むつぬま雑学研究室新館

交通関連の考察記事を中心にいろいろ書いていきます。鉄道時々航空(予定)、2019年9月5日よりYahoo!ブログから移転。

26. 【品川~仙台直通「ひたち」】2020年3月JRダイヤ改正をたっぷり考察(その2・常磐線編)

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1月17日、JR東日本水戸支社および仙台支社から常磐線が3月14日に全線再開することと再開後の運行体系が発表されました。そのため前回から少したちましたがいろいろと見ていきます。

1. 特急「ひたち」は3往復が仙台まで運転、E657系10両編成を使用

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全線再開後は上野地上ホーム発仙台行きとなる「ひたち3号」。

常磐線全線再開後の特急列車がどう運行されるかがだいぶ前から注目されてきましたが、今回E657系10両編成で3往復、東京方面まで直通で運転されることが発表されました。時刻は以下の通りです。

下り仙台行き「ひたち」

  • ひたち03号:上野08:00発→仙台12:31着
  • ひたち13号:品川12:45発→仙台17:26着
  • ひたち19号:品川15:45発→仙台20:28着

上り仙台発「ひたち」

  • ひたち14号:仙台10:13発→品川14:51着
  • ひたち26号:仙台16:11発→品川20:52着
  • ひたち30号:仙台18:02発→品川22:53着

651系「スーパーひたち」の時代は仙台まで4往復(下り1本はいわき発)に加えて原ノ町までの列車が2往復ありました。時刻はおおむね当時に合わせられていますが、4両編成から10両編成に増えたからか本数は減らされています。また、原ノ町までの列車が運転されないことで福島県浜通りから東京に出るには不便なダイヤとなってしまったのが気になります(原ノ町発の1本は朝、原ノ町行きの1本は夜の運転でした)。

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富岡では運転再開後も復旧工事が進んでいる。

停車駅については一部変更があり、かつては一部通過列車があった広野・大野・双葉が全列車停車となった一方で小高は通過となっています。現状を考えると大野・双葉は通過となってもおかしくないと考えていましたが、これも復興を進めるためでしょうか。この他に亘理と岩沼は上下線とも3本目のみ停車し、品川~いわきの停車駅に変更はありません。そのためかつての仙台行き「スーパーひたち7号」の松戸停車は「ひたち3号」の柏停車に引き継がれています。
また、富岡と浪江を加えたいわき~原ノ町の途中停車5駅においては「話せる指定席券売機」などが設置されます。かつての「もしもし券売機Kaeruくん」は必ずオペレーターと話す必要があったため使いづらいとされましたが、こちらは通常の指定席券売機として使いつつ必要な時にオペレーターを呼び出すことができます。

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本来はいわき~仙台で使われるはずだったE653系

E657系は当初上野~いわきで運転し、いわき~仙台はE653系で新列車を運転する計画でした。しかしE653系は4両編成含め全て新潟支社で使用され、さらに新着席サービス導入で車掌1人乗務が基本となり分割併合での対応ができなくなったため、付属編成を新たに製造するのではなくE657系10両編成で通しの運転になったものと考えられます。何はともあれせっかく品川~仙台の直通運転が実現したことですし、時間に余裕のある方は「ひたち」で仙台まで行くのも良いでしょう。東北新幹線常磐線で一周乗車券を購入し、片道東北新幹線、片道「ひたち」というのも面白そうです。

東京~仙台の運賃・料金

  • 東北新幹線はやぶさ」指定席:運賃6,050円+料金5,360円=11,410円
  • 東北新幹線「やまびこ」自由席:運賃6,050円+料金4,510円=10,560円
  • 常磐線特急「ひたち」 普通車:運賃6,380円+料金2,900円=  9,280円

www.youtube.com

2. E531普通列車原ノ町まで11往復運転、651系719系は引退?

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「スーパーひたち」として常磐線の顔だった651系

普通列車については富岡~浪江で11往復の運転となり、その全てがいわき~原ノ町での通し運転となります。現在は区間運転を除きいわき~富岡と浪江~原ノ町で11往復運転されているため、時刻を調整した上で直通になる形となります(区間運転や原ノ町~仙台の本数に変更はありません)。車両については現在のいわき~富岡はE531系と651系、浪江~原ノ町719系が使用されていますが開通後は全てE531系での運転となります。かつては415系1500番台に混ざって701系が仙台からいわきまで乗り入れていましたが、復旧に際してこの区間のホームがかさ上げされたため701系は使用されず全列車が原ノ町で折り返しとなります(E721系は以前から仙台~原ノ町のみの運用です)。

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常磐線での運用は短期間だった719系

これにより常磐線普通列車はいわき~原ノ町E531系、原ノ町~仙台がE721系701系で揃えられ、651系719系は定期運用を全て失うことが見込まれます。
651系については現在4両編成2本が常磐線で現役ですが、同時に発表された春の臨時列車にはこれが使用されると思われる列車はありませんでした(例年651系4両編成でGWに運転されているいわき~桐生の快速列車は今年は485系「リゾートやまどり」が使用される予定です)。651系はここ最近数が減りつつありますが、最後の最後にもう一度仙台まで行くことはあるのか、今後が気になります。
またE721系1000番台の投入後もしぶとく少数が残っていた719系についても、今回で仙台地区各線から引退することになりそうです。磐越西線や秋田支社管内での運転も終了したらしいので、今後719系の定期運用は5000番台の奥羽本線のみになるでしょう。

3. 常磐線関連では他には何が変わる?

