むつぬま雑学研究室新館

交通関連の考察記事を中心にいろいろ書いていきます。鉄道時々航空(予定)、2019年9月5日よりYahoo!ブログから移転。

28. 【突然の新計画】2024年度、京浜東北線新型車両でワンマン化?

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昨日6月27日、JR東日本京浜東北線においてワンマン運転を検討しているとの報道が共同通信社から出されました。記事の中では2024年度をめどにワンマン運転に適合した新型車両を投入することも書かれており、これによってどのように変わるか見ていきます。2021年12月9日追記:同月7日発表のニュースリリース京浜東北線においてワンマン運転準備がされることと大宮~東神奈川においてATACSの導入が発表されました。発表の中では車両改造工事について触れられていたため、必要な改造を行ったうえでE233系を継続して使用する方針に転換した可能性があります。
https://www.jreast.co.jp/press/2021/20211207_ho03.pdf

1. JR東日本が推し進めるワンマン運転の形とは

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山手線のE235系では完全自動運転の試験も行われた。

一口にワンマン運転と言ってもやり方はいろいろです。JR東日本では以前から車内で運転士に運賃を支払う形のワンマン運転がローカル線の一部列車で実施されていますが、この方法は2両編成以下に限られます。しかしながら、人口減少に伴う人手不足などに対応した合理化策として、現在のJR東日本では3両編成以上でのワンマン運転について検討が進められています。既に3~6両編成の中編成についてはワンマン化が進められ始めていて、東北本線の黒磯~白河ではE531系が5両編成でワンマン運転を実施しています。E531系のうち東北本線で運用される3000番台については車両側面にカメラが付いているため、乗り降りの確認ができるようになっていて、運賃や乗車券については駅備え付けの運賃箱に入れる形を取っています。今後は0番台にもカメラを取り付けた上でワンマン運転区間水戸線にも拡大することが検討されている他、内房線外房線鹿島線ではE131系が2021年に投入され、2両編成ながら将来の中編成への拡大も考慮してこの方法がとられる予定となっています。

今回はこれに続いて京浜東北線もワンマン化が検討されることになりましたが、京浜東北線は10両編成と長いため、自動運転装置による省力化や各駅へのホームドア設置といった安全確保も合わせての実施となります。既に一部の地下鉄路線などではホームドアを設置した上でワンマン運転が行われていますが、京浜東北線についてもこれに近い形となる模様です。また、山手線ではE235系を使用して自動運転の実験が続けられていて、完全な自動運転が実現すれば車掌のみを置くワンマン化も可能となります。産経新聞の記事ではこれについても言及があり、今回の京浜東北線ワンマン運転でも活用される可能性があります。

www.sankei.com

2. 京浜東北線には新型車両を投入へ、E233系はどうなる?

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東京総合車両センターで保存されている209系試作車。

記事中には2024年度から新型車両を投入するとあります。完全な新形式の可能性も否定できませんが、投入時期を考えるとE235系の新番台となる可能性が高いでしょう。昨年度で山手線向けの0番台が出そろい、今年度からは総武快速横須賀線向けに1000番台の製造が始まっていますが、投入両数が745両であることを考えると2023年度までかかると見込まれます(J-TREC新津事業所ではおおよそ平日1日につき1両、年間で約250両の製造が可能ですが、E131系や東急2020系なども製造していることを考えるとこれくらいになるでしょう)。京浜東北線の場合、運用数の増減がなければ820両必要となるため、2024年度から投入を始めると2027~2028年度までかかるのではないでしょうか。

そうなると現在使用されているE233系1000番台の今後が気になりますが、2007~2009年度に製造されているため、置き換えられる時点でもまだ17~18年程度しかたっていません。機器更新などをすれば京浜東北線と同じくらいの期間、別の路線で問題なく使用できると思われるので、209系と同様に短編成化こそされるものの大規模な転属が発生することが予想されます。既に転用先に関する情報がある程度あるため、それぞれについて考えてみましょう。

2-1. 幕張車両センターの209系を置き換える場合

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千葉県内には元京浜東北線の209系が大量にいる。

E233系1000番台の転用先として有力視されているのが千葉支社の房総各線です。幕張車両センターには京浜東北線で使用された209系0番台を改造した209系2000・2100番台が6両×26編成と4両×42編成、合計で68編成324両が所属しています。ただし、今年度中にE131系が2両×12編成投入されるため、必要な数は若干減る可能性もあります。

千葉支社では2024年度以降に中編成(3~6両編成)のE233系を導入し、ワンマン運転を6両編成にまで拡大する予定があるという情報があります。今更E233系を大量に製造することはないでしょうし、他からの転用でまかなうことが濃厚ですが、となればこれにつながるのではないでしょうか。転用する場合、側面のカメラ設置の他209系と同様にトイレ取り付けと一部車両のセミクロスシート化がされることが考えられます。

2-2. 高崎車両センターの211系を置き換える場合

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群馬県内の普通列車の主力は211系である。

E233系1000番台は全部で82編成あるため、1ヶ所だけで全編成を使い切るのは難しいです。もう一つの転用先として候補になっているのが、高崎支社のローカル列車です。高崎車両センターの211系は現在、E233系3000番台の投入で高崎線などからは撤退し一部は他支社の211系とともに長野支社に転属、残った車両は編成をばらして107系115系を置き換える形でローカル列車に運用されています。現在は4両×23編成と3両×14編成、合計で37編成134両が所属していますが、3両編成は単独運用がなく常時2編成連結で6両固定編成と扱われているため、実質的には30編成となります。

高崎支社転属を裏付ける根拠として、Twitter上で「高崎支社の車両取替え計画(ベストプラクティス)」なる資料が出回っていますが、これによると

  • 2026~2028年度に211系3000番台をE233系1000番台に置き換え
  • 10両から4両、6両に短編成化し、中編成ワンマン設備を搭載
  • ワンマン運転の実施については別途検討

とされています。なお、現在高崎車両センターに所属する211系は全てロングシート車なので、E233系1000番台を転用する際には千葉支社とは違う構成になる可能性もあります。また、高崎支社と千葉支社の両方に転用する場合、先頭車が若干足りなくなることが予想されます。中間車の有効活用のため先頭車化や先頭車のみ新造することがあるのか、それともE233系1000番台の転用は高崎支社を優先して足りない分は千葉支社にE131系の追加投入でまかなうのか、対応が注目されます(個人的には後者だと予想しています)。

余談ではありますが、この資料中には211系以外の車両についても計画が書かれています。

  • 八高線は2024年度に新型ハイブリッド車に置き換え
  • 特急「草津」「あかぎ」などで使用している651系E259系に置き換え
  • 事業用車両を導入し機関車を置き換え、SLについても今後の在り方を検討

となっています。具体的な時期は不明ですが、「成田エクスプレス」に新型車両が入る日も近いと見ていいのでしょうか?