むつぬま雑学研究室新館

交通関連の考察記事を中心にいろいろ書いていきます。鉄道時々航空(予定)、2019年9月5日よりYahoo!ブログから移転。

41. 【いよいよ開業目前】2022年3月相鉄・東急ダイヤ改正続報まとめ

前回の記事では、相鉄・東急直通線(相鉄新横浜線・東急新横浜線)について運行概要からの考察をしましたが、その後2月27日に相模鉄道から改めてダイヤ改正のプレスリリースが出ました。また、時期を前後して相鉄線東急線の各駅における新時刻表も公開されています。今回はここから新たに分かった点について見ていきましょう。

su62numa381.hateblo.jp2月27日発表の相模鉄道プレスリリースはこちら

1. 相鉄線視点での考察

1-1. 急行の運転は休止、その一方でいずみ野線特急は復活

二俣川駅から先の利用客には欠かせない、相鉄らしい種別ではあったが…

今回の相鉄線内列車の変更で最も大きい変化と言えることとしては、相鉄本線横浜駅から海老名駅までを横浜駅二俣川駅間無停車、二俣川駅海老名駅間各駅停車で運行してきた急行の運転がついに1本もなくなることでしょう。相鉄線では海老名駅まで運転される列車のほぼ全てが急行という時代が長らく続いていましたが、2014年の特急運転開始を境に一時は日中の運転がなくなるなど存在が薄れ、近年はJR線直通列車や快速に置き換わる形でも減少傾向にありました。2021年の改正で再び日中の運転がなくなり、現在は朝夕時間帯に遠近分離を目的として運転される形となっていましたが、今回の改正で朝夕時間帯においても朝の上りは通勤急行、それ以外は快速に変更され、急行は時刻表や路線図のどこにも見当たらなくなってしまいました。これにより西谷駅には全列車が停車することになり、東急線直通開始による分も含めて西谷駅の停車本数は大幅に増えています。

ただし、扱いとしては「廃止」ではなく「休止」とされており、今後混雑状況などによっては現在の形のままで復活する可能性も考えられます。また、今回の改正では急行と入れ替わる形で過去に休止となった種別が復活します。それはいずみ野線内における特急であり、今回は東急線直通列車での設定となります(朝の上りで運行されている通勤特急東急線直通に変更)。2014年に特急が新設された際にはいずみ野線に乗り入れて横浜駅湘南台駅で運転される列車も設定されましたが、いずみ野線内では追い抜きができるいずみ野駅しか停車せず、利用客の多い駅を通過してしまうこともあり減便を経て2019年のJR線直通開始と同時に休止とされました(ただし、平日朝時間帯上りに限り通勤特急を新設し、いずみ野線内での通過運転を継続)。しかし、今回の東急線との直通運転開始で平日夕方時間帯を中心にいずみ野線内の運転本数が増えるため、特急が復活する形となりました。いずみ野線特急は平日は朝時間帯下りと夕方時間帯の上下線で毎時1~2本程度が運転され、土休日は若干数のみ運転されます(平日朝時間帯上りは引き続き通勤特急を運転)。

従来とは全くの別物となって復活するいずみ野線特急。

1-2. 横浜駅西谷駅間の各停を新設するも、平日朝夕時間帯の横浜駅発着は減少

今回の東急線乗り入れにより、日中時間帯は東横線直通と目黒線直通が毎時2本ずつ、朝夕はさらに多い本数が新たに都心直通となります。このうち一部は純増(日中時間帯の目黒線直通などが該当)となりますが、多くの列車が横浜駅発着からこちらに回される形となります。これにより特に西谷駅から横浜駅方面の利便性が低下するため、横浜駅西谷駅間のシャトル列車が終日、大量に新設されます。シャトル列車は主に東横線直通列車と西谷駅で接続する形で運転され、日中時間帯は毎時2本、平日の朝夕時間帯は過半数横浜駅発着各停が西谷駅までの運転となります。

日中時間帯の1時間当たりの運転本数

ただし、それでも新線開業で利用経路の分散が考えられることから、平日朝夕時間帯においては横浜駅発着本数が減らされ、朝時間帯は最大で毎時24本から20本、夕方時間帯(横浜駅発18・19時台)は毎時18本から16本に変更されます。また、朝夕時間帯は多くの各停が西谷駅で乗り換えとなる点、これまで日中時間帯を除き10両編成が中心だった海老名駅方面でも目黒線直通で8両編成が増える点も注意が必要です。その一方で平日日中時間帯や土休日は毎時12本で維持され、相鉄としては都心勤務でも買い物などは横浜駅周辺へという姿勢を示す形となっています。

2. 東急線視点での考察

2-1. 東横線では各停が減少、渋谷駅で折り返す急行が大幅に増加

似たような車両でも東横線目黒線では細かいところが異なる。

東横線から新横浜駅相鉄線方面への直通列車は全列車が10両編成となっており、東横線内では各停のみ停車する駅に10両編成が停車できないため全列車が急行とされています。また、直通列車は日吉駅まで他の東横線列車と同じ線路を走行するため、運転区間がほぼ重複する菊名駅折り返しの各停が大幅に削減され(日中時間帯は2022年改正で削減済み)、直通列車に置き換わる形となっています。これにより各停の本数がかなり減少し、その分急行の本数が増加しています。

日中時間帯の1時間当たりの運転本数

  • 特急:4本(全てFライナーとして運転)
  • 急行:6本(相鉄線直通2本、渋谷駅折り返し2本)
  • 各停:8本(渋谷駅折り返し2本)

また、急行の本数増加に伴い上りでは平日朝夕時間帯に祐天寺駅での追い抜きが増えるなど、緩急接続のパターンが大幅に変更されることから、従来はごく少数のみの設定だった渋谷駅で折り返す急行が日中時間帯以降に毎時2本程度設定されています。特に平日の夕方時間帯は10両編成が集中して充当されており、2023年度中に導入が予定されている有料着席サービス「Qシート」の対象となることが予想されます。

2-2. 目黒線では急行のほぼ全列車が新横浜駅方面に乗り入れ

長らく当たり前だった表示だが、今後はどの形式でも貴重なものになりそうだ。

全駅が8両編成対応となり両数の制約がない目黒線においても相鉄線に直通する列車は多くが急行とされており、日中時間帯は都営三田線から直通してくる急行が相鉄線まで直通し、東京メトロ南北線から直通してくる急行が新横浜駅で折り返す形となります。これにより、日吉駅で折り返す列車はかなりの数が残るもののほとんどが各停となり、日吉駅行きの急行はごく少数となります。これまで始発駅だった日吉駅では今後は座って行くか急いで行くかのどちらかを選択する形となりそうです。

3. その他(両方に関連する内容など)

3-1. 相鉄線の女性専用車は別々の号車に、目黒線系統では実施せず

JR線直通の際に4号車で統一できていれば話は違ったかもしれないが…

こちらは本ブログでは散々取り上げてきた話になりますが、相鉄線東横線の直通運転においては両者で逆側の先頭車両で実施されている女性専用車を関連する他社線も含めどうやって調整するか、また相鉄線目黒線の直通運転においてはこれまで女性専用車を実施していなかった目黒線及びその直通先で新規導入されるのかなどが注目されてきました。11月に直通運転の概要が発表された際には調整中で今後決まったら発表するとされていましたが、開業まで1か月を切った今回の発表でようやく決まりました。結果としては相鉄線以外に影響が出ないように相鉄線が各乗り入れ先に合わせて位置や時間帯を別々に設定するという形になりました。