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水戸で並ぶE531系とE501系。

既にダイヤ改正のプレスでも出ていますが、常磐線の上野~いわきでも一部の列車が見直されます。常磐線ではE653系フレッシュひたち」の時代から1往復だけいわきに乗り入れている「ときわ」が高萩までに短縮されたり、1往復だけある日立折り返しの普通列車が勝田までに短縮される他、列車間隔の見直しも行われます。
またE531系のうち3000番台は東北本線の黒磯~新白河でも運転されています。現在は朝夕のみE531系で日中はワンマン運転のため気動車が使われていますが、E531系3000番台の各編成にカメラが取り付けられワンマン運転が可能になったため全ての列車がE531系での運転となります。今後ダイヤ改正までにあと20両E531系が入る情報がありますが、いずれ0番台についても5両編成の場合はワンマン運転になるのでしょうか?

25. 【中央線が、「また」変わる?】2020年3月JRダイヤ改正をたっぷり考察(その1・中央線&総武線編)

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12月13日午後、JRグループ各社から令和2(2020)年3月のダイヤ改正の概要が発表されました。今回は3月14日に改正が実施されます。ヤフーブログ時代の本ブログでは毎年考察をしてきましたが、資料不足や途中でほったらかしになることを防ぐため今年は項目を絞って見ていきたいと思います。まず今回はJR東日本の中でも変化が大きい、中央線関連について見ていきたいと思います。

1. 特急「富士回遊」千葉発で増発、号数を整理し「あずさ」とも連結

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E257系使用の臨時列車についても今後が気になる。

現在E353系3両編成で毎日2往復運転されている新宿~河口湖直通特急「富士回遊」が1往復増発されて3往復になります。現在運転されている2往復はいずれも新宿~大月で「かいじ」と連結して12両編成での運転ですが、今回増発される1往復は「あずさ」と連結します。そのうち河口湖行きについては千葉発の「あずさ3号」が選ばれたのですが、現在の「富士回遊」には「かいじ3号」と連結している列車があり、このままだと「富士回遊3号」が2つできてしまう...と思いきや今回の改正で「あずさ」と「かいじ」の号数が合計30往復で1号から60号まで通しになり、号数かぶりは回避されています。また、富士急行線内では新たに下吉田に停車します。

su62numa381.hateblo.jp本ブログでは過去に「富士回遊」の前身となる「ホリデー快速富士山」の混雑問題を指摘したことがありますが、2019年3月に特急列車になった後も訪日外国人観光客を中心に利用が多く、連結する「かいじ」とは混雑に差が出ています。結局のところE353系3両編成2往復では対応できず、E257系5両編成による臨時列車も土休日を中心に運転されているのが現状です。八王子支社のプレスには臨時列車はE257系で運転すると書かれているので、毎日3往復になった後もこれに加えてさらに臨時列車が運転されるのでしょうか?何はともあれ、地元に新しい列車ができるとなれば乗ってみたいです。

2. 朝夕を中心に中央線特急の停車駅・運転区間を見直し

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E353系の性能を活かしながら、利便性を確保するのが重要である。

中央線特急では「あずさ」「かいじ」の号数が通しで振られると同時に、一部列車で停車駅や運転区間が見直されます。具体的には以下の通りとなります。

下り「あずさ」

  • あずさ03号(現03号):塩山・山梨市・石和温泉に停車、松本行きに短縮
  • あずさ05号(現05号):南小谷行きに延長
  • あずさ43号(現27号):富士見・下諏訪に停車
  • あずさ49号(現31号):韮崎・富士見・下諏訪に停車
  • あずさ55号(現35号):塩山・山梨市・石和温泉に停車

上り「あずさ」

  • あずさ06号(現04号):小淵沢は通過
  • あずさ10号(現06号):塩尻・岡谷・下諏訪・富士見・小淵沢・韮崎に停車
  • あずさ16号(現10号):下諏訪・富士見・石和温泉・山梨市・塩山に停車
  • あずさ42号(現24号):韮崎は通過
  • あずさ44号(現26号):下諏訪・富士見・韮崎・石和温泉・山梨市・塩山・大月に停車、松本発に短縮
  • あずさ46号(現28号):南小谷発に延長

「はちおうじ」「おうめ」

  • おうめ01号(現はちおうじ03号):八王子行きから青梅行きに変更

全体の傾向としては、2019年3月の改正で減らしすぎた分を少し戻している感があります。特に塩山・山梨市・石和温泉が2往復増加、富士見・下諏訪が2.5往復増加と目立ちますが前者は「かいじ」のみ停車、後者は上下線とも千葉発着と上り朝一番に下り最終、合計2往復を除き全て通過になったことから沿線からの反発が非常に大きかったものと思われます。また、1往復だけある大糸線直通が上下線とも1本後の停車駅が少ない列車に変更されていますが、これについてはいろいろな行き先の乗客が特定の列車に偏らないようにするためだと考えられます。結果として千葉発の「あずさ3号」は区間短縮と「富士回遊」との連結により前9両が南小谷行きから松本行きに、後3両が松本行きから河口湖行きにと大きく変わることになります。この他に東京18:30発「はちおうじ3号」が「おうめ1号」に変更されましたが、下り「おうめ」が東京22:30発の1本だけというのはさすがに帰宅列車としてはまずいと判断されたのか、それとも単に車両運用の都合で9両編成になったから青梅行きに回したか(現在の「はちおうじ」は全て12両編成)、真相はどちらでしょうか...

