32. 【詳しく考察】JR東日本、首都圏17線区で終電を最大37分繰り上げへ
一昨日10月21日、JR東日本が9月に発表していた終電繰り上げ計画について、各線区での下り方面についての繰り上げ幅が発表されました。対象線区は以下の17線区となっていて、繰り上げ幅は最大37分程度となっています(私鉄各社などとの調整で、今後繰り上げ幅は若干変動することがあります→2021年8月26日訂正:表内の時刻を正式ダイヤの時刻に更新しました)。また、5線区の一部区間では初電の繰り下げを実施することも発表されています。今回は発表された内容から来年春以降のダイヤについて考えていきましょう。
終電繰り上げ実施線区
- 山手線
- 京浜東北線(初電繰り下げあり)
- 根岸線(初電繰り下げあり)
- 東海道線(東京~小田原)
- 横須賀線(相鉄線直通を除く)
- 南武線(支線を除く)
- 横浜線
- 中央線(東京~大月、各駅停車は初電繰り下げあり)
- 青梅線
- 武蔵野線(南浦和~府中本町)
- 総武線(各駅停車、初電繰り下げあり)
- 京葉線(東京~蘇我)
- 高崎線(上野~新前橋)
- 宇都宮線(上野~宇都宮)
- 埼京線(新宿~大宮)
- 川越線(大宮~川越)
- 常磐線(上野~勝田、快速・各駅停車は初電繰り下げあり)
1. 山手線は15~20分程度繰り上げへ
山手線においては、現行でもやや早めに運行が終了する品川→池袋の内回りを除いた全ての区間で15~20分程度の繰り上げがされる予定となっています。現行の時刻と比較すると運転区間を延長する電車もあると思われるので一概には言えませんが、現行より数本早い電車で終了すると考えるとよいでしょうか。山手線は車庫の関係で行き先がほぼ大崎、品川、池袋の3種類となりますが、従来より全体的にバランスが取れているように感じます。
主要駅の繰り上げ幅と繰り上げ後の発車時刻見込みは下図のようになります。
2. 都心→神奈川方面はどうなる?
都心→神奈川方面では京浜東北・根岸線、東海道線、横須賀線の他に川崎と武蔵小杉で接続する南武線や東神奈川で接続する横浜線でも終電が繰り上げられます。中でも京浜東北・根岸線の品川→大船では全区間で終電が繰り上げられ、桜木町行きの終電は33分も早くなります。
東海道線では東京23:54発の小田原行き最終が平塚止まりになり、横須賀線では東京23:50発の逗子行き最終が大船止まり、その2本前の久里浜行き最終が逗子止まりになります。これにより東海道線は平塚より先、横須賀線は大船より先に行く電車が現行より早く終了し、最終の東京行き東北・上越・北陸新幹線からの乗り継ぎができなくなります(北陸新幹線については国府津までは乗り継ぎ可能です)。また、横須賀線の逗子より先については最終の東京行き東海道新幹線からの乗り継ぎも不可能となります(東北・上越・北陸新幹線最終からの連絡は現行でも逗子までです)。
この他南武線や横浜線でも行き先や間隔の見直しで一部区間を除き最大15分程度の繰り上げがあり、これにより最終の東京行き東海道新幹線から乗り継いで到達できる南武線の区間は稲城長沼までから登戸までに短縮されます。また、京浜東北・根岸線の東神奈川→大船では初電(東神奈川4:31発)が3分程度繰り下げられる予定となっています。
3. 都心→多摩方面はどうなる?
今回の見直しで繰り上げ幅が最も大きいのが、中央線をはじめとする多摩方面です。中央線は三鷹行き(各駅停車)、武蔵小金井行き、豊田行き、高尾行きとも軒並み25~30分程度の繰り上げとなり、青梅線についても現行でもそこまで遅くない奥多摩行きも含めて繰り上げが予定されています。
中央線は2020年の改正でも大きな変化がありましたが、今回の見直しにより現行の高尾行き最終より改正後の武蔵小金井行き最終の方が早くなるほどの変化が見込まれます。また、この見直しにより青梅線内(青梅まで)は最終の東京行き東海道新幹線からの乗り継ぎができなくなります。中央線内は今後も最終の東京行き新幹線から高尾まで乗り継ぎが可能ですが、東京まで乗らずに品川や新横浜、大宮で新幹線を降りる必要が出てくることが予想されます。
この他、武蔵野線においては府中本町発東所沢行き最終がなくなり、その前の南越谷行き最終についても南浦和まで4分程度繰り上げられる予定となっています。なお、武蔵野線の府中本町行きについては、都心→埼玉・群馬・栃木方面の章で説明します。また、中央線各駅停車の中野→三鷹では初電(中野4:25発)が17分程度繰り下げられる予定となっています。
4. 都心→千葉方面はどうなる?