相鉄線の女性専用車に関する変更点

  • 東横線直通のみ上り先頭1号車で始発から実施する
  • 目黒線直通は最混雑時間帯であっても一切実施しない
  • 横浜駅行き(8両編成含む)とJR線直通は号車・時間帯とも変更なし

このことから、相鉄線内では以下のようになる点に注意が必要です。

  • 東横線直通と横浜駅行き・JR線直通では同一方向でも逆の位置になる
  • 東横線直通では実施するが横浜駅行き・JR線直通では実施しない時間帯がある

1つ目の同一方向で行先によって設定号車が逆になる点については他の路線では例を見ないものであり、例えば東京メトロ半蔵門線や都営新宿線では両側の先頭車両に女性専用車のステッカーが貼られているものの進行方向によってどちらで実施するかが異なるため、駅側の案内は片側のみとなっています。特に相鉄線の場合、横浜駅方面は乗り換えが増えるのにも関わらずこのような形になったことで、利便性への影響が懸念されます。なお、2つ目については既に東横線に乗り入れている東武東上線西武池袋線においても前例があるものとなっています。東急においては始発から実施して時間になったら一斉終了が分かりやすいと考えているのでしょうか?

今回発表が遅れた理由としてはこれまでの乗り入れでは例を見ないほど調整が複雑であったことが挙げられます。ただ単に関連する事業者数が多いということもありますが、それ以上に相鉄線東横線に合わせると横浜駅への影響が大きいが、東横線相鉄線に合わせても菊名駅への影響が大きいという事情があります。特に東横線では導入当初は現在の相鉄線と同じ位置としたものの、階段が1か所しかない菊名駅などで混雑の原因となったことから1年後に設定号車を変更した経緯があり、相鉄線に合わせることは絶対に受け入れられなかったものと思われます。また、相鉄線では8両編成でも実施していることから目黒線やその直通先である都営三田線東京メトロ南北線埼玉高速鉄道線において女性専用車の新規導入があるかについても注目されましたが、こちらについては相鉄線内も含めて実施しない形となりました。この点については、特に都営地下鉄においてはつい先日大江戸線において新規導入され、三田線についても直通先と調整中とされていたことも考慮すると、個人的には五分五分程度の確率で新規導入もあり得るのではないかと考えていましたが、やはり都心部の6両編成で女性専用車を入れるのはかなり抵抗があったものと考えられます(現在6両編成で女性専用車のある路線は首都圏では東武野田線横浜市営地下鉄ブルーラインつくばエクスプレスの3路線のみ、また8両編成のみで実施するのは南北線埼玉高速鉄道線の車両が6両編成ばかりであることから現状では考えにくい)。

複雑な乗り入れが理由なのか、目黒線系統への女性専用車導入は回避された。

www3.nhk.or.jp

3-2. 車両運用の考察(相鉄20000系・21000系など)

今回の発表に先立って、相鉄からは新ダイヤの全線時刻表も発表され、両数や運行番号についても明らかになっています。発表された内容から、新ダイヤでは以下のように運用が分けられるものと考えられます。

相鉄の運行番号一覧

これまでE233系の運用だった運行番号が20000系の運用に変わるなど、細かい変化も多い。

注目点としては、目黒線直通運用について途中で運行番号を変更して三田線南北線の両方に乗り入れると思われるものがあることが挙げられます。これまでは東急車であっても三田線に乗り入れる運用と南北線に乗り入れる運用は分けられていましたが、今後はこれが改められ、運行番号の奇数・偶数を1組として両方に乗り入れる形になるのでしょうか。ただしその場合でも、現状21000系7編成に対し目黒線直通7運用となるので、予備がなくなることが予想されます。過去に私自身のツイートで相鉄20000系・21000系の運用をまとめてありますので、そちらも参照してください。

さらに時刻表を見ると、中には横浜駅発着なのに運行番号の末尾がKになっている列車がいくつか見られます。このことから、東急車も相鉄線横浜駅に入る列車に使用される予定であることが分かります。JR線直通の際はダイヤ乱れ時を除きE233系横浜駅いずみ野線に入る運用は組まれませんでしたが、今回は車両ごとに走行できる区間が異なる制約があるためか、このような運用も一部組まれることとなりました。特に土休日は平日に比べて直通列車の本数が少ないこともあり、東急車が1日に12回も横浜駅に乗り入れます。

横浜駅に乗り入れる東急車の時刻一覧

平日ダイヤ

  • 61K(各停)海老名10:26発→横浜11:16着、横浜11:20発→ 西谷11:33着(各停)

土休日ダイヤ

  • 60K(快速)海老名05:52発→横浜06:10着横浜06:20発→湘南台06:53着(快速)
  • 26K(各停)湘南台06:33発→横浜07:14着、横浜到着後回送
  • 34K(各停) 西谷07:32発→横浜07:45着、横浜07:50発→湘南台08:31着(各停)
  • 26K(各停) 西谷07:52発→横浜08:05着、横浜08:10発→ 西谷08:23着(各停)
  • 22K(快速)海老名07:43発→横浜08:17着横浜08:28発→湘南台08:59着(快速)
  • 11K(快速)海老名08:20発→横浜08:56着横浜09:09発→海老名09:44着(快速)
  • 63K(各停) 西谷09:33発→横浜09:46着、横浜09:59発→海老名10:34着(快速)
  • 29K(各停) 西谷09:44発→横浜09:57着、横浜10:09発→海老名10:36着(特急)
  • 63K(快速)海老名10:43発→横浜11:18着、横浜到着後回送
  • 18K(快速)海老名15:23発→横浜15:57着、横浜16:00発→湘南台16:41着(各停)
  • 55K(快速)湘南台20:36発→横浜21:11着、横浜21:15発→湘南台21:58着(各停)
  • 55K(各停)湘南台22:15発→横浜23:00着、横浜23:07発→湘南台23:48着(各停)

かなり長くなりましたが、今回は以上です。ありがとうございました。

40. 【「相鉄線の大進撃」はどこ方面?】2022年3月相鉄・東急ダイヤ改正を考察してみる

少し前の話になりますが、開業に向けて試運転が行われている相鉄・東急直通線(相鉄新横浜線・東急新横浜線)について11月24日に相模鉄道東急電鉄の2社内の運行計画の概要が発表され、さらに12月16日には渋谷駅・目黒駅から先を含めた運行計画についても発表されています。また、12月16日の発表において開業日が2023(令和5)年3月18日であることも発表されています。相鉄・東急直通線については以前から準備が進められてきたものの、これまでどこに乗り入れるのかなどについては不明な点が多くあったため、今回の記事ではこの点について見ていきましょう。

11月24日発表分

12月16日発表分

1. 本線~目黒線いずみ野線東横線を基本に平日100往復が直通運転

今後10両編成の20000系が本線に行くことは少なくなる?