3. 中央快速線は終日快速運転、総武線各駅停車は終日三鷹直通に

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黄色のE231系とオレンジ色のE233系御茶ノ水で行き交う。

現在は早朝の一部列車と深夜の全列車において、総武線各駅停車の電車は千葉~御茶ノ水で運転し、その代わり中央快速線の一部電車を御茶ノ水三鷹緩行線に回す形となっています。しかしながら緩行線では2020年中に一部の駅でホームドアが設置される予定があり、快速線を走るオレンジ色のE233系は分割編成などの関係で対応できない(対応できたとしても2023年度末に予定されているグリーン車連結でまた不可能になる)ため、全時間帯において日中と同様の系統での運転に変更されます。これにより、オレンジ色のE233系が各駅停車表示で緩行線を走ることはなくなり、東京発着の中央線各駅停車も消滅します。

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中央快速線は朝も昼も夜もたくさんの利用客がいる。

三鷹より先に行く電車が全て快速になることで所要時間が短縮され、終電は東京を遅く出て終着駅に早く着くことができるようになります。大体8分くらい短縮されるので到着時刻が1本前になると考えるとわかりやすいでしょうか(詳しくはプレスの表を見てください)。中央線の終電は改正で以下のように変更されます。

  • 高尾行き:東京発24:20、新宿発24:41→東京発24:15、新宿発24:30
  • 豊田行き:(現在は高尾行きと同じ)→東京発24:25、新宿発24:40
  • 武蔵小金井行き:東京発24:27、新宿発24:50→東京発24:35、新宿発24:50
  • 三鷹行き:東京発24:35、新宿発25:01→東京発24:35、新宿発25:01

本数の見直しで高尾着25:37の電車がなくなり、15分前倒しの25:22着となっています。そのため高尾行き終電の後に豊田行き終電ができ、八王子~高尾については東京発でも終電が早くなったことに注意が必要です(これにより新宿→八王子の終電は京王線の方が遅くなりました)。また三鷹行き終電のみ各駅停車のままのため、快速が止まらない途中駅に行く場合は武蔵小金井行き終電に乗って御茶ノ水で乗り換えることになります。

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終夜運転であっても武蔵小金井行きは見られなくなるのか?

一方の総武線各駅停車については、朝の千葉行きや夜の千葉発に一部存在する武蔵小金井・立川方面への直通がなくなります。その一方で総武線各駅停車の御茶ノ水行きが完全に消滅するかについては微妙なところです。このままのダイヤだと三鷹行き最終の後は千葉発津田沼行きだけというかなり極端なことになりますが、そうなると翌朝一番の御茶ノ水発千葉行きに使う車両をどうするのかという点で疑問が残ります(4:29発なので中野発や三鷹発にするのは現実的ではありません)。かなり変えてくることも考えられますし、このあたりは具体的なダイヤが出るのを待つしかないでしょうか。

4. N'EX全列車12両化と快速増発で成田空港アクセスを強化

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料金は高いがネットワークに優れる「成田エクスプレス」。

現在2往復だけ残っている全区間6両編成の特急「成田エクスプレス」が12両編成になります。これにより東京~成田空港の「成田エクスプレス」は全て12両編成になり、さらに一部列車の系統変更で新宿方面発着が増発されます。また10月27日から成田空港の門限が延長されたことに伴い深夜に成田空港→千葉の快速列車が1本運転されていますが、今回の改正では成田空港行きを新設(千葉行きから延長)した上で定期化されます。2020年はオリンピックもありますし、つい最近京成電鉄がスカイライナーを増発したこともありJRとしても成田空港アクセスに力を入れているように感じられます。

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成田空港の立ち位置を考えれば、安い快速列車も重要である。

2020年3月末には羽田空港の発着枠が1日50往復程度拡大され、ANAJALとも米国路線を中心に成田から羽田に多くの便が移管され、相手国の航空会社の中には成田から撤退して羽田のみに絞るところも出てきています。ですが、今後羽田は大幅な拡張が当分見込めないため成田は新規路線の受け皿としての役割がありますし、空港~都心のアクセスを充実させる必要もあるでしょう。最近は航空にも興味が出ているのでその辺についてももっと詳しく取り上げたいですが、それはまた別の記事で。

5. その他の千葉支社・八王子支社各線は?

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現在の255系の主戦場は「しおさい」である。

千葉支社では特急「しおさい」の時刻が調整される他、武蔵野線京葉線も土休日の東京~西船橋を中心に強化されます。一方で千葉より先の各線の普通列車については特に何もなく、鹿島線Suicaが使えるようになる程度でしょうか(久留里線は...)。八王子支社では深夜に中央特快を増発、平日夕方には南武線を増発といった感じです。終日快速運転関連以外で本数が減ることは特にないと見ていいのでしょうか?

今回は以上です。ありがとうございました。

24. 【大阪発24時の理由は?】JR西日本、終電繰り上げへ【サンライズへの影響は?】

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10月24日、JR西日本から24時を目安にそれ以降の深夜帯の運転本数を見直すことを検討することが発表されました。早ければ2021年春のダイヤ改正で実施される見通しです。

www.westjr.co.jp

主な理由としては、

  • 保守作業の時間を確保し作業員の働きやすい環境を整える
  • それにより作業日数を減らし、働き手不足に対応する
  • 数年前に比べて利用客の帰宅時間が早まっている

などを挙げています。これについて、多方面から比較・考察してみましょう。

1. 「大阪発24時」を目安とした理由

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関西圏においても新幹線連絡は重要である。

JR西日本の発表によると、大阪発の終電を24時に繰り上げることで年間10%ほど作業日数を減らすことが期待できるとされています。24時はあくまでも例ではありますが、なぜ24時としたのか、それは最終の新大阪行き新幹線との接続をとるためでしょう。現在のダイヤでは東京発新大阪行き最終「のぞみ265号」が新大阪23:45着、鹿児島中央発新大阪行き最終「みずほ612号」が新大阪23:37着となっているので、逆に言えばそれくらいまでは必要でしょう。現状のダイヤではここから新快速に乗り換えることで姫路・野洲までは新快速が通過する途中駅を含めて行くことができます。また、大阪環状線各駅にも行ける他、天王寺大和路線に乗り換えて王寺まで、または阪和線に乗り換えて鳳まで行くことができます。いずれも終着駅到着は25時かそれを少し過ぎるくらいです。これより遅くまで運転しているのは

