むつぬま雑学研究室新館

交通関連の考察記事を中心にいろいろ書いていきます。鉄道時々航空(予定)、2019年9月5日よりYahoo!ブログから移転。

18. 12月から中央快速線へ!? 209系1000番台のこれからの使われ方を考える

今回は最近話題(?)のこの車両についてです。
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常磐線各駅停車と直通先の東京メトロ千代田線で運用中の209系1000番台です。

1. 209系1000番台のあらまし

1999年12月改正から増発に伴い2編成が運転を開始し、以来203系やE233系2000番台に混じって少数派閥での活躍を続けてきました。車両規格を地下鉄仕様とし、MT比を6:4としたことで加速度も向上しているのが特徴です。長らく他のJR車と運用は共通で、千代田線では東京メトロ06系207系900番台に次ぐレア車両とされましたが、2016年3月改正でJR車の小田急線乗り入れと小田急車の常磐線乗り入れが開始。その対象のJR車はE233系2000番台のみとされたため、近年は小田急に乗り入れない一部の運用に限って使用されています。2018年に入り、常磐線各駅停車では発車メロディが車上メロディとなりましたが、これも209系1000番台は対象外で、この場合は従来の発車メロディが用いられます。その後、1編成が運用離脱し、現在は1編成だけが現役ですが、これも10月13日のイベント列車での運用で終了する見込みです。

2. 現在209系1000番台が入りうる運用は?

209系1000番台はJR車の運用で小田急線内に入らない運用のみに入るため、以下の運用のいずれかに入る可能性があります。
  • 平日→07K、19K、23K、27K、35K
  • 土休日→27K、29K
この中で日中も運用され、取手に顔を出すのは平日35Kのみ、これと平日27K以外は朝に我孫子/松戸~代々木上原を1往復するだけの運用ばかりと、見かける機会はかなり少ないです。

3. 今後209系1000番台はどうなるのか?

常磐線各駅停車での運用を終えた後、209系1000番台は八王子支社管内に転属し、中央快速線E233系0番台の12両編成対応用の予備車として使用される見込みです(JR東労組八王子地本によると、12月から運行開始予定)。E233系0番台は今後、トイレ取付けなどが予定されているため、予備車がかなり多く必要とされることが考えられ、高架化工事の際に引退予定だった201系を2編成だけ残したのと似たような対応となります。

4. 中央快速線での209系1000番台の運用は?

まず、209系1000番台をどの程度中央快速線に適合させるかであるが、12月から運行開始するのであれば、大掛かりな改造をする余裕はないものと考えられます。加えて、仮にE233系0番台の12両編成化が完了した後に運用数が増えたとしても、209系1000番台グリーン車を組み込んで残ることはまずありえないでしょう。そのため、209系1000番台中央快速線で運用されるのは計画通りなら5年程度、帯の張替えや保安装置のATCからATS-Pへの交換といった最小限の変更しかされないと思われます。しかし、そうなると以下の問題が生じます。
  • 209系1000番台パンタグラフ付きの車両の番号には、「◆」マークが付いていないので、トンネルがある高尾から西には入れないのでは?
  • 209系1000番台には半自動スイッチが付いていないため、これに加えて青梅線にも基本的に入らないのでは?
そのため、209系1000番台の運行区間は、東京~高尾のみになることが考えられます。過去にはE217系が数編成東海道線で運行されましたが、このときも東京~熱海のみで基本的に終日15両編成の限定運用に入り、前述した201系についても最後まで残ったのはH編成でしたが、実質T編成として扱われたため、この扱いをすること自体は可能でしょう。そのうえで209系1000番台が入るであろう運用をあぶりだしてみると、以下のようになります。なお、H編成の運用についても、途中で分割・併合がないものについては含めています。
  • 平日→01T、05T、13T、15T、29T、35T、65T、73T、75T、83T、85T、01H
  • 土休日→07T、11T、15T、21T、27T、55T、57T、65T、69T、73T
この中には1日では完結しないであろう運用(出庫する駅と入庫する駅が異なるなど)も多いため、このすべてに入るとは限りませんが、逆に他とつながらない運用(特に、豊田を出て豊田に戻ってくる運用)には入りやすいといえるでしょう。また、209系1000番台は車体幅の関係で定員が少なく(E233系0番台のT編成はおろか、H編成よりも少ないとも)、なるべく平日朝の上りには入れたくないでしょう。平日運用で出庫と入庫が同じ駅なのは13T(武蔵小金井)、35T、83T、85T、01Hで(八王子出庫、高尾入庫だが65Tも該当?)で、平日朝混雑時間帯(上り新宿着7:30~9:30)に一切入らないのは15T、83Tとなります。そのため、83Tが一番入りやすく、次いでそれよりは少し混雑するものの85T、01Hと予想できます。土休日の入れる運用で豊田を出て豊田に戻ってくる運用は見当たりませんが、混雑を気にしなくてよい分、運用の自由度はあると思われます。