11月24日に相鉄から新横浜駅をまたいで相鉄線東急線を直通する列車の本数が平日1日あたり100往復であることと、直通線に入る列車の種別について相鉄線内は特急(朝時間帯の一部は通勤特急)または各停、東急線内は急行(目黒線直通の一部は各停)であることが発表され、東急からはこれに加えて新横浜駅東急線方面に折り返す列車もあることが発表されました。これまで、多くの方が利用客数の関係で10両編成の東急東横線相鉄本線と、8両編成の東急目黒線相鉄いずみ野線と直通すると予想されていたと思われますが、実際には逆の組み合わせが基本となり、予想を裏切る形となりました。これは相鉄本線には既にJR線への直通列車があり、東横線直通だと行き先が重なってしまうことを考慮したのかもしれません(JR線直通は今後も46往復全てが相鉄本線に乗り入れます)。また、片道の運転本数については平日朝の最も多い時間帯で相鉄線内11本/時(本線4本+いずみ野線7本)、東急線内16本/時(東横線4本+目黒線12本)、日中時間帯は相鉄線内4本/時(本線2本+いずみ野線2本)、東急線内6本/時(東横線2本+目黒線4本)とされています。

12月16日には渋谷駅・目黒駅より先も含めた行先や本数が各社局から発表され、主に相鉄線から乗り入れる列車について新たに以下のことが分かっています。

構造上目黒駅より先まで乗り入れざるを得ない目黒線方面はともかく、東横線方面でどこまで乗り入れるかについては意見が分かれていましたが、こちらも予想を裏切り東武東上線まで乗り入れる列車がそこそこ設定される結果となりました。東急では現在大井町線で平日の夕方以降に実施している有料座席指定サービス「Qシート」を来年度中に東横線でも実施する予定となっており、その関係で横浜方面からの列車を一定数渋谷駅で折り返しとする必要があるのかもしれません。また、多くの列車が相鉄線内で各駅に停車することになりましたが、こちらについては新宿・池袋方面や大手町方面まで利用すると3事業者にまたがることから主要駅から小田急線などと競合するよりも相鉄線内の多くの駅から利用しやすいようにしたものと考えられます。この他、直通線の開業により横浜駅を発着する相鉄線内の列車の一部が東急線直通に変更されることで西谷駅横浜駅間の本数が減少しますが、これを補う形で同区間の折り返し列車が上下合わせて100本程度運行されます。

2. 新横浜駅東急線内視点だとどう変わる?

羽沢横浜国大駅から脇にそれるとJR線へ、地下に入ると東急線に直通する。

今回の直通運転開始に伴い相鉄線区間4.8km、東急線区間5.2kmが新規開業し、羽沢横浜国大駅と日吉駅の間に新横浜駅と新綱島駅が開業します。いずれにおいても全種別が停車しますが、相鉄線東急線の分かれ目となる新横浜駅は両側にホームがある中線を備えた島式ホーム2面3線となっています。相鉄側と東急側の双方に渡り線があり、さらに相鉄側からの折り返しが可能な線路については車両幅の広い相鉄規格で作られている(相鉄従来車やJR車の入線も可能)ため、ダイヤ乱れ時には新横浜駅で双方に折り返し運転を行うことも考えられます。改札口は2か所あり、相鉄(南側)と東急(北側)で片方ずつ受け持つ形となります。また、今回の開業に合わせて東海道新幹線では新横浜駅6時03分発の臨時「のぞみ」が土・月曜日を中心に運転される計画となっています。

10両編成化により東横線内では急行が増えて各停が減る。

また、直通運転開始により東急線内でも平日朝時間帯を中心に運行体系が大きく変更されます。東横線では現在最も本数の多い時間帯に通勤特急4本/時、急行4本/時、各停16本/時の合計24本/時が運転されていますが、各停のうち菊名駅始発の4本/時が相鉄線からの急行に変更され、通勤特急4本/時、急行8本/時、各停12本/時となります。これについては以前から予想されていましたが、既に菊名駅始発が減らされている日中時間帯については純増になるとみてよいのかという点についても気になります。目黒線においては今年完成した奥沢駅の上り通過線が本格的に活用されることとなり、平日朝時間帯の追い抜きが現在の武蔵小山駅から変更されることで急行の所要時間が日吉駅~目黒駅間で22分から20分に2分短縮されます(一部列車は両方で各停を追い越し最大5分短縮)。また、朝時間帯は12本/時、日中は4本/時が新横浜線から直通することで日吉駅始発の本数は朝時間帯は22本/時から10本/時、日中は12本/時から8本/時に減少します。

3. その他、所要時間や運賃、使用車両などについて

相鉄新横浜線・東急新横浜線とも加算運賃の設定があり、羽沢横浜国大駅~新横浜駅間で40円、新横浜駅~新綱島駅間で70円が基本運賃に加算されます。よって、西谷駅日吉駅間を含む区間を利用する場合、既に開業している西谷駅~羽沢横浜国大駅間の加算運賃30円と合わせた140円が、相鉄線東急線の乗車区間に対する運賃に上乗せされます。なお、新綱島駅日吉駅間については綱島駅と新綱島駅を同じ運賃とするため加算運賃の設定はなく、定期券の場合はどちらも利用することができます

主な区間の最速所要時間と運賃は運賃改定分を含め以下のようになる予定です。

海老名駅~目黒駅間最速53分、湘南台駅~渋谷駅間最速51分

相鉄線では新横浜駅発着の定期券で横浜駅も利用可能となる。

また、相鉄線では西谷駅~新横浜駅間を含む定期券(IC通勤定期券に限る)で相鉄線横浜駅を利用できる「YOKOHAMAどっちも定期」という新サービスを開始します。他社線にある既存の類似サービスとしては西武鉄道の「だぶるーと」(池袋線東京メトロ各線において池袋駅小竹向原駅どちらの接続でも利用可)や「Oneだぶる♪」(新宿線~JR各線において新宿駅高田馬場駅どちらの接続でも利用可)、東武鉄道の「二東流」(東上線東京メトロ各線において池袋駅和光市駅どちらの接続でも利用可)、京王電鉄の「どっちーも」(京王線新宿駅井の頭線渋谷駅のどちらも利用可)が挙げられますが、特に追加の運賃を必要としない点でいずれのサービスともやや性質が異なるといえます。その代わり横浜駅発着の定期券に同様のサービスはなく、「どっちーも」と同様に本来の区間外の途中駅は対象とならないといった制約があることに加え、東急線側にはこのようなサービスの設定自体がない点、横浜方面の区間振替輸送の対象にならない点についても注意が必要です。

どの車両がどこまで乗り入れるかについては流動的な部分もある。

編成については、東横線直通は全て10両、目黒線直通は原則8両だが新横浜駅で折り返す列車は6両の場合もあるとされています。また、相鉄車は東横線直通用の20000系が東京メトロ副都心線和光市駅まで、目黒線直通用の21000系が入りうる区間区間への直通に対応しているのに対し、相鉄線への直通に対応しているのは現時点で東急車(東横線5050系4000番台、目黒線3000系・5080系・3020系)のみのため、東京メトロ副都心線内および目黒駅より先の各線区においては相鉄の片乗り入れ、東武東上線内は東急車のみの担当となる見込みです。新横浜方面への乗り入れを通常行わない西武車も含め、東急新横浜線内での試運転をまだ行っていない形式がいくつかあることから、今後が気になるところです。