の3方向となっていて、特にJR神戸線については最終の各駅停車でも西明石まで行くことができます(西明石着は25:38で、現在は日本一遅い)。そのため、このあたりの電車は削減の対象になる可能性が高いでしょうし、これ以外でも全区間で完全に運転を終える時間を前倒しするために運転区間短縮もあり得そうです。王寺、鳳あたりは初電が朝6:00発の新幹線に接続できるので終電に関しても接続時間の見直し程度で済むとは思われますが、姫路や野洲まで最終の新幹線接続を取るかは微妙なところですし、まして末端部の新快速通過駅はかなり厳しいのではないでしょうか。また、大阪方面に向かう電車についても、これに合わせる形で見直されるでしょう。

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2. JR線と競合する私鉄各線の終電は?

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関西圏は私鉄も強く、近鉄電車は大和路線などと、阪神電車JR神戸線と競合する。

その一方でJR線と関西大手私鉄5社を競合区間で比較してみると、多くの場合JR線の方が終電が遅くなっています。計画通りに繰り上げても私鉄と同じくらいか、それでもまだJR線の方が遅いくらいかもしれません。

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関西大手私鉄5社はいずれの路線も遅くとも25時までには全線で運転を終了するダイヤとなっているため、「終電が遅いJR」のイメージが崩れることはなさそうです。なお神戸電鉄神戸市営地下鉄には25時を過ぎる電車が一部ありますが、これもJR線との接続という要素が強いです。

※2020年9月17日訂正
新今宮→和歌山のJR阪和線終電を22:58発と表記していましたが、23:39発に訂正しました(和歌山行き終電各駅停車が発車した後も、後続の日根野行き快速で追いかけることが可能です)。これにより新今宮→和歌山も南海本線より遅いことになります。

3. それではJR東日本の首都圏各線と比較すると...?

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JR東日本の近距離電車は終電がかなり遅いことが多い。

JR東日本の場合、近距離電車(通称E電)である山手線、京浜東北線、中央線快速電車、中央・総武緩行線などで私鉄などと比べても全体的に遅く、関西圏と比べても遅めな傾向にあります。中でも中央線(車両は快速電車だが運転系統の関係で各駅停車)の高尾行き終電は25:37着と非常に遅く、その後の三鷹行きに関しては新宿発の時点で25時台となっています(しかも日によっては非常に混雑します)。その一方で、JR西日本の新快速のように上位種別に相当する中距離電車が都心の終電間際まで運転されることはなく(とはいっても運転区間の関係で終着駅到着はかなり遅いですが)、24時以降はほぼ各駅停車で占められています。その影響で一部やや早めな区間もあり、埼京線は新宿23:55(11/30以降は24:00)発の川越行き終電で池袋~赤羽を除き途中駅までの電車もなく運転終了、他路線で代用できない駅を持つ総武快速横須賀線も最終の新幹線に接続するかどうかくらいが終電となっています。常磐線快速電車は遅くまで取手行きがあるのにどうしてこうなった...

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また首都圏においても終電はJR線の方が私鉄よりも遅い傾向にあります。とはいえ25時台まで運転している路線も少なくはなく、条件次第では私鉄の方が遅いこともありますし、私鉄同士の比較でも首都圏が若干関西圏よりも遅いといったところでしょうか。小田急や京王のように、終電を逆に繰り下げたところもあります。

4. それ以外の地域では?

JR東海の名古屋地区だと終電自体は最低でも最終の新幹線接続まではありますが、運転区間は短めで終着駅到着時刻が25時を過ぎるのは東海道線上り豊橋行き終電(名古屋23:57発)のみとなっています。その一方、名古屋市営地下鉄では東山線で金曜日のみ終電の延長を行っており、25:15まで運転されて日本一終電が遅い地下鉄となっています。

JR九州では博多・小倉近辺の普通列車や都市間連絡特急列車で25時を過ぎて運転されるものが見られましたが、2018年春のダイヤ改正で深夜・早朝の列車が大幅に削減され、ごく一部を除き消滅してしまいました。この改正ではこれまで大分から山陽新幹線の始発・終電に接続できていたのが中津までしか行けなくなるなど、新幹線接続にも影響が出ているので、今回のJR西日本の比較対象になるかもしれません。

5. もしかするとサンライズにも影響が?

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サンライズはJR4社が関係するため、ダイヤの変更は難しいか?

この発表で密かに注目されているのが、上りの「サンライズ出雲・瀬戸」のダイヤがどうなるかです。このままのダイヤで運転すれば大阪での発車時刻(現在は24:34発)が他の電車よりかなり後になることが予想されますし、結局終電を早くする意味がないのではという声もあります。大阪を通過して夜の停車駅は三ノ宮までとすればよいという声もありますが、大阪止まりの電車があることを考えると微妙でしょう。

その一方でサンライズも30分程度前倒しすればいいという案もありますが、それはそれで問題があります。停車駅をそのままで30分程度前倒しすると、静岡(現在は4:40発)と富士(現在は5:10発)の発車が普通列車に比べてかなり早くなってしまいます。現時点でも約20分早いので、さすがに効率が悪すぎる気がします。仮に前倒しする場合、静岡と富士は通過して、逆に京都は停車なんてこともありそうです。