17. 「ホリデー快速富士山」の混雑について考える

気が付いたら8か月振りで、しかもようやく今年初の投稿です。
ずっと放置していたダイヤ改正関連については、(できれば)これから振り返りという形で書こうと思いますが、それにも関連する内容として、今回はこれについて考えてみます。
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臨時列車扱いながら毎週末、新宿~河口湖で運転している「ホリデー快速富士山」です。朝に河口湖行きの1号、夕方に新宿行きの2号が運転されています。

1. 2018年3月改正における「ホリデー快速富士山」の変化

前回の記事で、
  • E351系189系の置き換えとして活用できないのだろうか?
的なことを書きましたが、実際にはE351系ではなくE257系、それも前から持て余し気味だった房総特急用の500番台が3月改正からこの「ホリデー快速富士山」などの中央線臨時列車に入り、豊田車両センター所属の189系はそれと入れ替わりに引退という形になりました。それにより、以下のような変化が起こりました。
  • 1編成の両数が6両から5両に減った
  • これにより、「ホリデー快速富士山」の自由席は4両から3両に減った
  • E257系は1両あたりデッキ1か所が基本なので、編成中のデッキの数が12か所から6か所に減った
以上を踏まえると、189系だったこれまでよりかなり混雑が増しているものと考えられます。この他、停車駅の面でも変化があり、これまで止まっていた三鷹は通過となり、新宿の次の停車駅は立川となりました。
上の動画は2018/06/17夕方の「ホリデー快速富士山2号」の車窓を撮影した動画ですが、冒頭部分に河口湖発車前の車内の様子を入れています。この日は河口湖発車時点で座席がすべて埋まり、さらに富士急ハイランドでのイベントの影響もあり、新宿まで非常に混雑していました(動画内のアナウンスからも聞き取れます)。また、189系による最後の運転日(2018/03/11)の1号にも大月まで乗りましたが、その際も高尾まではかなり混雑し(あまりの混雑のためか、高尾からは高尾始発の普通列車に乗り換えた人もいた模様)、その後も大月まで座れることはありませんでした。

2. なぜ「ホリデー快速富士山」は混むのか?

考えられる理由としては、
  • いわゆる「乗り得列車」であるから
  • 10両編成が当たり前の路線に5両編成を走らせているから
  • 単純に停車駅が少なく、速いから
などがあります。ですが、一番上については座れればの話ですし、残り2つについて考えてみます。
まず、下り「ホリデー快速富士山1号」など、中央線沿線各地へ向かう列車が発車する新宿駅7~9時台の時刻を見てみると、次のようになります。
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黒は快速電車、青は中央特快、緑は青梅特快(「ホリデー快速おくたま・あきがわ」を含む)、橙は臨時快速、赤は特急を示し、特急や全車指定席の臨時快速といった料金が必要な列車については、地色のほうを色付けし、特急も含めた臨時列車は斜体としています。なお、今回問題の列車である「ホリデー快速富士山1号」は、8:14発の臨時快速となります。
次に、この時刻表から乗車券のみで利用可能な立川または八王子までの先着列車のみを抜粋したものが、以下のようになります。なお、八王子先着列車には青梅特快に乗り、立川で快速乗り換えになるパターンも含めています。
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青梅特快がある立川はともかく、八王子では「ホリデー快速富士山1号」とその前の先着列車との間隔が20分も空いていることがわかります。この間の快速電車は新宿8:00発の特急「スーパーあずさ5号」や8:02発の臨時特急「(スーパー)あずさ53号」に抜かれ、あるいはその時間帯を避けて設定され、時間がかかって8:09発の青梅特快や8:14発の「ホリデー快速富士山1号」にも追いついてしまうのです。一方、もう一つの乗車券のみで利用可能な臨時快速である9:02発の「ホリデー快速ビューやまなし」については、前の先着列車との間隔が八王子でも8分あり、車両も215系10両編成であることから、「ホリデー快速富士山」ほどは混まないものと考えられます。なお、上りについても、八王子から新宿への1つ前の先着列車との間隔は、「ホリデー快速富士山2号」が15分、「ホリデー快速ビューやまなし」が11分であり、「ホリデー快速富士山」のほうが輸送力が小さいのにも関わらず、多数の乗客を引き受けざるを得ない状況となっている。