また、相鉄・JR線直通開始時に本ブログでは弱冷房車や女性専用車(現時点で目黒線にはなし)の位置が一致しない問題点を指摘しましたが、弱冷房車については目黒線直通においては位置を合わせず、現状のまま(相鉄車のみ7号車、それ以外は6両・8両とも4号車)で直通することが決まっています。その一方で女性専用車については11月24日の発表では未定であるとされ、12月16日の発表においても一切触れられていません。相鉄線東横線で真逆の位置にある上にどちらに合わせてもいろいろと問題がある点、各事業者ごとに時間帯などが異なる点などもあり決着が困難であることが予想されますが、今後相鉄線内のダイヤなどについて具体的な発表があると思われるので、そのあたりで何らかの発表があるのではないでしょうか?

su62numa381.hateblo.jpかなり久々の更新となりましたが、今回はここまでです。

39. 【今年度は大幅縮小?】2021年大晦日~2022年元日の首都圏終夜運転まとめ

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しばらくの間諸事情により更新が全くと言ってよいほどできませんでしたが、久々に投稿させていただきます。

2021年も12月となり、年末年始が近づきつつあります。そんな中で鉄道において気になることと言えば、大晦日~元日の終夜運転です。昨年度は感染症の影響で元々実施予定だった事業者を含めた首都圏の全事業者で中止となりましたが、今年度も首都圏や関西圏を中心に計画を発表している事業者が出始めています。その一方で直前まで状況を見つつ検討している事業者もあり、一通り出そろうまでには時間がかかりそうです。そこで今回は現時点で発表されている計画と比較用として2019年度までの例年の実施内容をまとめてみようと思います(各事業者から発表され次第随時更新します)。大晦日のイベントや初詣、初日の出でお出かけを考えている方の参考になれば幸いです。

※12月10日追記1:東急電鉄横浜高速鉄道みなとみらい線で実施なしが発表されました。東横線田園都市線では終電後に臨時列車が運転される予定です。
※12月10日追記2:上記の発表から少し遅れて京王電鉄で実施予定、相模鉄道で実施なしが発表されました。
※12月10日追記3:高尾山ケーブルカーで実施予定、大山ケーブルカー埼玉新都市交通ニューシャトル・東京臨海高速鉄道りんかい線横浜シーサイドラインで実施なしが発表されました。
※12月13日追記:JR東日本の9路線で実施予定が発表されました。
※12月15日追記:東京メトロで大幅に縮小した上で実施予定が発表されました。新交通ゆりかもめでは実施なしが発表されました。
※12月17日追記:都営地下鉄で大幅に縮小した上で実施予定が発表されたほか、多摩都市モノレールでも実施予定が発表されました。埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線湘南モノレールでは実施なしが発表されました。
※12月18日追記:伊豆箱根鉄道大雄山線で実施予定が発表されました。

1. JR線・地下鉄

1-1. JR東日本実施予定(一部縮小)

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2019年度まで例年13路線で行われた他、初日の出列車の運転もある。

12月13日に今年度は9路線で終夜運転を実施することが発表されました。実施区間は山手線、京浜東北根岸線桜木町〜大宮)、埼京線(新宿〜大宮、一部大崎発着)、湘南新宿ライン(逗子〜大宮、北行の一部は宇都宮行き)、高崎線(上野→籠原、下りのみ)、中央線快速(三鷹〜高尾、一部新宿発着)、中央・総武線三鷹~千葉)、青梅線(立川〜御嶽)、総武・成田線(千葉〜成田)とされています。
https://www.jreast.co.jp/press/2021/tokyo/20211213_to01.pdf

また、千葉支社管内では以下の初日の出列車の運転が予定されています。

  • 特急「外房初日の出」:両国0:50発→千倉3:30着(E257系5両)
  • 特急「犬吠初日の出」:両国1:30発→銚子3:39着(E257系5両)

2019年度は山手線、京浜東北根岸線埼京線りんかい線新木場~大崎~大宮)、湘南新宿ライン(逗子~大宮~宇都宮)、横須賀線(品川~逗子)、高崎線(上野~籠原)、中央線各駅停車(東京~高尾)、中央・総武線(中野~千葉)、青梅線(立川~御嶽)、京葉線(東京~蘇我西船橋)、常磐線各駅停車(千代田線代々木上原~綾瀬~我孫子)、成田線我孫子~成田)、総武・成田線(千葉~成田)の13系統で終夜運転が行われました。そのため、今年度は例年に比べると横須賀線(品川発着)、京葉線常磐線各駅停車成田線我孫子〜成田)での実施がなくなり、京浜東北根岸線埼京線では実施区間が短縮、宇都宮線高崎線では下りのみの運転とされるなど縮小が目立ちます。また、中央線では快速と各駅停車が完全に分離されたため三鷹で乗り換えとなっています(快速の一部は新宿まで運転)。この他に山手線などにおいても運転本数が例年より少なくなっています。なお、中止となった2020年度は当初の計画ではイベントの開催状況から京葉線が対象から外れ、中央線については新宿折り返しの快速運転とされる予定でした。

1-2. 東京メトロ実施予定(大幅縮小)

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銀座線の特に上野~浅草では他線より高頻度で運転されることが多い。

12月15日に今年度は銀座線の浅草〜上野に限り終夜運転を実施することが発表されました。この他に銀座線の上野〜渋谷では渋谷方面1:30頃、上野方面2:00頃、丸ノ内線の池袋〜銀座では2:30頃までの終電延長がいずれも15〜30分間隔で予定されていますが、その他の区間では通常ダイヤでの運転となります。
https://www.tokyometro.jp/news/images_h/metroNews211215_69.pdf

2019年度までの例年は支線を含めた全区間終夜運転を行っており、おおむね30分間隔で運転し銀座線などではさらに本数が増える形となっていましたが、今回は大幅な縮小となっています。一部路線では直通先の実施状況に合わせて直通運転も行われており、2019年度は千代田線とJR常磐線半蔵門線東急田園都市線南北線埼玉高速鉄道線副都心線東急東横線で実施されていましたが、こちらについても今回は対象路線が終夜運転を行わないため実施なしとなります。

1-3. 都営地下鉄実施予定(大幅縮小)

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ヘッドマーク掲示した2014年の浅草線5300形

12月17日に今年度は浅草線の浅草橋〜押上に限り終夜運転を実施することが発表されました。この他に三田線の日比谷〜西高島平と大江戸線の都庁前〜春日~清澄白河では2:00頃までの終電延長が予定されていますが、その他の区間では通常ダイヤでの運転となります。

www.kotsu.metro.tokyo.jp2019年度までの例年は全区間終夜運転を行っており、運転間隔は2019年度で浅草線が30分間隔、他3路線は時間帯によりもう少し開く場合もありました。また、浅草線京成押上線新宿線京王新線の間で直通運転も行われていました。2020年度は実施を予定していた他事業者が相次いで中止を発表した後に実施なしと発表していました。

1-4. 横浜市営地下鉄実施なし

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例年はブルーライングリーンラインとも実施されていた。

12月6日に今年度は終夜運転等を行わず、通常の土休日ダイヤで運転することが発表されました。

www.city.yokohama.lg.jp2019年度までの近年はブルーライングリーンラインとも実施していましたが、2020年度は最初から実施なしとしていました。