 今回は以上です。かなり久しぶりでかなり長くなりましたが、ありがとうございました。

23. 【新種別・停車駅変更、東急直通後は?】2019年11月相鉄・埼京線ダイヤ改正をたっぷり考察(その2・相鉄線編)

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前回その1に続いて、今回その2では相鉄線内の変化と、それに関連して今後予定されている東急直通によって生じるある問題についても見ていきたいと思います。具体的なダイヤはあまり出ていないので憶測による部分も多いですが、ご了承ください(そもそも東急直通はまだ3年後ですし)。

1. JR線との相互直通運転を開始、特急・快速が西谷に停車

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西谷には旧型の案内が残るも、すっかりきれいになった。

その1でも書いた通り、相鉄・JR直通線が開業して海老名~新宿で相互直通運転が行われます。日中の種別が特急・急行・快速・各停の4つであることに変化はありませんが、JR線直通があるのは特急と各停の2種類となります。また、現在は各停のみ停車する西谷ですが、改正後は分岐駅となるため特急と快速が新たに停車します。これについては発表時に度肝を抜かれた方も多いのはないでしょうか。確かに西谷は分岐駅としての需要ができるものの、駅自体の利用客は隣の鶴ヶ峰に比べてかなり少なく、鶴ヶ峰通過で西谷停車はあり得ないと考えられていました。さらに、特急は横浜の地位を維持するための列車であることと、直通線は海老名・大和~新宿ではどうあがいても小田急線にはあらゆる面で勝てないとされていたため(二俣川~新宿ですら大和経由の方が安い)、直通線は各停が中心で西谷には快速はともかく特急が停車するとは多くの人が考えもしなかったはずです。その1にも書きましたが、直通線の目的が変わってしまった感があるのも原因でしょうか。なお、急行は二俣川~横浜ノンストップのままなので、相鉄本線の主役は結局急行に戻ったようにも感じます。

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直通線特急と入れ替わりでなくなるいずみ野線特急。

さらに、現在特急の運転がない平日夕方時間帯においても直通線特急が運転されます。特急ばかり20分間隔(日中パターン最後となる新宿発16:03の後は新宿発23:14の最終を除き全て特急)なので現在のダイヤパターンに何らかの形でねじ込むことが予想されますが、どうなるのでしょうか?また、日中運転されてきた湘南台~横浜の特急が改正でなくなり、特急は全て海老名発着となります。元々本線特急に比べると存在が中途半端で、当初は8両編成だったりいつの間にか1時間間隔に減らされたりとあまり人気はなかった感がありますが、やはりいずみ野線内で停車駅を絞るのはきついものがあったのでしょうか?

2. 平日朝のいずみ野線に上位新種別登場、いずみ野線は大躍進?

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現在は各停中心のいずみ野線だが、上位種別が少しは増えるか?

今回の改正では、平日朝ラッシュ時間帯に2つの種別が新設されます。通勤特急と通勤急行であり、いずれの種別も鶴ヶ峰と西谷に停車するのが特徴となっています。いずれも湘南台発横浜行きで、通勤特急いずみ野線内はいずみ野のみ停車、通勤急行は西谷まで各駅に停車となっています。現時点で時刻が公表されているのは通勤特急4本と通勤急行5本で、時刻は以下のようになっています(通勤急行については、一部海老名発も運行される予定です)。

現在の平日朝ラッシュ時間帯のいずみ野線は各停のみなので、湘南台からであれば横浜まで座ってかつ速く行くことができるようになるのは大きいでしょう。疑問点としては、今回西谷~横浜の各停は設定されるかです。快速も含め鶴ヶ峰、西谷停車は各停が分断されても利便性を損なわないためだと思っていましたが、JR線直通が特急中心となったため、予想が難しくなりました。そもそもプレスリリースにはそのようなことは書かれていませんし、海老名発の通勤急行とともにどのようになるのか注目されます。

3. 女性専用車が横浜行き最後尾の車両に変更、下り夕方以降は取りやめ

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11000系では4号車のみ全てのつり革が車端部と同じ高さだが...?

現在の相鉄線では、平日の以下の列車の4号車が女性専用車となっています。

  • 横浜着7:00~9:30の上り全列車
  • 横浜発18:00以降の下り全列車

しかしながらJR線から直通してくるE233系7000番台は10号車が女性専用車となっており、どちらに揃えるか、また上り・下りの方向が両者で逆であるため時間帯や区間がどうなるかが注目されていました。今回のプレスリリースでこれについても発表され、号車についてはJR埼京線と同じ10号車(8両編成は8号車)となった上で、時間帯や区間は以下のように変更されました(弱冷房車については逆に相鉄線に合わせているため、変更はありません)。

  • 横浜着7:00~9:00の横浜行き全列車
  • 大崎着7:20~9:30のJR線直通全列車(大崎で終了)

やたら時間の長い上に他社線と違って各停だろうが8両編成だろうが避けられない夕方以降の女性専用車がなくなったことで評価は高いと思いきや、Twitterなどを見ている限り評価はあまりよろしくありません。というのも上り最後尾の車両に変わることで、海老名などでは改札口の目の前が女性専用車となってしまうからです(小田急江ノ島線の藤沢も同じ状況ですが、こちらは全列車ではないためかそこまで不満は聞きません)。そのため、これまで相鉄線ではたとえ横浜到着時点で最も空いていても10号車を女性専用車とはせず、その代わり横浜で2カ所の出口の中間となり、乗車率の谷に当たる4号車が女性専用車とされました。海老名では改札口の増設が進められていますが、完成する来年までは駆け込み乗車が問題になるのではという懸念も多く、かつての東横線の「菊名問題」の再来だという声も上がっています。というか海老名、横浜特急の大幅減も予想されるし下手したら今回の改正で一番の負け組では...