3. どのようにしたら混雑は緩和するのか?

混雑の緩和の方法としては、特急や特快と列車順序を入れ替える、E257系500番台の特性を活かして新宿~大月を10両編成にするなどが考えられるが、例えばの話、「ホリデー快速富士山1号」が新宿8:00発で、特急「スーパーあずさ5号」が8:14発となるのはずいぶん不自然だし、E257系500番台の10両編成は5両+5両であり、1両あたりの長さも他の車両よりやや長いため、E233系と同様に増解結できるかは不透明である。極端な話、特急格上げなどで立川・八王子までの乗客を極力乗せないか、逆にE233系で運転することも考えられるが、その場合も他の列車とのバランスをとることがやはり必要になると考えられる。武蔵野線ではこれまで185系6両編成(指定席2両、自由席4両)で運転された「ホリデー快速鎌倉」が9月からE257系500番台5両編成になり、同時に全車指定席に変更される。ただ、「ホリデー快速鎌倉」は経路などの面で特殊な列車であり、「ホリデー快速富士山」と同じようには考えられるかは疑問が残る。

16. 2018年ダイヤ改正について考察してみる(その1)

今年もこの時期がやってきました。今回の改正日は、平成30(2018)年3月17日です。
気になる点を考察していきましょう。

1. JR北海道

今回のJR北海道は前回、前々回に比べるとおとなしい改正ではありますが、1つだけ大きな変化があります。

1-1. 函館~札幌の特急は全て「スーパー北斗」に、183系0代は全廃へ

261系を20両新製投入し、現在3往復残っている183系「北斗」が261系「スーパー北斗」に置き換わり、函館~札幌の特急12往復が全て「スーパー北斗」となる。さらに、「北斗」で使われていたN183系(1986年製のグループ)、NN183系(1988年以降製のグループ)が「オホーツク」「大雪」に転用され、183系0代(1981~1983年製のグループ)14両は引退となる。
 
考察
これをもってJR北海道の特急気動車の置き換えの第一段階が完了するわけだが、疑問点としては、183系0代には半室グリーン車が存在し、さらに同じような車両はN183系、NN183系には存在しないのである。現在「北斗」で使っているハイデッカーグリーン車が「オホーツク」「大雪」で使われるのだろうか?
また、残るN183系、NN183系についても、183系0代に比べてそこまで新しいわけではないし、先はあまり長くないのかもしれない。来年度以降も261系の投入が続くことが予想されるが、最終的には北海道新幹線札幌開業でいらなくなる分だけ281系を残して、後は261系だけになることさえあり得そうだ。
 
JR北海道で主だった変化はこれくらいでしょうか。

2. JR東日本

2-1. 「はやぶさ」「あさま」増発、E2系「はやて」は下り1本のみに

東北新幹線では、下りは東京→仙台、上りは新青森→東京で「はやぶさ」を1本ずつ増発し、さらに盛岡行きの下り「はやぶさ」1本を新青森行きに変更する。東京~盛岡のE2系「はやて」(下り3本、上り2本)を、下り1本を残してE5系はやぶさ」に変更。北陸新幹線では「あさま」を1往復増発する。増発する「あさま」は金沢まで「はくたか」として延長運転する場合がある。
 