2. 大手私鉄

2-1. 東武鉄道実施なし

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例年でも東上線などは一部増発にとどまっていた。

12月3日に今年度は終夜運転等を行わず、通常の土休日ダイヤで運転することが発表されました。なお、正月三が日日中時間帯の大師線増発については実施されます。
https://www.tobu.co.jp/cms-pdf/news/20211202164814o0JTiDHgQ2r7TwM6RKW39Q.pdf

2019年度は伊勢崎線の浅草~竹ノ塚と大師線終夜運転を行い、伊勢崎線の浅草~北春日部と東上線の池袋~川越市では通常の終電後と初電前に臨時列車が運転されました。2020年度は最初から実施なしとしていました。

2-2. 西武鉄道実施なし

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以前から終電延長はしても終夜運転はしない傾向にある。

12月3日に今年度は終夜運転等を行わず、通常の土休日ダイヤで運転することが発表されました。
https://www.seiburailway.jp/news/information/20211203_information.pdf

西武鉄道においては2019年度以前についても長らく終夜運転を行っておらず、終電延長のみとする年度が多くを占めています。2020年度は終電延長についても最初から実施なしとしていました。

2-3. 京成電鉄実施予定

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今年度は他事業者に先行してほぼ例年通りでの実施が発表された。

12月3日に今年度はほぼ例年通りの内容で終夜運転を実施することが発表されました。実施区間は本線の上野~成田、押上線、金町線ですが、例年との違いとしてこれまで都営浅草線からの乗り入れで8両編成だった押上線が金町線直通の4両編成に変更されています。これは都営地下鉄が実施しない場合を考慮しているのかもしれませんが、高砂駅が高架ホームに移転してから線内折り返しのみとなっていた金町線においては大きな出来事になるとも言えます。また、普通列車の他にシティライナーも以下のように1往復が運転されます(下り225号:上野22:40発→成田23:34着、上り226号:成田3:10発→上野4:08着)。年が明けてからの日中時間帯の増発も行われ、正月三が日は金町線の増発と本線臼井発着普通列車の成田発着への延長がなされます。また、正月三が日を含めた1月中の土休日にはシティライナーが1往復運転されます(下り91号:上野9:07発→成田10:04着、上り92号:成田15:14発→上野16:15着)。
https://www.keisei.co.jp/information/files/info/20211203_125623667370.pdf

2-4. 京王電鉄実施予定

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京王線では終夜運転でも例年複数種別が運転されるが、縮小の傾向も見られる。

12月10日に今年度は例年と内容に変更はあるものの終夜運転を実施することが発表されました。実施区間京王線の新宿〜高尾山口(今年度は京王八王子発着の設定はなし)と京王新線となり、約60分間隔で各駅停車が運転される他に高尾山口行きの京王ライナーが4本運転される計画となっています。その一方で急行など京王ライナー以外の優等種別の設定はなく、都営新宿線の計画が出ていないこともあり直通運転についても触れられていません。
https://www.keio.co.jp/news/update/news_release/news_release2021/nr20211210_syuuya.pdf

京王線終夜運転においては、高尾山での初日の出を意識して各駅停車だけでなく優等種別も運転されることが特徴となっています。年度によって内容は異なりますが特急や都営新宿線からの直通を含む急行などが運転され、2018年度からは京王ライナーも運転されています。その一方で京王線の本線以外においては縮小傾向であり、2019年度からは相模原線で取りやめ、中止となった2020年度は井の頭線についても当初から実施しない計画でした。今年度も昨年度に続いて大晦日夕方から初日の出まで高尾山の山頂周辺が閉鎖されますが、薬王院までは行けることもあり初詣需要へ対応するため終夜運転が行われます。

2-5. 東急電鉄実施なし(終電後に臨時列車を運転予定)

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東横線は近年終夜運転されることもあるが、田園都市線は運転されない時間帯がある。

12月10日に今年度は終夜運転を行わないことが発表されました。なお、東横線田園都市線では通常の終電の後に渋谷→横浜・中央林間で臨時列車が1本運転される予定です(いずれも渋谷1:25発の各駅停車)。
https://www.tokyu.co.jp/image/information/pdf/2021_nenmatsunenshi_unten.pdf

東急電鉄は元々終夜運転にはあまり積極的ではなく、東横線では副都心線との直通運転を機に2013年度から終夜運転を行うようになったのに対し田園都市線では終電延長と初電前倒しでの対応とし、2:30頃~4:00頃の運転は行わない形としていました(この間の半蔵門線は渋谷折り返しで運転)。また、目黒線についてもかつては田園都市線と同じ対応がされていたことがありますが、現在は通常ダイヤでの運転となっています。

2-6. 京浜急行電鉄実施なし

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近年は2100形浅草線乗り入れ特急「初日号」が目玉であったが…

12月8日に今年度は終夜運転等を行わず、通常の土休日ダイヤで運転することが発表されました。また、元日恒例の臨時特急「初日号」も運転されないことが発表されています。なお、1月1日~10日の日中時間帯における大師線の増発は実施されます。

www.keikyu.co.jp京浜急行電鉄では例年は本線の泉岳寺~横浜と大師線終夜運転が行われ、それ以外の区間は一部区間を除き終電延長と初電前倒し(特急「初日号」含む)が行われていました。特急「初日号」は浅草橋4:00発の1号と品川5:00発の2号が運転され、それぞれに特色のある編成が充当されるのが通例でした。特に2018・2019年度(2019・2020年元日)の1号は2ドア車両2100形が都営浅草線に乗り入れる貴重な機会でしたが、これが見られないとなると寂しさを感じざるを得ないところはあります。

2-7. 小田急電鉄実施なし(初日の出臨時列車は運転予定)

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「ニューイヤーエクスプレス」については1本のみ運転される計画。

11月26日に今年度は終夜運転を行わないことが発表されました。なお、通常の初電の前に新宿発片瀬江ノ島行きの臨時ロマンスカー「ニューイヤーエクスプレス号」を1本運転する他(新宿4:50発→片瀬江ノ島6:05着、50000形VSEで運転)、町田発片瀬江ノ島行きの臨時各駅停車(町田4:30発→片瀬江ノ島5:19着)も運転される計画となっています。
https://www.odakyu.jp/news/o5oaa10000020uko-att/o5oaa10000020ukv.pdf

小田急電鉄では例年、各駅停車の他に「ニューイヤーエクスプレス号」を運転していますが終夜運転が行われた2019年度までは下りを中心にかなりの本数が運転されていました。また、一部は小田原行きの設定もあり、江の島だけではなく大山への輸送も担当していたことがあります。2009年度以降は千代田線発の「メトロニューイヤー号」も運転されるのが通例でしたが、今年度は千代田線が終夜運転を実施しないこともあり運転されない模様です。

2-8. 相模鉄道実施なし

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JR線との直通運転による新線区間では終夜運転が行われなかった。

12月10日に今年度は終夜運転等を行わず、通常の土休日ダイヤで運転することが発表されました。

www.sotetsu.co.jp2019年度は本線といずみ野線(線内運転)でそれぞれ1時間程度の間隔で運転されましたが、新たに開業した西谷~羽沢横浜国大での終夜運転はなく、2020年度は最初から実施なしとしていました。