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菊名問題とは、東急東横線菊名において階段が横浜寄りの端にしかなかったことと東横線の女性専用車が導入当初横浜方先頭車の8号車であったことが原因で生じた、駆け込み乗車・車内トラブル・積み残し・7号車の混雑などの諸問題の総称です。菊名横浜線の乗り換え駅で東海道新幹線との接続にも関わる重要な駅でもあったこと、そして当時は各停を除き平日終日全列車が対象だったため利用客からはかなり不満だったそうです。結果として、東横線の女性専用車はわずか1年で編成中央の5号車に変更され、時間帯も朝の上下線と夕方以降の下りのみに縮小されました(現在は副都心線乗り入れに伴い、各停含む朝のみ1号車での実施に再変更されています)。この問題の影響か、関東圏で女性専用車を終日実施した例は後にも先にもこれだけです(なお関西圏、特にJR西日本には全く効いていない模様)。ちなみに今回の相鉄線の変更で関東圏で朝以外の実施は京王線(夕方以降は特急・準特急のみ)、埼京線(深夜)、つくばエクスプレス(夕方の下り全列車)の3路線に、中間車での実施は横浜市営地下鉄ブルーライン(6両編成の4号車)、京浜東北根岸線(10両編成の3号車)の2路線となります。

海老名以外に影響を受ける駅としては、階段やエレベーターが海老名寄りにしかない鶴ヶ峰や平沼橋が挙げられます(平沼橋は横浜にあまりにも近いので降りる人の方が多そうですが)。また、いずみ野線内は逆に階段が中央部にある駅が多く、4号車から10号車に変わったことで改善されたと言えます。端の車両で時間帯も朝のみとなった(余談ですが海老名発新宿行き最終は新宿着が23時を過ぎ、埼京線内深夜の女性専用車実施時間帯に入りますが、この列車のみ対象外とされています)ことで、他社線と同水準となりましたし、3年後の東急線との直通運転も問題ない...と思いきや、かなり複雑な問題が生じてくるのです。

4. 相鉄・東急直通線開業後はさらに複雑になるが、どうなる?

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相鉄・東急直通線開業時にはもういないであろう新7000系

まず相鉄・JR直通線開業時点での関連各路線の編成は、以下のようになります。ここに書ききれない内容も一部ありますが(東武東上線の8両編成は和光市~志木のみ、西武線の8両編成は池袋線の地下鉄直通列車以外女性専用車の実施対象外など)、気になる方は各自調べながら補ってください。なお目黒線系統については現在全て6両編成ですが、相鉄線と直通する際に一部が8両編成となり、東急3020系が既に8両編成で製造されているのでこれを元に暫定編成としています。

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今回の変更で相鉄線埼京線、そして東横線などの弱冷房車が渋谷・新宿・池袋で南側から2両目で全て一致し、現時点で増結編成等の関係で違う車両を指定している西武線内列車を除き3年後に再びずらす必要はなくなりました。目黒線系統については、相鉄線の8両編成か他の各線のどちらかが1両ずらせばそろいます(東横線と揃えるために相鉄線以外が1両ずらす可能性の方が高いでしょう)。

しかしながら直通に当たって最大の問題点となるのが、相鉄線埼京線東横線などで女性専用車の位置が真逆であることです。考えられる選択肢としては、
(1)相鉄線埼京線などが1号車に変更
(2)東横線副都心線などが10号車または8号車に変更
(3)相鉄線内では東急線直通のみ1号車に変更し、列車によりバラバラ
の3つでしょう。ですが、いずれにしてもかなり問題があります。

(1)相鉄線埼京線などが1号車に変更する場合

この場合、相鉄線では希望ヶ丘や和田町が横浜寄りにしか階段がなく、不便を強いられることになります。が、それ以上に問題なのが横浜で関東最大規模とされる2階改札口の真っ正面に来てしまうことです。いくら夕方以降の下りでの実施がなくなり影響を受けるのが到着だけになったからといっても、それはできれば避けたいというのが相鉄側の考えではないでしょうか。また、埼京線でも1号車は最混雑車両とされており、特に新宿で南に大きくずれた5・6番線が使われるのであれば影響は避けられないでしょう。また、板橋も1号車付近にしか出口がありません。

(2)東横線副都心線などが10号車または8号車に変更する場合

この場合、最も反対するのは間違いなく東急でしょう。時間帯こそ縮小したものの、菊名問題が復活してしまいます。相鉄・東急直通線開業後は横浜線とは新横浜でも乗り換えられるようになるため菊名の重要度は下がりますが、東横線からの直通は少ないため一定数は現状通り菊名乗り換えで残るでしょう。また東武東上線西武池袋線のターミナルとなる池袋でも、改札口の真っ正面となります。さらに所沢での接続の関係で他社線への直通がない西武新宿線も変更が予想されるので、本川越でも同様の事態になり、しかもこちらは始発駅なので相鉄線の海老名と同様に駆け込み乗車の原因になるでしょう(全列車ではないので小田急江ノ島線の藤沢に近いかもしれませんが)。

(3)相鉄線内では東急線直通のみ1号車に変更する場合

この場合、相鉄線の東急直通用車両である20000系において複雑な対応をする必要があります。具体的には半蔵門線や都営新宿線みたいに両先頭車に違う内容のステッカーを貼るか、20000系は完全に別運用とし、西谷~横浜には(最低でも平日朝は)絶対に入れないか、この2択となります。しかし半蔵門線や都営新宿線の場合は上下線で違うだけの話であり、同じ方向で違うとなると案内が複雑になることが予想されます。また、20000系を完全に別運用とするのも8両編成はともかく10両編成では難しいでしょう。

このように、いずれにしても相鉄線が割を食うか、副都心線に乗り入れる各線が割を食うか、結局はこの2択となってしまうのです。現在女性専用車のない目黒線都営三田線南北線埼玉スタジアム線も含め、今後の対応が注目されます。

 長くなりましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。11月30日を楽しみに待ちつつ、相鉄線を知らない方々にもその魅力を知ってもらえることを願います。

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JR線直通は当分見送られた11000系。今後日の目を見ることはあるのだろうか...?