考察
前回の改正の考察で、東京~仙台の「はやぶさ」はもっと増やしてもいいと書いたが、本当に増えることとなった。さらに、E5系の投入が進むこととなり、置き換えられたE2系1000番台は上越新幹線E2系0番台やE4系を置き換えることが予想される。前回の改正から12/2までにE5系はU32~U37編成が投入され、E2系1000番台はJ70~J75編成が新潟転属となっている。既にU38編成の製造が確認されているため、最低でも1編成が今回の改正で投入され、E2系1000番台がさらに上越新幹線にシフトすることが予想される。来年度からは上越新幹線にもE7系が投入されるため、E4系はこれから一気に数を減らすことが予想される。

2-2. 「スーパーあずさ」は全列車E353系に、E351系はどうなる?

12月23日からE353系が「スーパーあずさ」4往復で運転を開始するが、改正以降は全8往復がE353系で運転される。E351系で運転されている「中央ライナー」もE257系に変更となり、E351系は定期運用が消滅する。
 
考察
なんだかんだあったが、E353系は現行のダイヤに乗れるようだ。置き換えられたE351系については、どうなるのだろうか。189系の置き換えに使えないこともなさそうだが...

2-3. 「エアポート成田」の愛称廃止、成田空港発と同じく通常の快速に

特急「成田エクスプレス」との区別を目的に、成田空港行きの快速列車の愛称名「エアポート成田」を廃止し、成田空港発と同様、通常の快速列車とする。
 
考察
愛称がなくなるが、特に列車自体の変更はないようだ。JRの成田空港輸送は京成に比べて本数が少ないように感じるので、改善が望まれる。
 
今回は取り敢えずここまで。(その2)以降に続きます。

15. 2018年3月、小田急線が生まれ変わる!!(その4)

その4では、ロマンスカーについてです。
ようやくこれで説明が終わりそうです。

4. ロマンスカー関連

4-1. 朝9:30まで上りは新愛称、増発し平日の対象列車は全て海老名に停車

9時30分頃までに新宿に到着するロマンスカーの愛称を「モーニングウェイ号」、同様に大手町方面に到着するロマンスカーの愛称を「メトロモーニングウェイ号」に統一し、平日の運転本数を4本増やして11本とする。うち1本は北千住行き「メトロモーニングウェイ号」とし、現「メトロさがみ号」と合わせて平日の「メトロモーニングウェイ号」は2本の運転となる。また、平日の「モーニングウェイ号」・「メトロモーニングウェイ号」の内、本厚木・秦野・小田原発の7本は全て海老名に停車する(土休日は海老名通過列車あり)。
 
考察
これまでは、最混雑時間帯にも堂々とロマンスカーが走るのではと考えていたがさすがに違った。しかし、9時前に新宿に着く列車も設定されているので、その点はなかなかのものである。この手の列車は乗れる人数が限られている以上、利用客があまりにも多い時間帯には走らせづらいものだが、そこを分母(全種別合計の列車数)の増加でどうにかしたのだろう。また、新愛称への変更により、改正後は「メトロさがみ号」の愛称は消滅することが予想される。地味に早朝の町田始発が相模大野始発となり、2駅連続停車が発生しているのも注目すべき点である。

4-2. 平日夕方の運行パターンを変更、「メトロホームウェイ号」海老名に停車

平日新宿発18時以降の「ホームウェイ号」について、藤沢方面行き列車の発車時刻を毎時45分発から毎時15分発に変更し、23時台まで設定する。これにより、「ホームウェイ号」の運転本数が1本増えて24本となる。また、「メトロホームウェイ号」は18時台から22時台まで大手町を毎時30分に発車とし、全列車海老名に停車する。
 