3. その他の鉄道路線

以下の路線は今年度も終夜運転を実施する予定です。

以下の路線は2019年度まで終夜運転を実施していましたが今年度は実施しません。

今後も新たな情報が入り次第随時更新していきますので、よろしくお願いします。

38. 【運航停止からの突然の発表】JAL、国内線仕様B777を全機退役へ

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本日4月5日、日本航空JAL)から現在運航を停止している国内線仕様ボーイング777型機について、当初の予定より前倒しして昨年度を以て全て退役させたと発表がありました。

www.jal.co.jp

既にANAでもB777を早期退役させる方針が出ており、今回はJALもこれに続いた形となります。今回は、JAL保有する機体を中心に日本国内のB777の現状について見ていきましょう。

su62numa381.hateblo.jp

1. B777-200が9機、B777-300が4機の計13機が対象に

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500席を備えるB777-300も今回全て退役となる。

現在、JALではB777-200、B777-200ER、B777-300、B777-300ERの4種類のB777保有し、ER(航続距離延長型)ではないB777-200とB777-300が国内線仕様、B777-200ERとB777-300ERが国際線仕様とされていました。このうち国内線仕様のB777-200とB777-300については現在以下の機体を保有しています。

B777-200(3クラス375席、9機)

JA8978、JA8979、JA007D、JA008D、JA009D、JA010D、JA771J、JA772J、JA773J

B777-300(2クラス500席、4機)

JA8944、JA8945、JA751J、JA752J

当初の計画では以上の計13機のうち、6機をA350-900などと入れ替える形で昨年度内に退役させ、残る7機は今年度中(2022年春まで)に退役させるとされていました。しかし、JALの国内線仕様B777はいずれもプラット&ホイットニー(PW)製のエンジンを搭載しており、同エンジンを搭載する他社機材におけるトラブルを受けて現在は運航停止を余儀なくされています。さらに、現在は国際線の減便に伴い国際線仕様機材に余裕があることもあり、現在運航停止中で再開時期も未定である国内線仕様B777は整備費の観点からいずれもこのまま退役させる方針に変更されることとなりました。

2. 国際線仕様のB777-200ER、B777-300ERはもうしばらく活躍

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JALB777-200ERは国際線仕様のまま国内線に転用された。

国内線仕様の機材が運航停止となる一方で、国際線仕様の機材はGE製のエンジンを搭載していることから、運航停止の対象外とされています。しかしながら国際線においてはB787-9の導入が進んでおり、同程度の大きさのB777-200ERについては一部退役し、残りはA350-900が出そろうまでのつなぎとして国内線で運航されています。A350-900は2023年春に確定発注分18機が出そろう計画であることから、順調にA350-900の導入が進めばB777-200ERの活躍はあと2年程度と考えられますが、それまでの間はビジネスクラスのフルフラットシートが普通席に1,000円追加で利用出来るクラスJとして使用されます。

www.aviationwire.jp

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JALB777-300ERについては早期退役の計画は特にない。

長距離国際線で使用されるB777-300ERについては、JALではANAの同型機とは異なり早期退役の計画は一切示されていません。後継機としてA350-1000がB777-300ERと同数の13機導入されることが決まってはいますが、A350-1000の導入はA350-900が出そろってから(2023年度以降)とされていることから、しばらくはJALのフラッグシップとしての活躍を続けるものと思われます。

3. 今後しばらくは通常とは異なる機材運用が増える?

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今後JALの国内幹線はA350-900が主力となりそうだ。

今回の件を含めた機材計画変更に伴い、新規導入や退役の対象に含まれていない機材についても機材の運用が変更されています。既に国内線仕様B777が抜けた穴を埋めるために、B777-200ERだけではなくB777-300ERも国内線で使用する状況となっていますが、一部のメディアではさらに国際線仕様のB767-300ERも国内線で使用する、羽田~伊丹線や羽田~福岡線で使用されている国内線仕様のB787-8を羽田~新千歳線でも使用するなどの計画が言及されています。JALと同様に国内線仕様のB777が全て運航停止になっているANAでも似たようなことは行われており、国際線仕様のB767-300ERやB787-8が国内線で使用されることが増えています。なお、機材変更に伴い座席が変更されることがある点については押さえておく必要があります。

今回は以上です。ありがとうございました。

37. 【東海道線は新時代へ】2021年3月JRダイヤ改正をたっぷり考察(その2・首都圏編)

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3月12日の深夜となり、いよいよ翌日3月13日のJR東日本ダイヤ改正が目前となりました。しかし、どう変わるかいまいち理解できていない方も多いはずです。そこで今回は首都圏の変更内容についていろいろと見ていきましょう。

JR東日本のプレスリリースはこちら

1. 特急「踊り子」をE257系に統一、新料金で特急「湘南」運転開始

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E261系「サフィール踊り子」については変更無く運転され、E257系と2枚看板となる。

今回の改正に合わせてE257系2000番台がさらに追加投入され、従来の185系からの置き換えが完了し全ての定期「踊り子」がE257系での運転となります。また、5両編成の2500番台が新たに営業運転を開始し、修善寺に乗り入れる運用で使用されます。さらに、「踊り子」のE257系統一に伴い「湘南ライナー」等のライナー列車が特急「湘南」に変更されてこちらもE257系で運転されます。

今回の改正で車両の変更以外に以下の変更が行われます。

  • 停車駅の見直し(「踊り子」では川崎、大船、小田原、湯河原停車が増加し網代停車が減少)
  • 上り「湘南」は従来のライナー列車から早朝の平塚→東京で1本増発
  • 下り「湘南」は東京発18時~21時まで30分おきと22時・23時に変更

また、常磐線や中央線の特急と同様の新料金が導入され、普通車の全座席が指定可能となるが座席未指定でも利用できる方式となります。これにより東京からの普通車指定席特急料金は以下のように変化します(改正後は車内購入の場合+260円となります)。

  • 湯河原まで  :改正前1,480円改正後1,020円
  • 伊東まで   :改正前1,890円改正後1,580円
  • 伊豆急行線まで:改正前2,410円改正後2,100円
  • 三島まで   :改正前1,970円改正後1,580円
  • 駿豆線まで  :改正前1,970円改正後1,780円

JR東海区間を含む場合の料金を別体系としなくなったためほぼ同じ距離の伊東と三島の特急料金が同額になっています。その一方でこれまで乗車券のみで乗れた駿豆線内でも特急料金が200円かかるようになった点は注意が必要です。また、新料金移行に合わせて「えきねっとチケットレスサービス」が開始され、これを利用すると通常料金より100円(キャンペーン期間中は300円)安く利用することができます。なお、全車グリーン車のE261系で運転する「サフィール踊り子」についてはこの料金は適用されず、従来のA特急料金が適用されます。

www.jreast.co.jp

2. 東海道線宇都宮線高崎線で運転本数や快速停車駅を見直し

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横浜通過の東海道線通勤快速も見納めとなる。

東海道線宇都宮線高崎線の列車のうち、東京や上野で折り返す列車を含めた上野東京ライン系統では普通列車の他に愛称付きの快速、そして平日の夕方以降は通勤快速が運転されています。このうち愛称付きの快速で日中にも運転されているのが東海道線の「アクティー」であり、従来のダイヤでは1時間に熱海行きが「アクティー」1本と普通2本、小田原行きが普通3本運転されていました。今回の改正では日中の「アクティー」が普通列車に変更され、小田原行き3本のうち2本が平塚止まりに短縮されます。これにより辻堂では停車本数が増加し、列車順序の入れ替えで行き先のバランスも改善されますが平塚~小田原の運転本数が減少します。また、夜間帯の下りでは平日は通勤快速、土休日は快速「アクティー」を運転していますが今回の改正で全て快速「アクティー」に統一されます。これにより、通勤快速の運転はなくなり快速「アクティー」は夜間帯の下りのみの運転となります。

