で、東南アジアや豪州のレジャー需要獲得を担うエアラインとして2022年度を目途に運航開始とされています。ANAグループのLCCとしては既にPeach Aviation(APJ/MM)がありますが、Peachが短距離路線中心にモノクラスの短通路機で運航するのに対し、第3ブランドは2クラスで運航するとされています。立ち位置的にはJALグループのZIPAIR Tokyo(TZP/ZG)に近いものとなり、FSC、短距離LCC、中距離LCCの3部門でANAグループとJALグループが競合することになりそうです(ただし、ZIPAIRは欧米などの長距離路線にも参入する意向なのでANAの第3ブランドとはあまり路線がかぶらない可能性もありますが)。

2. 顧客データなどを活用し非航空事業を強化

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飛行機に搭乗するのにマイレージを登録しないのはもったいないものである。

 ANAを含め世界各国の大手の航空会社ではマイレージプログラムを実施していて、飛行機に搭乗すると距離や支払った金額(チケットの種別)などに応じてポイントがもらえるようになっています。ANAマイレージクラブはグループ会社のANA Xによって運営され、マイレージプログラムなどを通じて集まった顧客データを活用した事業も行われています。今回の事業構造改革案では、旅行事業をANA Xと統合させてプラットフォーム事業会社へと再編することなどが発表され、エアライン事業、旅行事業、ANAカード事業を中核にプラットフォーム・ビジネスを具現化するとされています。

3. 機材数を削減し一時的にエアライン事業規模を縮小

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グループ全体で300機ほど保有するが、1割程度削減される。

現在は各国における出入国規制の影響もあり国際線は多くが運休しており、国内線についても利用客は例年に比べて少ない状況が続いています。今年度(2021年3月期)はグループ全体で5100億円の赤字となる見込みであることも発表され、この危機を乗り切るためにはコスト削減は避けられない状況となっています。その一方で飛行機は飛ばないからといって何もせずほったらかしにしていいものではなく、いつでも飛べるように定期的に整備をする必要があります。そのため、収入は激減しているが支出は相変わらずであるのが現状であり、固定費を削減するためには飛行機の数を減らして路線の見直しをせざるを得なくなっています。今回の発表では、

  • A380型3号機の受領延期などにより、新規導入機材を16機→13機に削減
  • B777型機などを追加で早期退役させ、退役機材を7機→35機に追加
  • Peachでも機材計画を見直し、グループ全体で当初計画から33機削減

とされています。これに合わせ、ANAの国際線は羽田便を優先して運航を再開し、国内線では機材の小型化やPeachとの路線分担を進める計画となっています。

ANAでは4月時点では以下のように機材を導入・退役させる計画となっていました(参考)。

導入機材(13機)
  • A380型×1機
  • B787-9型×5機→順次導入中
  • A321neo型×7機→順次導入中
退役機材(9機)
  • B777-200型×1機→JA706Aが退役済み
  • B767-300型×1機→JA8342が退役済み
  • B767-300BCF型×1機
  • B737-700型×3機
  • B737-500型×3機→JA305K、JA306K、JA307Kが退役済み

この計画が後に16機導入、7機退役に変更され今回改めて13機導入、35機退役に変更されたものと考えられます。今回受領延期となった3機の中にはA380型1機とともにB777型1機も含まれており、これは今後のフラッグシップ機となるB777-9X型機であると考えられます。また、今回早期退役が決まった28機のうち、22機は大型機であるB777型機とされています。ニュース記事には内訳も記載されており、以下のようになっています。

www.aviationwire.jp

  • B777-300ER型×13機
  • B777-300型×2機
  • B777-200/-200ER型×8機(1機退役済み)
  • B767-300/-300ER型×6機(1機退役済み)
  • B737-700型×4機
  • B737-500型×2機(退役済み、JA305Kは昨年度分としてカウント?)
  • B767-300BCF型機は退役なし?)

ANAB777は-200、-200ER、-300の3タイプが国内幹線で、-300ERがフラッグシップ機として長距離国際線で使用されています。現在は国内線用のB777-200型機(以降-200ERを含む)と国際線用のB777-300ERの一部で新シートの導入が進む一方、今後後継機として国内線用B787-10型機を11機、国際線用B777-9X型機を20機導入する計画となっています。そのため、後継機が来るまで需要が戻らないと判断して置き換え予定分を先行して退役させることが考えられます。ここからは、各タイプごとに現状を見ていきましょう。

B777-300ER型機(28機在籍→12機新シート導入、13機退役予定)

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初号機のJA731Aはスターアライアンス塗装で異彩を放つ。