考察
夕方の列車に関しても海老名停車が目立つ。やはり好評なのだろうか。だとしたら、むしろなぜ今まで止まらなかったのか、と感じる。事実、2016年改正まではなぜ海老名にロマンスカーが止まらないのかと思っていたのだが...それはともかく、藤沢方面行きが増えることは歓迎すべきことである(実は17時45分発の列車が30分繰り下げられるだけ、とかではないことを祈りたい)。自分は年に数回程度だが、新宿~大和を移動する機会があり、その際、特に夕方以降はやはりロマンスカーは便利である。

4-3. 土休日の箱根湯本行き列車を増発、新型車両で新宿~小田原59分

土休日の上り「はこね号」を現在の最終列車の後に2本増発し、現在より1時間強遅くまで箱根観光を楽しむことができるようになる。また、「メトロはこね号」を午前中の下りと夕方の上りで1本ずつ増発し、土休日の「メトロはこね号」は1日上下3本ずつの運転となる。また、午前中の下りに新宿~小田原ノンストップの「スーパーはこね号」を4本設定する。これに合わせ、新型車両70000形の営業運転を開始し、50000形VSEとともに「スーパーはこね号」を担当する。所要時間は最速で新宿~小田原59分、新宿~箱根湯本73分となり、特急運転開始時からの目標である、「新宿~小田原1時間以内」が遂に達成されることとなる。
 
考察
今まで、上りのロマンスカーは「はこね号」の最終列車の後に小田原始発の「さがみ号」がある、よくわからない状態であったが、今回、箱根湯本から運転し、夜まで箱根を楽しめるようになった。長年の目標の達成とともに、新型車両の運転開始と、「はこね号」には明るい話がたっぷりである。ちなみに、現時点での最古参車両である7000形LSEについては、入れ替わりではないものの近々の引退となる見込みである。たまに江ノ島線にも来る貴重な展望車であり、自分も新宿17時45分発や21時45分発の列車で何度かお世話になったので、残念である。個人的には、展望席に乗れる機会を増やすために、70000形をもう1本は入れてからの引退として欲しいものである。

4-4. 千代田線~江ノ島線ロマンスカーを土休日運転、まさかの大和通過

これまでたびたび臨時列車として運転された、北千住~片瀬江ノ島ロマンスカーが、土休日運転の定期列車「メトロえのしま号」として新設される。午前中に下り2本、夕方に上り1本が設定され、北千住~相模大野は「メトロはこね号」と連結する。小田急線内の停車駅は成城学園前、相模大野、藤沢、片瀬江ノ島となり、長らくロマンスカー全列車が停車していた大和は通過、他の江ノ島線ロマンスカーが一部を除き停車する新百合ヶ丘も通過となる。
 
考察
やっと登場した、千代田線~江ノ島線の定期列車である。今までは一般列車も含めてなかったので、なかなか新鮮でもある。ただ、大和に停車しないのはあり得ない(個人的感想)。

説明は以上です。最後までお付き合い、ありがとうございました。

14. 2018年3月、小田急線が生まれ変わる!!(その3)

その3では、平日・土休日共通で日中時間帯の一般列車についてです。

3. 日中時間帯

3-1. 千代田線直通列車を「準急」に変更、土休日は増発も

現在、唐木田発着で毎時上下3本ずつ運行されている「急行」に代わり、向ヶ丘遊園発着の「準急」を新たに設定し、千代田線方面に直通運転する。運行本数は現在の「急行」と同じく毎時上下3本ずつだが、土休日はこれとは別に成城学園前発着の「準急」をさらに毎時上下3本ずつ設定し、千代田線直通列車を毎時上下6本ずつ運転する。千歳船橋祖師ヶ谷大蔵、狛江にも勿論停車する。これにより、全時間帯において「準急」(朝時間帯の「通勤準急」含む)は、千代田線直通となり、新宿では見られない種別となる。
 
考察
日中においても、千代田線直通列車は世田谷区内などを重視するものへと変わった。2016年の改正が「快速急行」増発メインで、その代わりに「区間準急」がなくなったため、世田谷区内の駅は割を食う形となったが、今回の改正で停車本数が回復した。また、従来は朝方や夕夜間のごく限られた本数の運転となっていた「準急」が、停車駅が増えたとはいえ復権したこともポイントである。停車駅の増加で、かつての「区間準急」の役割も持ち合わせることとなり(というか日中は運転区間的にこちらがメイン)、東京都内全般を受け持つことになった。