 

22. 【いよいよ相鉄が新宿へ】2019年11月相鉄・埼京線ダイヤ改正をたっぷり考察(その1・埼京線編)

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9月6日、JR東日本・相鉄から11月30日に開業する相鉄・JR直通線の具体的なダイヤとそれに伴うダイヤ改正の概要がプレスリリースで公表されました。それを読みつつ、いろいろと考察してみようと思います。その1では直通線全体と埼京線内の変化を見ていき、その2で相鉄線と直通線全体の今後を見ていこうと思います。

1. 直通列車は46往復運転、朝は埼京線快速・通勤快速で川越直通あり

www.youtube.com今回のプレスリリースでは、直通列車の本数は平日・土休日とも46往復と正式に発表され、46往復全てが海老名発着、うち朝の6往復(上下線とも3本目から8本目)が新宿より先まで入ることも明らかになっています。種別は相鉄線内では各駅停車と特急(大和・二俣川・西谷・羽沢横浜国大のみ停車)の2種類となり、JR線内は全列車が武蔵小杉、西大井、大崎、恵比寿、渋谷、新宿の順に各駅に停車します。これについては相鉄線内で客を拾うために各駅停車が多いと見られていましたが、平日・土休日とも過半数が特急なのは少々意外でした。特に平日は朝の上りと夕方の下りが全て特急で、目的が看板列車と武蔵小杉→新宿の増発に変わってしまった感があります。
新宿より先に入る列車の中には、埼京線内快速・通勤快速となる列車もあります。個人的にはもう少し大宮・川越まで直通しても良さそうな気もしますが、E233系7000番台のホームドア対応改造が間に合わないということなのでしょうか?池袋まで行く人もいるでしょうし、さらに大宮まで行けば新幹線接続ができますし。また、新宿発の終電が23:14となったことも湘南新宿ラインより遅いという点で評価できます。

新宿より先、池袋・大宮・川越方面に入る列車は以下の通りです。

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2. 10両編成だが武蔵小杉の混雑対策にはなるか?

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武蔵小杉では直通列車がどのような扱いをされるかについても気になる。

直通列車はJR東日本埼京線E233系7000番台、相鉄が12000系を使用し、いずれも10両編成です。現在の横須賀線湘南新宿ラインが15両編成中心なため混雑が懸念されていましたが、プレスリリースには横須賀線湘南新宿ラインの本数を見直すとは特に書かれておらず、微調整程度で済むものと見られます(湘南ライナーが1本減らされますが、武蔵小杉には停車しません)。なお、相鉄12000系は通常新宿までの運行となるので、E233系は6編成が翌朝まで相鉄側に取り残されることになりそうです。
また埼京線相鉄線で編成の統一も図られ、埼京線が4号車、相鉄が9号車となっている弱冷房車りんかい線含め9号車に統一されます。平日朝の横浜行きの相鉄線には女性専用車がありますが、直通列車ではJRに合わせて10号車で大崎までの実施となります。埼京線で現在実施しているものについては現状通りとありますが、となると平日朝の新宿発海老名行きは大崎まで実施ということになるのでしょうか?
なお、横浜行きの女性専用車も10号車(8両編成は8号車)になるのですが、これで生じる問題点についてはその2で。個人的には相鉄線東横線弱冷房車の位置が同じで、かつ相鉄には8両編成が存在することからどちらも相鉄に揃えられるかと予想しましたが、やはり埼京線の女性専用車を4号車にすると影響を受ける駅が10号車に比べて増えるのもあるのでしょうか?なお、相鉄線の横浜発夕方以降の女性専用車はなくなるため、埼京線りんかい線の新木場方面行きが女性専用車だらけになることはないのでご安心(?)ください。
それでもって武蔵小杉の混雑対策になるかについては、純増であれば程度はともあれ対策になるのは間違いないでしょう。横須賀線には朝でも一部11両編成があり、グリーン車を除けば9両、これで女性専用車を除いた直通列車とほぼ同じ輸送力があります(あくまでも任意協力なので老若男女問わず女性専用車にどんどん乗ってくれてもいいんですよ)。しかし、どれくらいなるかは武蔵小杉到着時点での乗車率次第といったところでしょうか。そうなると本来求められている利用客が少ないほど対策になるという皮肉なことになってしまいますが...

直通線開業前と後で女性専用車と弱冷房車の位置の変化は以下のようになっています。

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3. 埼京線の快速が武蔵浦和~大宮で各駅に停車、改善か改悪か?

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季節外れの11月の雪が降る南与野を通過する埼京線の快速。もう見られることはないのか?