千葉方面については総武線各駅停車と京葉線の本線のみが対象となり、総武線快速などについては対象外となります。繰り上げ幅は総武線各駅停車が御茶ノ水発津田沼まで16分程度、千葉まで23分程度、京葉線が東京発新習志野まで11分程度、蘇我まで30分程度の予定となっています。現行では京葉線は東京24:35発の最終で蘇我まで行けますが、見直しにより新習志野までは1本前、蘇我までは2本前が最終となることが考えられます。いずれも終着駅到着時刻は25時前後となりますが、最終の新幹線からの乗り継ぎについては従来通り可能となります。この他、総武線各駅停車の津田沼→千葉では初電(津田沼4:30発)が14分程度繰り下げられる予定となっています。
5. 都心→埼玉・群馬・栃木方面はどうなる?
この方面には全国的に見ても終着駅到着が非常に遅い高崎線や宇都宮線が含まれます。現在はいずれも上野発最終で高崎と宇都宮に行けますが、今回の見直しでそれぞれ籠原止まりと小金井止まりに変更され、高崎行きは21分程度、宇都宮行きは24分程度の繰り上げが予定されています。また、高崎線新前橋行きの最終も高崎止まりに変更され、その37分前に上野を発車する前橋行きの最終が高崎より先に行く最終の列車となります(ただし、東京23:00発の上越新幹線に乗れば高崎で追いつきます)。その一方で籠原、小金井までは現行のままとされており、近くの駅と遠くの駅のバランスを取った形となっています。
京浜東北線、埼京・川越線でも終電が繰り上げられ、京浜東北線は赤羽行きが18分、大宮行きが23分の繰り上げとなりますが南浦和行きは現行のままとされています。現行では大宮行き最終の後に赤羽より先に行く電車はないので、現行の大宮行き最終が南浦和止まりになると見られます。埼京・川越線は赤羽行きは19分、川越行きは13分の繰り上げで大宮行きは現行のままとされています。現行では新宿発の最終が川越まで行き、その後は池袋~赤羽の折り返し運転が数本ある形となっていますが、こちらも川越行き最終が大宮止まりに短縮されると見てよいでしょう。京浜東北線や埼京・川越線でも行き先別に終電を細かく設定してバランスを取っているように感じます。この他に武蔵野線では府中本町行き最終が東所沢止まりになり、京浜東北線では赤羽発初電が東十条発に変更される見込みとなっています。
6. 常磐線方面はどうなる?
茨城方面に向かう路線は事実上常磐線一本となりますが、その常磐線においても普通(中距離電車)、快速、各駅停車とも終電が繰り上げられます。普通列車では勝田行きの最終が土浦止まり、その前の土浦行きが勝田行きとなり土浦までは現行のままでその先は23分程度繰り上げとなります。ただし、上野23:00発の特急に乗れば龍ケ崎市で追いつくことができるので、実質的な繰り上げ幅はそこまで大きくないと言えるでしょう。取手までの快速電車については松戸行き、我孫子行き、取手行きがそれぞれ20分前後の繰り上げとなり、現行より1~2本早い電車で終了することが予想されます。これにより我孫子より先の天王台と取手については、最終の東京行き東海道新幹線から到達できなくなります。各駅停車についても松戸行き、我孫子行きとも15分前後の繰り上げが予定され、快速の上下線(上野→松戸、取手→松戸)と各駅停車の下り線(松戸→我孫子)では初電の繰り下げも予定されています。
7. おわりに
本ブログでは以前の記事でどのように見直しがされるかを考察してみましたが、初電の繰り下げがかなり限定的であった点や、都心を通らない路線や現状でも余裕がある路線でも繰り上げられたところは予想が外れた感じです。
su62numa381.hateblo.jpまたこの記事中では私鉄との逆転の可能性についても示唆しましたが、現在では私鉄でも繰り上げを表明、あるいは検討しているところが出ています。中でも西武鉄道は「池袋線・新宿線において20~30分程度」と具体的な繰り上げ幅についても明らかにしています。
news.tv-asahi.co.jpこの他に大手私鉄では小田急、京急、東急、西鉄が終電の繰り上げを検討している他、現時点で検討していないとしている東京メトロや関西大手5社、大阪メトロなどについても他社線の様子を見るなどとしています。その一方で繰り上げにかなり慎重なJR東海は東西JRの繰り上げに対し新幹線乗り継ぎの利便性悪化を懸念していましたが、結果としては一部の区間を除きある程度利便性は維持されていると言えるでしょう。今回発表されなかった都心方面行きを含め具体的なダイヤは12月に発表されるので、その際には記事についても改めて書く予定です。かなり長くなりましたが、今回の記事はここまでとさせていただきます。