3-2. 多摩線の「急行」を新宿発着に変更、棲み分けから競合へ

3-1項で前述した千代田線直通「準急」の新設に伴い、多摩線の「急行」は運転区間を新宿~唐木田に変更する。本数は毎時上下3本ずつを維持する。これにより、全時間帯において千代田線直通列車の多摩線内乗り入れはなくなり、「多摩急行」は種別自体がなくなる予定。

考察
多摩線では日中の「急行」も新宿発着となり、今回、一気に全時間帯において上位種別を千代田線直通から新宿発着にシフトさせる格好となる。これは言うまでも無く、京王相模原線から客を取りに行くことが目的のはずである。京王線に比べて少し運賃が高いのが気になるが、そこを所要時間短縮で埋められるかが気になるところである。さらに、多摩線内だけでなく、経堂、成城学園前、登戸、向ヶ丘遊園といった小田原線内での「急行」停車駅でも、新宿行きの上位種別が毎時3本から毎時6本(登戸は「快速急行」の新規停車分を合わせると毎時12本)に増加し、新百合ヶ丘までの小田原線内でも新宿へ速く、かつ乗り換えなしで行ける機会が増えることも見逃せない。

3-3. 日中時間帯まとめ

日中時間帯は20分サイクルの中で

以上に加え、これに接続する多摩線内、江ノ島線内、新松田~小田原の「各停」が運行される。但し、括弧内の列車・区間は土休日のみ運行される。

13. 2018年3月、小田急線が生まれ変わる!!(その2)

その2では、平日夕夜間時間帯の一般列車について見ていきましょう。

2. 平日夕夜間時間帯

2-1. 千代田線からの直通列車の大幅増発、「準急」は停車駅追加

現在はロマンスカーを除き毎時3本(「多摩急行」2本、「準急」1本)にとどまっている千代田線からの直通列車を、毎時8本(「急行」2本、「準急」4本、「各停」2本)に増やす。「急行」は伊勢原行き、「準急」のうち2本は本厚木行き、残る2本と「各停」は成城学園前行きが基本となる。「準急」は(少なくとも)経堂から先は外側線を走行し、千歳船橋祖師ヶ谷大蔵、狛江に新たに停車する。
 
考察
これまで日中時間帯と変わらない本数しかなかった夕夜間の千代田線直通が、大幅に増加し、運行パターンも2種類から4種類に増えた。さらに、「準急」の停車駅を増やし、世田谷区内や狛江市内までの短距離利用客も、海老名や本厚木までの長距離利用客も千代田線直通列車を利用しやすくなった。2016年の改正で本厚木行き「準急」が復活したが、今回は「急行」も加わり、速達性も格段に増した。そして、夕夜間も「各停」の直通が行われることで、伊勢原までの小田原線内各駅に千代田線からの直通列車が毎時2本以上止まることとなり、都心直通がこれからの小田急の強みになりそうだ。果たして、最長区間である取手~伊勢原の列車はできるのだろうか?実現すれば中央林間(東急田園都市線)~南栗橋東武日光線)を上回るらしいが...

2-2. 「快速急行」の大幅増発、多摩線でも運行開始

現在、小田原行き、藤沢行きが毎時1本ずつ、新宿~相模大野では30分間隔での運行となっている「快速急行」を毎時2本ずつに増発し、新宿~相模大野は15分間隔とする。さらに、唐木田行きの「快速急行」を新たに毎時2本設定し、新宿発「快速急行」は毎時6本となる。なお、多摩線内の「快速急行」停車駅は、「急行」と同様となる。これに加えて、小田原方面行きの「急行」を毎時4本(うち1~2本は新松田止まり)、藤沢行きの「急行」を毎時2本運行し、新宿~藤沢の上位種別が増発される(18時以降の下り「急行」は経堂通過)。この他、新宿からは「各停」が毎時8本(本厚木行き4本、相模大野行き2本、向ヶ丘遊園行き2本)運行され、相模大野~本厚木は一部の「急行」を相模大野から「各停」に変更して補完する。
 