現在昼間の埼京線は大宮までの各駅停車が毎時6本、川越まで行く快速が毎時3本となっていますが、今回の改正で各駅停車の半分が武蔵浦和止まりとなり、その代わり快速が中浦和・南与野・北与野に停車します。原因は乗務員のやりくりという説が有力で、これにより快速の通過駅は4駅のみになるのですが、見た限りかなり悪評ですね。ただ、本当に改悪になるのは本数が純減する与野本町と所要時間が延びる川越線区間くらいで、特に武蔵浦和より南に関してはほぼ関係ないように感じます。むしろ新規停車3駅にとっては乗り換えがなくなり、現在は一部偏りのある列車間隔もほぼ10分間隔にそろうため、改善な気がします。少なくとも40分間隔で赤羽止まりがあった何年か前よりかはどこの駅もましな状態ではないでしょうか?むしろ赤羽止まりを大宮に延ばしたが、さすがにこれは過剰すぎたと判断されただけかもしれませんが。

今回はこのあたりでしょうか。この他にも初電繰り上げ・終電繰り下げなどが行われて埼京線の扱いが少しではあるものの他の路線に一歩近づいた感もあります。その2では相鉄線について見てみるので、そちらもご覧ください。

21. 2号館に移転完了、令和の時代もよろしくお願いします

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2019年5月26日の小田急ファミリー鉄道展にて、3000形SSEと70000形GSEの並び


気がつけば2019年ダイヤ改正の考察を途中でほったらかしにして約8ヶ月。時代は平成から令和へと変わり日本の鉄道や航空といった交通は大変革を迎える間近。そんなあるとき、Yahoo!ブログがサービス終了するとの知らせが。ブログの対応をどうするか考えた結果、このはてなブログに「2号館」として移転することとしました。これからよろしくお願いします(12/15までは旧ブログも閲覧可能です)。

今熱いことといえば鉄道では11月の相鉄・JR直通線開業に来年はJR東日本E261系「サフィール踊り子」やJR東海N700S系、近鉄80000系「ひのとり」といった最新鋭の新型車両、航空では相次いで運航を開始する新機材(ANAA380・787-10、JALA350・国内線用787-8)と来年3月の羽田増枠でしょうか。これからも大変革が続く日本の交通を、いろいろな面で考えていきたいと思います。

旧ブログでは鉄道のダイヤ改正などの考察をしてきましたが(最後まで書けたことは少ないが)、この「2号館」では列車の乗車記や飛行機の撮影記なども含めてより幅広いコンテンツを揃えていこうと考えています(え、飛行機の搭乗記?いずれ書きたいけど今の有り金では少々厳しいかな...)。千葉在住、埼玉に通学、親戚は神奈川なので南関東1都3県での活動がメインとはなりますが...

なお、当方では本ブログの他に、以下のサイトでも情報を発信しています。

鉄道・航空映像メインのYoutubeチャンネルです。

www.youtube.comTwitterアカウントです。なんかどうでもいいことをしゃべっています。

twitter.comフォートラベルでも旅行記や口コミを書いています。

4travel.jp

最後に、更新頻度は相変わらず低いかもしれませんが、はてなブログでもよろしくお願いします!!

20. 2019年ダイヤ改正について考察してみる(その2)

2. JR東日本

2-1. 東北新幹線E5系を追加投入、東京発着の定期「はやて」は消滅へ

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最後までE2系「はやて」で残っていた「はやて119号」がE5系での運転となり、「はやぶさ101号」となる。宇都宮~盛岡の最高速度が320km/hとなり、東京~盛岡の所要時間も10分短縮される。これにより、「はやて」は盛岡~新函館北斗の列車と一部の臨時列車のみとなる見込み。
 
考察
だいぶ前から「はやて」の列車名はどうなるのか、気になっていたが、とうとうこの日が来てしまったという感がある。今回の改正以降、途中駅をガンガン飛ばしたり仙台より先に乗り入れるE2系がかなり減るのだろうか。

2-2. 上越新幹線E7系の運転開始、グランクラスは座席のみ営業

上越新幹線「とき」4往復と「たにがわ」1往復がE7系での運転となる。今回投入されるE7系北陸新幹線のものと同じ12両編成であり、グランクラスも座席のみながら営業が行われる。この他、上越新幹線では停車駅の見直しが行われ、一部列車において所要時間が短縮される。
 
考察
E7系の営業運転開始からまもなく5年、上にある動画は東京~長野で運転開始したばかりの頃のものであるが、あれから運転区間を大きく広げ、今回、ついにJR東日本の新幹線の西側全般を受け持つこととなった。今後、2~3年かけてE7系上越新幹線に入り、E4系を置き換えていくことになるが、気になる点としては、今回投入される列車には、E4系16両編成で運転される列車が多く含まれていることである。より早い時間帯に東京に着く列車がE7系になれば、混雑のことを考える必要が出てくるわけで、そこをどう対応するのか気になる。

2-3. 中央線特急はE353系で新料金に移行、臨時列車ではE257系も残留

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中央線特急「あずさ」「かいじ」の全定期列車をE353系に統一し、停車駅の見直しと合わせて所要時間を数分短縮する。「かいじ」のうち2往復は新宿~大月で富士急行線直通の新列車「富士回遊」と連結して運転する。いずれも一部の臨時列車はE257系での運転となる。この他、平日朝夕には「中央ライナー」「青梅ライナー」に代わって「はちおうじ」「おうめ」の運転が開始される。いずれの列車も新たな着席サービスを導入し、普通車全車両において座席指定が可能となる他、指定を受けずに空席を利用することもできる。
 
考察
今回の改正で定期列車がE353系に統一され、新料金に移行すること自体は予想できたが、「富士回遊」の運転本数が2往復というのは意外だった。現在のホリデー快速などを全てこれに代える場合、どう考えても3両編成の列車が2往復では足りているとは言えない。ただ、「富士回遊」についても臨時列車はE257系で運転するとあるため、今後どのような設定がされるかが注目される。また、改正後もE257系0番台が臨時列車用として残るか、その辺りも注目される。
 
長くなりそうなので、一旦ここで分けます。
中央線特急については、これでも書ききれないので、別に特集を組むかもしれません...