快速列車の停車駅見直しは宇都宮線高崎線でも行われます。宇都宮線高崎線とも通勤快速の停車駅が快速(宇都宮線「ラビット」、高崎線「アーバン」)と揃えられ(宇都宮線は尾久を通過し蓮田に停車、高崎線は尾久を通過し上尾と桶川に全列車停車)、こちらにおいても通勤快速の種別名はなくなることとなります。この他、宇都宮線の快速については湘南新宿ライン含め新たに東大宮に停車します。東海道線の辻堂もそうですが、快速通過駅でありながら利用客の多い駅ですので停車は妥当と言えるでしょう。その一方で宇都宮線高崎線とも日中毎時1本ずつの上野折り返し列車が削減され、宇都宮線においては夕方以降にも宇都宮行きから古河止まりに短縮される列車があります。

 

3. その他線区での変更点

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山手線でも朝時間帯の本数が数本減少する。

その他の首都圏の各線でも運転本数が見直されます。山手線では両方向とも朝時間帯に運転本数が見直される他、常磐線各駅停車では朝夕のみ行われている我孫子~取手での運転が土休日は全て取りやめられます。高崎線の特急「あかぎ」(土休日)「スワローあかぎ」(平日)については一部列車が運転取りやめとなり、残る列車も高崎までの運転とされます。また、首都圏の多くの路線では終電繰り上げが行われますが、これについては他社線も合わせて今後別の記事で詳しく見ていきます。

次の朝からは新ダイヤになりますが、これからの1年が鉄道にとって良い1年になることを願って本記事を締めさせて頂きます。

36. 【日中のJR線直通は全て各停に】2021年相鉄ダイヤ改正を考察してみる

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2月2日、相模鉄道(相鉄)から令和3(2021)年3月のダイヤ改正の概要が発表されました。今回は3月13日に改正が実施されます。全時間帯においてかなり変更されますが、どこがどう変わるか見ていきましょう。

相模鉄道のプレスリリースはこちら

 

1. 平日朝時間帯は種別・行先を入れ替え利便性向上

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平日の横浜発着特急は日中中心の運転だが、朝の上りにも一部運転される。

現在の平日朝時間帯は海老名からは特急(JR線直通含む)と急行を中心に一部は各停を運行し、湘南台からは通勤特急、通勤急行(いずみ野線内は各駅に停車)、各停を運行する形となっています。今回の改正では、海老名発横浜行きの特急や急行が増発され、朝時間帯の海老名発の電車はほぼ全てが特急か急行で揃えられます。これにより、現在は海老名7時台発の運行が少ない横浜行きの特急が6時台発と同様にJR線直通特急と交互に運行されます。

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橙は特急、赤は急行、青は快速、黒は各停、斜体は通勤種別を示す(以降の時刻表も同じ)。

これに伴い、海老名7時台発などの各停は湘南台発に回され、湘南台7時台発のいずみ野線上りは通勤急行1本(二俣川でJR線直通特急に接続)と各停2本(二俣川で横浜行き特急・急行に接続)が合わせて5分間隔で運行されるダイヤとなります。また、いずみ野線内で通過運転を行う通勤特急は最混雑時間帯を避けて湘南台6・8時台発に変更し、オフピーク通勤向けの種別とされます。

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その他にも若干の変更があり、全体の本数は微増するものの種別格上げに伴い一部の駅では停車本数が減少します。また、JR線直通では新宿行き2本が池袋行きに延長される他、早朝の羽沢横浜国大→西谷の区間運転が増発されます。

2. 平日夕方時間帯は快速を増やして混雑平準化

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最近の快速は海老名行きとしても運転され、本数も増えている。

長らく20分サイクルでダイヤが組まれている平日の横浜18・19時台発下りは現在、海老名行き急行2本、湘南台行き快速1本、各停3本(海老名行き1本と湘南台行き2本)が運行されています。しかし、海老名行きが3本続いた後に湘南台行きが3本続くなど混雑のバランスが悪くなっていることから、今回の改正では湘南台行き各停1本が海老名行き快速に変更されます。また、海老名行き急行2本の内1本は湘南台行き各停、湘南台行き快速は海老名行き各停に二俣川で追いつくため、海老名まで3本、湘南台まで2本の有効本数がある程度バランスを取って確保されます。これにより本線の二俣川~海老名では停車本数が増加する一方、各停のみ停車する駅やいずみ野線内では日中と同じ毎時6本にまで減少します。

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3. 日中の運行パターンを見直しJR線直通といずみ野線は全て各停に

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相鉄の定番行先である急行海老名行きが日中運転されないのは2014年改正以来。

現在は平日・土休日とも日中(横浜10~16時台発)JR線直通電車が毎時2本運行され、1本は特急、もう1本は各停となっています(JR線内はいずれも各駅に停車)。しかし、特急では海老名や大和、二俣川以外の利用客には使いづらく、海老名や大和では小田急線に運賃や利便性で全く及ばない状況となっています。そのため、JR線直通特急は乗車率がかなり悪い種別となっており、今回の改正ではこれを各停に変更した上で他の系統でも本数が過剰気味な部分を見直す形となっています。この見直しにより横浜発着の電車は海老名へは特急2本と快速4本、湘南台へは各停6本となり、完全な30分サイクルとなる一方で日中は特急運転開始前の定番種別・行先であった「急行海老名行き」と「快速湘南台行き」の運行がなくなります。

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本線の二俣川~海老名では快速かJR線直通各停が合わせて10分間隔で運行されるダイヤとなり、JR線直通各停については接続する横浜発着特急もセットで運行されます。その一方でいずみ野線内は各停のみの運行となり、横浜へ急ぐ場合には二俣川での乗り換えが必須となります。

4. 土休日夕方時間帯はJR線からは特急、横浜からはその他種別に

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JR線直通特急は日中運転されなくなるが、土休日の夕方以降は逆に増える。

先ほど利用客が少ないと書いたJR線直通特急ですが、逆に増える時間帯もあります。現在JR線直通電車は夕方以降平日は特急、土休日は各停となり、その代わり平日は横浜発着特急を運行しない形となっています。今回の改正では平日と同様にJR線直通は特急、横浜発着は急行以下の種別で運行する形に変更されます。日中と同様に各停が湘南台行き、快速以上が海老名行きで運行され、二俣川で相互に接続が取られる形となります。

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5. 平日深夜時間帯は土休日並みの本数に見直し、終電繰り上げも