考察
千代田線からの「多摩急行」に代わり、まさかの新宿発唐木田行き「快速急行」の設定となったが、これも朝時間帯の「通勤急行」同様、京王相模原線を意識したものだと考えられる。新宿~多摩センターでは長らく劣勢とされてきた小田急だが、今回巻き返しが期待される。江ノ島線の上位種別が毎時4本に増えるのも、湘南新宿ラインを意識している感があるが、それだと小田原行きが減らされているのが気になる。湘南新宿ラインの直通列車が藤沢に比べ少ないから、湘南新宿ラインの影響はあまり受けないのか、あるいは逆に、品川乗り換えでも新幹線や東海道線が強すぎると考えているのだろうか?

2-3. 夕夜間時間帯まとめ

夕夜間時間帯(18時台~20時台)の下りは30分サイクルの中で、
  • 新宿発「快速急行」3本(小田原行き、藤沢行き、唐木田行き各1本)
  • 新宿発「急行」3本(小田原または新松田行き2本、藤沢行き1本、新松田行きは相模大野から「各停」)
  • 千代田線方面発「急行」1本(伊勢原行き)
  • 千代田線方面発「準急」2本(本厚木行き1本、成城学園前行き1本)
  • 新宿発「各停」4本(本厚木行き2本、相模大野行き1本、向ヶ丘遊園行き1本)
  • 千代田線方面発「各停」1本(成城学園前行き)

以上に加え、これに接続する多摩線内、江ノ島線内、新松田~小田原の「各停」が運行される。「準急」は新たに千歳船橋祖師ヶ谷大蔵、狛江に停車し、新設される唐木田行きの「快速急行」の多摩線内の停車駅は「急行」同様となる。また、18時以降の下り「急行」は経堂を通過する。

12. 2018年3月、小田急線が生まれ変わる!!(その1)

こんにちは。今回は小田急線の新ダイヤについて考察しようと思います。
小田急線では、代々木上原~登戸で行われてきた複々線化が完了し、大幅な増発と所要時間短縮が可能になります。今までになかったパターンの列車が大量に設定されるなど、かなりの変化なので、じっくり見ていきましょう。その1は平日朝時間帯についてです。

1. 平日朝時間帯

1-1. 最混雑時間帯に「快速急行」を5分間隔で運転、終日登戸停車

これまでは、最混雑時間帯を避けて運行してきた「快速急行」だが、今回の改正で、最混雑時間帯も主役の種別となる。運転区間小田原線列車が小田原~新宿、江ノ島線列車が藤沢~新宿(相模大野まで「急行」)となる。両者が約10分間隔で交互に運行され、共通する区間である相模大野~新宿では約5分間隔となる。また、平日朝以外の時間帯も含めて登戸に停車する。この他、小田原発の「快速急行」に接続する江ノ島線内の「各停」、藤沢発の「快速急行」に接続する小田原または新松田~相模大野の「急行」が設定される。

考察
朝の最混雑時間帯まで「快速急行」だらけとなるのは、全く予想できなかった。とはいえ、そのまま変更するのではなく、登戸停車(1番線の新設により可能になったのだろうか?)と朝時間帯に限り江ノ島線内「急行」(=長後・南林間停車)とした上でのことであり、さすがに現在の長距離に特化した停車駅ではまずいのだろう。これにより、向ヶ丘遊園成城学園前は最混雑時は最速種別が止まらない(現在、最混雑時は「急行」・「準急」・「各停」のみ)ことになるが、これに関しては増発を活かし、次項で述べる新種別でカバーし、遠近分離・千鳥停車で混雑の平準化を目指すのだろう。あと、藤沢発の「快速急行」に接続する小田原~相模大野の「急行」の一部が新松田まで「各停」となっているが、いわゆる「赤丸急行」は「化け急」の一種に変更される模様である。最後に、6両編成から増やせない江ノ島線内の「各停」が減らされるのも混雑面で不安である。