B777-300ER型機は羽田・成田~欧米主要都市といった長距離国際線で使用される現在のフラッグシップ機です。現時点でJA731A~JA736A、JA777A~JA798Aの28機が在籍しています。いずれの機材もファーストクラスを8席、プレミアムエコノミーを24席有しますが、ビジネスクラスやエコノミークラスの割り当ては機材によって異なり、264席、250席、212席、新212席の4種類が存在します。政府専用機の整備も考慮して2019年に追加導入されたJA793A~JA798Aの6機は最初から新212席仕様で、個室タイプのビジネスクラス座席「THE Room」を備えています。

www.ana.co.jp現在は在来機の改修も進められ、最終的に12機が新212席仕様とされる計画です。改修状況を考慮すると2010年に導入され比較的新しいJA784A~JA789Aが該当すると考えられます(JA790A~JA792Aはリース導入のため対象外?)。それより古いJA783Aまでの機数が今回発表された退役予定と同じ13機であり、そのためJA783Aまでが退役の可能性が高いと考えられます。ANAでは今後後継機のB777-9X型が20機導入される予定があり、置き換えられる分を前倒しで退役させ、需要の戻りに合わせてB777-9X型機を入れていくことが予想されます。

B777-300型機(7機在籍→2機退役予定)

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圧巻の514席で羽田~那覇線が主な活躍の場だった。

B777-300型機は国内線の主要路線で使用される機材です。座席数は圧巻の514席(プレミアムクラス21席、普通席493席)を誇り、特に羽田~那覇線では修学旅行など団体利用が入った際に威力を発揮します。ですがここ最近は稼働率が非常に低くなり、完全に持て余してしまっている感があります。7機中5機が導入から20年を超え、B777-200型機とは異なり新シート導入の予定もないことから7機全ての退役もあり得ると考えていましたが、意外にも退役予定は2機のみとなりました。2022年度からは後継機の国内線仕様B787-10型機が入る予定であり、残存しても見られる機会は意外と少ないかもしれません。

B777-200型機(19機在籍→8機新シート導入、7機退役予定)

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羽田~主要都市の主力機材だったB777-200型機。

B777-200型機は国内主要路線で用いられる機材であり、少し前までは羽田空港に行けばたくさん見られる機材でしたが、ここ最近は小型化で仕事が減っているように感じます。厳密には航続距離を延長した-200ERもいますが、現在は-200ERも国内線仕様となっているため、まとめて扱います。今年度に入ってJA706Aが退役し、現時点でJA702A、JA704A、JA705A、JA707A~JA717A、JA741A~JA745Aの19機が在籍しています(うちJA707A~JA710AとJA715A以降は-200ER)。これまでプレミアムクラス21席、普通席384席の合計405席となっていましたが、現在新シート導入が進められ、導入された機材ではプレミアムクラス28席、普通席364席の合計392席となっています。導入対象は8機とされており、現在の導入状況から考えると比較的新しいJA715A以降に導入されることが見込まれます。となればJA714Aまでの11機はそう遠くないうちに置き換えが予定されていることが考えられ、早期退役の対象は7機なのでJA710Aまでが含まれていると見て良いでしょう。

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B767-300/-300ER型機(23機在籍→5機退役予定)

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JA8971はANAの全旅客機で最古参かつ最後のJA8000番台である。

B767-300/-300ER型機はANAの国内線ではプレミアムクラス10席、普通席260席の合計270席となっており、B777型機が主力の主要路線では小さめの機材として、単通路機が主力の地方路線では大きめの機材としてといったように幅広い路線で使用されています。今年度に入って最後の非ER型のJA8342が退役し、現時点でJA8971、JA604A~JA611A、JA614A~JA627Aの23機が在籍しています(JA601A、JA602A、JA612A、JA613Aはエア・ドゥに移籍、JA603Aは貨物機に改修)。このうちJA619A以降の9機はウィングレット付きの国際線仕様(ビジネスクラス35席、エコノミークラス167席の合計202席)となっています(導入経緯から一部では「詫び767」と呼ばれることもあるとか)。今回は5機が退役対象となりましたが、最古参のJA8971(1997年導入)は別としてJA604A~JA611Aはいずれも2002~2003年導入と年の差がほとんどなく、どの機体が退役するかは予想が難しいところです。過去に退役したER型には貨物機に改修された機体もありますが、まさかの改修再開とかもあるのでしょうか...?

B737-700型機(8機在籍→4機退役予定)

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初号機のJA01ANはモノクラスでエア・ドゥからの出戻り機である。

B737-700型機は現在ANAに在籍するジェット旅客機では最も座席数が少ない機材となります。基本的にプレミアムクラス8席、普通席112席の合計120席ですが、エア・ドゥに移籍した後ANAに出戻りしたJA01ANのみ普通席のみ144席となっています。2005年から導入され、当時は国内線から近距離国際線までANAの小型機をこれで統一することも考えられていたようです。しかし小さすぎと判断されたのか導入は16機で打ち切られ残りはB737-800型機に変更、さらに9機がエア・ドゥへ移籍(前述の通り後に1機出戻り)、近年はA320neo型機の導入で国際線運用から完全に外されるなど少数派ゆえに安定した活躍の場が見つからない状況が続いています。国内線専属になっても機内Wi-Fiが搭載されなかったため、近々何らかの動きがあるのではと見られていましたが、最近はA320neo型機が国内線の応援に入っていることもありいよいよそのときが来たと見て良いでしょう。導入年が近い機体が多く、別仕様のJA01ANを除けばどの機体が退役対象になるかは予想が難しいところです。

今回はここまでです。本ブログ初めての航空関連記事でしたが、いかがでしたか?