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終電繰り上げ後も横浜発の最終はかしわ台行きである。

感染症の影響で利用動向が大きく変化しており、特に深夜時間帯の利用客は大きく減少しています。2020年の1月と12月を比較すると、22時台の利用客は3割程度減少し23時台以降は半減とされています。これに伴い平日を中心に22時台以降の運行本数を減らし、現在の土休日ダイヤと同程度で揃えられます。また、終電後の作業時間確保を目的とするため、一部区間を除く平日の上下線と土休日の上りで終電が15~20分程度繰り上げられます。これにより、相鉄線の終電は以下のように変更されます。

  • 横浜→海老名:平日のみ24:35→24:15(△20分、土休日現行で統一)
  • 横浜→かしわ台・湘南台:平日のみ24:42→24:27(△15分、土休日現行で統一)
  • 海老名→横浜:23:55→23:38(△17分、平日・土休日共通)
  • 湘南台→横浜:23:59→23:38(△21分、二俣川乗り換え、平日・土休日共通)
  • 湘南台二俣川:24:26→24:09(△17分、平日・土休日共通)
  • 海老名→二俣川とJR線直通は繰り上げなし

今回は以上です。ありがとうございました。

www.youtube.com

35. 【田園都市線は優等中心に】2021年3月東急ダイヤ改正を考察してみる

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1月26日、東急電鉄から令和3(2021)年3月のダイヤ改正の概要が発表されました。今回は3月13日に全線一斉で改正が実施されます。また、東急電鉄相互直通運転を行う東京メトロ東武鉄道西武鉄道でも同日にダイヤ改正の概要が発表されています。今回は、東急線と直通先の各路線で大きく変化するところについて見てみましょう。

東急電鉄のプレスリリースはこちら

東京メトロのプレスリリースはこちら

 

1. こどもの国線を除く全線で15~30分程度終電繰り上げ

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地下鉄と直通する路線では合わせて深夜帯のダイヤが見直される。

ホームドアなどの設備増加に伴う保守業務量の増加などに対応するため、東急線全線で深夜帯のダイヤが見直され、こどもの国線を除く全線で終電時刻が15~30分程度繰り上げられます。また、直通運転を行う東京メトロ半蔵門線副都心線南北線などの他社線でも合わせて終電時刻の繰り上げが行われます。今回の改正により、渋谷や目黒といった都心側のターミナル駅を発車する東急線各線などの終電は以下のように変更されます。

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特に現状ではかなり遅くまで運転されている平日の東横線田園都市線の終電が大幅に繰り上がり、平日と土休日の終電がほぼ同じになっていることが分かります。また、相互直通運転を行う半蔵門線副都心線南北線をはじめとする東京メトロ各線でも東急線ほどではないものの平日を中心に終電が繰り上げられますが、都営地下鉄では微調整のみにとどまる予定とされています。

2. 田園都市線大井町線で日中の運転パターンを大幅に変更

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改正後は6000系田園都市線乗り入れがさらに増える。

今回のダイヤ改正では、深夜帯以外の時間帯でも、日中時間帯(10時台~16時台)を中心に利用動向の変化に合わせて運行ダイヤの適正化が実施されます。特に大きく変化するのが田園都市線大井町線で、以下のように1時間あたりの本数が変化します。

  • 田園都市線渋谷発:急行4本準急2本各停8本→急行3本準急3本各停6本
  • 田園都市線中央林間発:急行6本準急2本各停6本→急行6本準急3本各停6本
  • 大井町線急行4本各停10本→急行3本各停9本(青、緑の区分は不明)

これにより、以下のように変化することが読み取れます。

特に太字で示した部分についてはかなり意外でしたので、詳しく見ていきましょう。

2-1. 東急で20分サイクルは異例

田園都市線においては、2003年の東武線との直通開始で急行4本と各停8本の体制が確立され、以降も大井町線急行の乗り入れや日中時間帯の準急運行開始をはさみつつも15分や30分単位でのサイクルを基本としていました。そこから一転、今回の改正では運行本数が全て3の倍数となることから、20分サイクルに移行するものと見られます。

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近年の田園都市線日中の運行パターンを比較してみる。

東急の他の路線の1時間あたりの本数を見てみると、

となっており、こどもの国線以外は全て偶数で15分または30分サイクルで回るダイヤとなっています。その一方で中央林間で接続する小田急江ノ島線長津田で接続するJR横浜線など20分サイクルのダイヤを組む他社線とも接続しているため、そちらとの接続は改善されることも考えられます。

2-2. 優等中心ダイヤも東急では異例

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短編成・高頻度運行の支線を持つこともあり東急は「本数重視」の印象が強い。

首都圏の大手私鉄各社は主要路線で急行などの速達種別と各駅停車を組み合わせたダイヤを採用しています。速達種別と各駅停車の比率や速達種別の種類は様々ですが、その中でも東急はかつて「都心へ100本」の広告を出すなど本数を重視し、特に各駅停車に多くの本数を割り当てているように見受けられます。特に東横線では各駅停車を日中毎時10本運行しており、他社線に比べて各駅停車重視の色がとても強いです。以下、首都圏の大手私鉄の本線格となる各線についてターミナル駅を発着する日中時間帯の毎時運転本数とそのうちの各駅停車の本数をまとめると、

  • 東急東横線(渋谷):18本中10本が各駅停車
  • 西武池袋線(池袋):15本中8本が各駅停車(地下鉄直通は10本中6本)
  • 東武東上線(池袋):16本中8本が各駅停車(地下鉄直通は4本中2本)
  • 京成本線(上野):12本中6本が各駅停車(地下鉄直通は3本中0本)
  • 相鉄本線(横浜):14本中6本が各駅停車(JR線直通は2本中1本)
  • 京王線(新宿):15本中6本が各駅停車(地下鉄直通は6本中0本)
  • 京急本線(品川):18本中6本が各駅停車
  • 小田急小田原線(新宿):21本中6本が各駅停車(地下鉄直通は3本中0本)

となります。そんな中、東横線と並んで東急のもう一つの本線である田園都市線では、各駅停車の比率が14本中8本から12本中6本に引き下げられます。準急が各駅に停車する渋谷~二子玉川長津田~中央林間はまだしも大井町線急行が合流して準急が通過運転を行う二子玉川長津田では完全に速達種別メインに変わったと見て良いでしょう。東横線は渋谷~横浜を結ぶ以上沿線はずっと都市部ですが、田園都市線は郊外路線としての役割も東横線に比べると強くなりますし、他社線のようにある程度の距離を重視するといった考えでしょうか。とは言え、こどもの国線以外の全線で全駅日中毎時8本を確保していた東急なだけに、かなり意外な変更です。

3. その他の各線でも運行本数を見直し

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こどもの国線は終電繰り上げの対象外だが、本数見直しや接続改善がなされる。

ここまでに説明した田園都市線大井町線の他に池上線、東急多摩川線世田谷線でも日中時間帯の運行パターンが見直され、いずれも平日のみ6分間隔から7~8分間隔に変更されます。さらに田園都市線、池上線、東急多摩川線世田谷線こどもの国線では夕夜間の運転本数が見直され、全体的に17時台~18時台は増加、21時台以降は減少となります。また、田園都市線では平日朝の中央林間始発急行・準急が拡充されます。その一方で東横線目黒線は日中時間帯の運行パターンを変更しない計画となっています。

今回はここまでです。2021年初めての記事となりましたが、今年もよろしくお願いします。