1-2. 新種別「通勤急行」を多摩線で運行開始、小田急多摩センター始発も

現在は最混雑時間帯に新宿直通の上位種別が存在しない多摩線に、新宿直通の新種別「通勤急行」が設定される。新宿着7時台、8時台に上りのみ9本の運行(うち6本は小田急多摩センター始発)となり、約10分間隔で運行される。「通勤急行」の停車駅は「急行」の停車駅から登戸と経堂を除いたものであり、登戸は「快速急行」、向ヶ丘遊園成城学園前は「通勤急行」と千鳥停車を行う。この他、多摩線では多摩線内の「各停」が約10分間隔で運行される。
 
考察
今回の改正で大きく強化されたのが、多摩線である。従来、多摩線は特に朝晩の上位種別が少なく、あったとしても日中を含め千代田線方面発着ばかりであった。しかし、今回、後述する日中・夕夜間の千代田線方面発着「多摩急行」・「急行」を新宿発着「快速急行」へと変更することと合わせて、多摩線の新宿発着上位種別が大幅に増強され、多摩線の上位種別は新宿発着ばかりとなった。これは、所要時間の短縮により、新宿~多摩センターで競合する京王相模原線と互角に戦えるようになったためだと考えられる(運賃は小田急の方が高いが、最混雑時の所要時間は京王が約50分なのに対し、小田急は今回の改正で約40分となる)。多摩センター始発の列車を大量に設定しているのも、京王相模原線を意識している。対する京王相模原線は運賃値下げと新型車両で迎え撃つが、どうなるか。一方、多摩線の「各停」も本数がやや減らされており、今回の改正は複々線区間を除く「各停」のみの停車駅に厳しい改正と言わざるを得ない。

1-3. 「各停」の千代田線直通開始、新種別「通勤準急」も

今回の改正に合わせて複々線区間は全駅が10両編成対応となり、千代田線に直通する「各停」の運行が朝方を中心に開始される。また、千代田線直通の上位種別を原則「準急」とし、最混雑時間帯(代々木上原着7時台、8時台)の上り11本はこれに代えて新種別「通勤準急」とする。「通勤準急」の停車駅は、現在の「準急」(経堂停車)と同じ(「準急」は停車駅を変更、これについては「その2」で)。「各停」は向ヶ丘遊園始発、「通勤準急」は本厚木または海老名始発で、いずれも約10分間隔で運行される。「各停」はこの他、伊勢原または本厚木~新宿でも設定され、合わせて約5分間隔での運行となる。
 
考察
新宿~代々木上原複々線化の対象外であるため、複々線化での本数増加分の多くは千代田線直通に配分されるのは前々から予想できた。今回、朝方の「準急」・「通勤準急」を本厚木または海老名~千代田線直通に一本化し、さらに「各停」まで直通させたことで、千代田線直通列車を利用できる駅が大幅に増えた。また、朝方の上りも経堂に停車し、最混雑時間帯も経堂から「各停」以外を利用することが可能となった。千代田線直通列車に関しては、後述する朝方以外も含め、世田谷区内などの近距離重視となった感がある。ただ、新宿発着の「各停」がかなり減った(現在は約7分間隔、改正後は約10分間隔)のは、今回の改正のマイナス点と言わざるを得ない。最も、こちらは代々木八幡の10両編成対応工事が終われば一部が10両編成に増やされるだけましではあるが...

1-4. 朝時間帯まとめ

最混雑時間帯の上りはおおむね10分サイクルの中で
  • 小田原発新宿行き「快速急行
  • 藤沢発新宿行き「快速急行」(相模大野まで「急行」)
  • 唐木田発新宿行き「通勤急行」(新種別)
  • 本厚木または海老名発千代田線方面行き「通勤準急」(新種別)
  • 伊勢原または本厚木発新宿行き「各停」
  • 向ヶ丘遊園発千代田線方面行き「各停」
以上6本の都心へ向かう列車とそれらに接続する区間列車を運行する。新百合ヶ丘~下北沢では「快速急行」は登戸(新規停車)、「通勤急行」は向ヶ丘遊園成城学園前に停車し、混雑の分散を図る。また、「通勤準急」は現在「各停」しか止まらない経堂に停車する。